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著者 :
  • ポプラ社
3.42
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本棚登録 : 333
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591100028

感想・レビュー・書評

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  • 2006年と1968年を、一晩寝るごとに行ったり来たりする元同級生の40代の大学教授と大学の事務局長。
    戻った過去で、自分たちがすべき頃を見つけ、それをするために、過去の記憶を頼りに奔走することとなる。

    偶然見つけ、あらすじを読み、面白そうだなと手の取った本。
    タイムスリップというフィクションと、3億円事件という実際に起こった事件とのからみがどう描かれているのかなと興味深く読み進めました。

    現在と過去の行ったり来たりに、最初は馴染めず、読みにくく感じた時もありましたが、それに慣れてからは、かなり面白く読みました。
    が、最後、皆さんも書いてましたが、一気に終わっちゃった感が、どうにも納得できず、置いてけぼりされた気分がぬぐえません。
    それぞれが、別の次元で生きることとなった結末には、切なさを感じましたが、里美ちゃんの病気は?とか、理事長の着服はなくなった?とか、3億円は埋まってない?とか、何故そうなったのかが分からないこと尽くしで、不完全燃焼です。
    それも全部、過去を変えてしまった「歪み」の結果、ということなのでしょうか?

  • 48歳の男性二人が、小学校時代と現在とをタイムトラベルする物語です。
    彼らは、二人が好きだった女の子を救うため、府中3億円事件を阻止しようと考え、行動します。

    48歳になるまでの記憶を持っている彼らは、少しずつ過去を変えてしまいます。
    その変えてしまった過去が、現在の事実を歪ませ、その事実が歪むことで過去の事実も歪んでしまいます。
    その歪みが小説の中に恐怖感をもたらしているように感じました。
    幽霊が出てくるわけでもないし、人が殺されてしまうわけでもないのに、それでもなぜか怖くなる。
    そんな印象を持ちました。

    しかし、その歪みをわかりながらも過去を変えようとする二人に心打たれます。
    自分たちにもその歪みが降りかかるかもしれないのに、それでも意志を貫く姿はおじさんだけどかっこいいと思いました。
    また、昔からの友達同士であった二人の信頼関係も素敵だなぁと感じます。
    相手の能力を認めて聞かなくてもいいときに、真実を知ろうとせずに待てる関係っていいなぁと思いました。

  • 夜眠り朝目覚める度に過去と現在をタイムスリップするおじさん2人
    過去では小学校のクラスメイト、現在では大学の教授と事務局長
    大人の心で過去を追体験しているうちに、過去での後悔と現在での難題が…それが2人がタイムスリップした意味になった時、静かに壮大な事件へとつながっていく
    先が読めそうで読めない展開に引き込まれた
    過去が変わればやはり現在にも変化が現れて、何かを得れば何かを失う、それは大人になっても切ない

  • 大学教授の三戸と事務局の安齋、二人は北海道で小学校の同級生だった。偶然同じ大学に勤め再開した二人だが、突然、1968年にタイムトラベルする。そこには何かの理由があるのか?三戸には転校後も文通する元クラスのアイドル里美ちゃんがいた。彼女は三億円事件に関連して一家心中したのだった。事件後、三戸に里美ちゃんからの手紙が・・・。

  • 48歳になった小学校の同級生三都と安斎がある日小学5年生の時にタイムスリップしてしまうお話。
    過去と現在に後悔がある2人が今と過去を行ったり来たりしながら未来を変えていきます。
    小路幸也さんのお話にはだいたい正義の味方のような大人が出てきて手助けしてくれるのが読んでいて嬉しくなります。
    私は最後ちょっと物足りない感じはしましたが、おもしろかったと思います。

  • タイムトラベルの話。
    今まで、この手の話には入り込めなくて、好きになれなかったけど、この本はすっと物語の中に入っていけた。
    大人の心を持ったまま、小学生になり、また次の日には大人の日常。なんとなく、自分も小学生にタイムスリップしたら、、なんて考え、寂しくなったり、楽しくなったり。

    クルクル話が進んでいって、最後が気になり、どんどん読み進めました。

  • すごく面白かった。一気読みしちゃった。
    先の展開が読めない、勢いのある話。

  • タイムスリップ系の話で1番面白いと思う。ストーリーが面白くて飽きさせない感じ。ちょっと時代の行き来が激しくてついていけないところはあったけれど、時間をかけて読めばわかる。読んでいて、「人生やり直してえ〜」って思った。

  • 2014/07/15

  • 40過ぎのオッサン2人が
    寝て起きると小学5年生に戻り、
    またその世界で寝ると現代に戻ってるって、
    タイムスリップの2重生活を繰り返していくお話。

    過去に戻った時にしでかした事は
    現代にいろいろな形の歪となって現れます。

    それを確認して、場合によっては
    自分たちが消えてしまうかもしれないのを
    承知した上で、
    彼らは過去のある出来事を変えるために
    現代で悩み過去で実行していきます。

    大人の精神を持ったまま小学生になるって
    単純に行けば面白そうだけど、
    現代に戻ってしまうって制約があると大変だよね。

    下手なことすると今までの人生がまったく
    別のものになってしまうんだから。 

    そこらの葛藤と経緯がメインで書かれてる感じ。

    3億円事件なんかも絡んでるので、
    派手な展開が来るのかと思いきや、
    そこはいたってあっさり流してます。

    映画化するとしたら、逆にそこに力を入れそうで怖いw

    なんだかんだで意外と泣けるお話でした。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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