きんつばじへい (むかしむかし絵本 24)

著者 :
  • ポプラ社
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  • / ISBN・EAN: 9784591003978

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  • 長崎
    マリアさまの絵姿のきんつばの刀
    役人に狙われると姿を消して山の中にこもる
    ある晩マリアさまの夢を見てペンダントを授けられる 刀を抜くなという教えに従って刀を抜かずに役人を倒して仲間を助ける 何故か役人には姿が見えない
    それでも多くの仲間が見せしめになろうとしていたので刀を抜いてしまう
    たちまち姿が見えるようになり、縄で引っ張られるが逆に引っ張って海まで引き摺り込む
    じへいの姿は沖へ消える

  • 上からの圧力にあえぐキリシタンと、不思議な力を得た、じへいの物語。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「きんつばじへい」は あだなでのう、マリアさまのえすがたを きざんだ、きんつばのかたなを さしとったから、そういうなまえが ついたんじゃと。(引用)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    タイトルから想像したのは、「きんつばじへい」という男のお話なんだろうなあ、ということだけでした。
    しかし「きんつばじへい」という物語は、じへいの英雄物語、という面もありながら、上からのキリシタン迫害の歴史をおりまぜたお話で、驚きました。

    現代の絵本は、有名な昔話は絵本としてくりかえし出版されるものの、新作のお話は現代を舞台に、今を生きる子どもたちが主人公のお話が多いように感じます。
    もちろん、子どもの気持ちに寄りそう意味では、そうした現代の物語も大事だとは思います。
    しかし同時に、いままでの歴史があった上に今の自由があることを伝える絵本も、必要だと思うのです。

    多分この絵本は、今の子に読み聞かせをしても、人気がない絵本かもしれません。
    でも「上からの無慈悲な圧力」というものが、どうした悲劇をうむのか、それを知らずに生きることは、「自由」に生きられることのありがたさを知らずに生きることでもあります。

    「きんつばじへい」は、不思議と歴史的現実の狭間にあるような昔話ですが、「自由」を考える種をまいてくれる絵本でもあります。

    また、赤羽末吉さんの初期の、まだ洗練される前の絵を味わえる貴重な絵本でもあります。

    物語をそのまま感じられる子ども時代に、読み聞かせてほしい1冊です。

  • 2012年4月23日

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