わたしの美しい庭

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591164853

感想・レビュー・書評

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  • 凪良ゆうさんの小説に出てくる登場人物は、妙な気を遣わない。そのまんまを自然に受け入れてくれる。かと言って、ほったらかしにしない。

    p.271
    「僕たちは同じだから仲良くしよう」より、
    「僕たちは違うけど認め合おう」のほうを勧めたい。
    それでも認められないときは黙って通りすぎよう。

    血のつながらない百音ちゃんを引き取って育てている統理さん、同性が愛の対象である路有さん、5歳で両親を亡くした百音ちゃん、亡くした恋人を想い続ける桃子さん。

    縁切り神社にやってくる人は、目の前のことから逃げ出すために縁切りしたいことを形代に書くんじゃなくて、自分は自分でいいんだ。今の自分を大事に思うために、不要なことを縁切りするんだ。

    私は形代になんて書こうかな。
    競争心?変なプライド?

    休みの日に私の大好きな神社に行って自分の心に聞いてみよう。




  • 好き
    物語に出てくる人たちも、お話も好き
    あんな街に暮らしてみたいな
    あんな人間関係
    羨ましいな


  • 流浪の月が全然好みではなかったので、凪良ゆうさんの次の作品を読もうとなかなかなりませんでした。

    これはもっと早く読めばよかったですね。


    ロンダリングが好きです。

    理解できないならできないでしかたない。
    だったら黙って通り過ぎればいいんだ。

    この言葉が刺さりました。
    統理と路有、2人の関係性が素敵です。


    いろんな人がいて、それでも良いんだよなと思えました。

    手を取り合っていけない人なんていないし、誰とでも助け合えばいい。
    それは世界を豊かにするひとつの手段だと、少なくとも僕は思います。

    統理の話す言葉が好きでした。

  • 感想
    本当にある日常の話からスッと物語が入っていく感じなのでそれぞれの人物像や関係性を探しながら読む形になる。

    普通とは?お節介と思いやりの境界は?色々考えさせられる作品。

    あらすじ
    統理は、神職で所有するマンションの屋上にある縁切り神社を管理している。娘の百音は小学生で、前妻と新しい夫との間にできた子供だが、両親が事故死したため、統理が引き取り暮らしている。路有はマンションの住人で男性を好む男性。そんな不思議な家族?集まりの周囲に起こる出来事が描かれる。

    アラフォー女性が高校時代に亡くなった彼氏を忘れられない話、ゲイである路有が昔の彼氏との関係にケリをつける話、鬱になった男の恋の話、両親を亡くした百音の話。

  • 登場人物はあらすじだけ読むとバラバラなようで、章を追っていくごとにその繋がり、言葉では言い表せない思いの深さがみられとても面白い。
    それぞれの登場人物に物語があるのでとても楽しめた。

  • 美しく穏やかなファンタジーの世界。そしてバトンは渡されたと似た読後感でした。桃子ちゃんのお話、先が読めている少女漫画的展開であるにも関わらず、気づけば泣いていました。登場人物というより、誰かに手を引かれるように物語に没入できる文章が好き。凪良ゆうさん一作目なので、他にも読んでみたいです。

  • 断ち物の神様が祀られているという神社は、マンションの屋上にある。
    丁寧に手入れされた、美しい庭と共に。
    そこにはそれぞれ事情を抱えた人々が自然と集まる。
    緩やかに、心に迫る連作短編。

    ----------------------

    前妻とその再婚相手が事故死したことにより、身寄りのない血のつながらない娘を引き取った統理。
    失恋を引きずり、新しい恋に踏み出せないゲイの路有。
    40歳を目前に、昔の恋人が忘れられず苦しむ桃子。
    仕事のストレスから鬱になり、東京から実家に帰ってきた基。

    特に、統理・路有・百音のトリオが普通に好き。
    彼らの日常は、ハッとする気づきと
    美味しそうな朝ご飯、美しい庭園に彩られており
    ずっとずっと見守りたい気持ち。


    しかし「断ち切りたいもの」がテーマなのでどの話も苦しくて重い。
    特に桃子の「あの稲妻」が本当に苦しかった。
    世間の目。両親の心配。社会的地位。
    そういったものに後ろめたさを感じる必要などなく、自分の信じた道を進もうと決めた桃子がカッコいいと思った。

    例え他人から「可哀想だ」と思われても。
    悲しくても、寂しくても。
    たった一度の稲妻を思い出しながら生きる。
    残りの人生が全て報われるようなたった一度の恋。
    とても辛い道だけど、
    とても真似はできないけど、
    忘れられないたった一度の稲妻に出会った
    正直に羨ましい気持ちもある。

    「桃の浴衣、すげえ楽しみ」

    …………………

    断ち切りたいものを形代に書いて
    神様に切ってもらう。
    気休めにしかならないような行為でも
    ほんの少し心が救われることもある。
    そうしてまた生きていく。

    一人一人の生きづらさとほんの少しの希望が詰まった、素敵な物語でした。

  • 大好きな「流浪の月」の凪良ゆうさんの作品ということで手に取って読んだ一冊。

    百音、統理、路有、桃子、基。それぞれの人物が、それぞれの悩みや過去を抱えながら、それぞれの幸せを持ってる。何にも縛られない幸せの形に、なんだか読んだ私まで幸せな気持ちになりました。

    百音たちの未来に幸あれ。

  • マンションの屋上にある縁切り神社。そこは屋上庭園にもなっている。そのマンションに住む人や関わりのある人たちが、それぞれにつらいことを乗り越えるお話。最初と最後は、宮司でマンションの管理人でもある統理が引き取っている百音ちゃんの視点の軽いお話なんですが、他の3つは桃子さん、路有くん、基くんそれぞれを主人公としたお話。どれも少し悲しいけど、最後には前を向いて頑張れる感じがする素敵なお話でした。自分で自分の機嫌をとる、という桃子さんのセリフ、これができる大人になりたいと思いました。そっと背中を押してくれるような素敵なお話でした。

  • しっとりと、ふんわりと、包み込んでくれるような小説。
    それぞれに事情を抱えた人々が、辛くても、切なくても、わからなくても、わかってもらえなくても、うまくいかなくても、生きていかなくちゃならないし、その中にも喜びは見出せる。
    この人たちのいるマンションの屋上に、縁切り神社に、私も行きたい。そう思えた。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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