- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591155691
作品紹介・あらすじ
あたしが失くしたのは、「おはなし」でした――。
世界中から忘れられた物語が届く遺失物係での、不思議な七日間。
越してきた田舎の町で、中学校に馴染めずにいた少女は、
ひょんなことからゆめみの駅にある遺失物係にたどり着く。
そこは誰かが忘れた「おはなし」が世界中から届けられ、
「遺失物語台帳」に収められている不思議な場所だった。
係の人から一日一話ずつ物語を読み聞かせてもらいながら、
自分が失くしてしまった物語を探すのだが――。
痛みを抱える人にそっと寄りそってくれる、切なくもやさしい物語。
感想・レビュー・書評
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酒井駒子のイラストの表紙に惹かれた。
ゆめみの駅の遺失物は物ではなく「お話」。
期待しすぎないで読む方がいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語が愛おしくなる物語。
駅の遺失物係で、物語を探す物語。
私たちは物語をなくしていて、そして物語を探している。
人の物語と出会うことで、自分の物語を思い出すこともある。
やわらかで、あたたかくて、やさしい物語でした。 -
作者の名前に見覚えがあるな、と立ち止まったら『天のシーソー』の方だった。
これも縁なので、購入。
おはなしの遺失物係。
主人公は、生活の中で夢や希望を抱くことを上手に諦めながら生きている女の子。
彼女が落としたはずのおはなしを聞きに、遺失物係を訪れるというストーリー。
遺失物係さんのおはなししている姿を思い浮かべながら、さまざまなおはなしへ飛んでいく。
彼の声は、きっと柔らかくて静かなんだろう。
音と文字は別々の機能を有しながら、同じおはなしを辿ってゆく。
アヤといしこさんのおはなし。
バクの母子。てんとう虫の恋。
病気の少年と暗闇。
どれも、どこかに憂いがあって後が残る。
女の子のように、こうなって欲しい、や、それは切ないな、と思う話もある。
でも、それを作り出した人がいて、語り継ぐ人がいることの不思議を思った。
ゆっくりとした時間を過ごせた。 -
タイトルとあらすじと装画にやや期待しすぎたな。
文体がちょっとくどくてあまり好きな語り方ではなかった。
土曜日のおはなしが好きだな。 -
誰かが失くした物語は「ゆめみの駅の遺失物係」に届けられるそうです。7つの拾得物語はどれも切なくもほんのりと暖かく、それを読み聞かせてもらう訥々と語るのが特徴的な少女と一緒になってあれこれと思索を巡らすのが楽しくありました。
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小説と児童書の間のような本。
静かで、あたたかいけど、寂しくて。
「かたくてあたたかくてつめたくてやわらかいもの」の空気感を思い出しました。 -
★4.0
誰かが忘れた"おはなし"を読み聞かせてくれる、ゆめみの駅にある遺失物係。各章で読まれる"おはなし"は、まるで絵本を読んでいるかのように情景が目に浮かんでくる。そして、忘れられていくものに儚さを感じるだけでなく、静かに寄り添う優しさと温かさもしっかり健在。中でも、一番のお気に入りは最終章の「青い人魚とてんとう虫」で、切なさと希望のバランスが絶妙だったと思う。少女のその後は分からないけれど、大人になった彼女=著者のような気がした。ただ、唯一の欠点はページ数が少なく、読み足りなさを覚えてしまうこと。 -
リリース:明子さん