([た]1-2)おそすぎますか? Tanabe Seiko (ポプラ文庫 た 1-2 Tanabe Seiko Collection)
- ポプラ社 (2008年10月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591105429
感想・レビュー・書評
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田辺聖子さんのエッセイを以前読んで、好感をもったので買ってみました。
最初2作くらいを読んで、一瞬「うんざり」しかけたのですが、
少し読み進めていくうちにじわーっと味が出てきました。
よくよく見てみると、本書はさまざまな短編集から寄せ集めたとのこと。
だから、続けて読むと同じような話が集まってしまって単調に感じられたんだと分かりました。
あとがきにある「小さな一口落語のつもりで書いていた」という言葉に納得。
そう、“ユーモア”のある女性ってホント少ない。私もかくありたいと思うのです。
表題作「おそすぎますか?」は本当にどっきりとする話です。(2010.8)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あとがきとてもよかった。田辺さんの作品に当時の女性たちは勇気をもらってたんだな。
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男と女の悲喜こもごもを描いた短編5編。いや~よかった!元気で仕事もバリバリこなす女と、つまらぬプライドが邪魔をする男。設定的に目新しくはない…むしろ若干古めかもしれないけど、そうとも言いきれない男女の心情の不変なところ。そこを絶妙に突いてくる!痛快で、フフッと笑っていると途端にスッ転ばされるような意外な展開。それがまた鮮やかで、田辺さんの掌の上で転がされてるなぁ…でもそれが心地よいのだ。
どれも好きだけど、中でも浪速芸人の夫婦・親子を描いた「ぎっちょんちょん」は秀作であった!(脳内で映像化してました)
そして、今回も長谷川洋子さんの装丁が本当に素敵で、「おそすぎますか?」というタイトルに時計(よく見たら部品バラバラ)を合わせてくるセンスに唸らされる。 -
女が活躍しているカップルのオムニバス。
基本的には男の人が拗ねて女が包み込むパターンの話がほとんど。
男を可愛いと思えるかの微妙なラインを書いたなかなか面白い小説でした。 -
結婚して働いてる女性が、仕事と夫婦と頑張る5編。どれも活気があって読んでて楽しかった。
現実でも実感してるけど、男の人って大きくて頼れるけど、いくつになっても子供みたいでカワイイ。
私もそんなこと言う歳になったか・・・。 -
この文庫のために再録された5編からなる短編集。
どれも働く女性とその家庭を描いたものだ。 中でも「あんたが大将」はすごい。
専業主婦、しかも田舎出身で垢ぬけず、逐一“主人”の指示を仰がなければ動けなかった妻が、意外なきっかけで働くようになり、どんどん変わっていく。
それを茫然、といった体で眺める夫の視線が面白い。 -
表題作の「おそすぎますか?」の主人公の気持ちが手にとるように理解できて痛かったです。
田辺さんのかく話はどれもああ、あるなあ・・わかるなあと自分のことのように思えて、読み始めるととまらなくなるのです。
巻末の田辺さん自身のあとがきを読んでその理由がわかりました。
なにか展開があるわけではないが、日常の会話や心情を描いて、その中からなにか(こういったときにはああいう言い方をすればいいのね、というようなこと)を学べる小説。
田辺さんの小説は読むことでひとつ人生の知恵を学べます。
まさに私の好み!です。 -
これに収められているのはみんな働く女性たち。女は強いなあ。今も昔も、女性たちの悩みは尽きないんだよね。私はこんなふうに強く生きる自信はないけれど。
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男女が平等になる事はない。どちらかが対等を求めた時に関係は崩れていく。そんな感じの物語であり、男性の弱さ、女性の強さがうまく表現されている短編集だと思う。
ただ、文章が関西の方言であったり場面が関西なため私文章に馴染むのに時間がかかった。
共働きを考えるにはいい短編集。 -
共働き夫婦の短編小説。いまとなって女の人でも働く人は多くいるけど、一昔前の、女性がどんどん強くなっていく時代の話なので、戸惑いとか、夫と妻の考え方・気持ちの違いとか、なるほどなーって面白い。ただ、働く女性を強調するものはあまり好まないので(いくら男性と同等っていっても同等にはなり切れるわけないと思うから)、やっぱり、田辺聖子作品は古文関係のものの方が好きです。