([ほ]4-6)活版印刷三日月堂 小さな折り紙 (ポプラ文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 435
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591165874

作品紹介・あらすじ

<内容紹介>
小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉――。
三日月堂が軌道に乗り始めた一方で、金子は愛を育み、柚原は人生に悩み……。そして弓子達のその後とは? 三日月堂の「未来」が描かれる番外編。

<プロフィール>
ほしおさなえ
1964年東京都生まれ。小説家。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。『銀塩写真探偵』『金継ぎの家 あたたかなしずくたち』「菓子屋横丁月光荘」「活版印刷三日月堂」シリーズなど著作多数。

感想・レビュー・書評

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  • 全巻通じて、ゆったりと時間の流れる優しい物語だった。

    一巻では少し陰のある不思議な雰囲気の人だと思っていた。幼い時に母が亡くなり、可愛がってくれた祖父母も、そして父も亡くなった。頼れる身内もなく、川越の三日月堂に引っ越してきたときは一人ぼっちだった弓子さん。
    でもお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんの願いも夢も、弓子さんの中に受け継がれていて。三日月堂を再開し、たくさんの人と出会い、川越では新しい家族もできた。

    『小さな折り紙』では、幼き日の弓子さんのエピソードがある。お母さんがまだ字の読めない弓子さんに折ってくれたチューリップの折り紙。亡くなった後に、チューリップを折っていてうずくまってしまった弓子さん、そして優しく気持ちを受け止めた園長先生…。
    卒園式の記念品を三日月堂で。心のこもった仕事で、未来を後押ししてきた三日月堂の、最終話を飾るにふさわしいお話だった。

    そもそも印刷産業自体が斜陽化していて、新聞とか雑誌とか書籍とか、どんどん売れなくなっている今の時代。活版印刷のような手間暇かかる古い技術だけで利益を上げていくって、商売のことはよくわからない私にも、そんな簡単なことではないだろうとわかる。
    でも三日月堂にはずっと灯りがついていてほしい。中では印刷の賑やかな音がして、みんなが生き生きと忙しく動き回っていて。
    弓子さんが家族といつも笑っていられますように。

  • シリーズ第六弾。

    裏表紙には三日月堂の「未来」が描かれる番外編と。
    6編からなる連作。
    前5編がこれまでのような、登場人物を主役にした周りのお話。
    最後の1編は、主人公 弓子の突然の時間が経ったお話。

    結婚について、
    「たいへんなことだってあると思う。でも、たいへんじゃない人生なんてないでしょ。二人で生きるって、荷物を分け合って楽するためじゃない。もっと大きな荷物を背負うためなんだって。」

    どうなんだろう?これで完結??
    みごとに主軸とその周りの話がバランス良く配置されたいい作品だったように思います。
    とにかく活版印刷に興味を持ち、文字を味わうことをこれから実践したいと感じたシリーズでした。

    • りまのさん
      友達だった人が、貸してくれました。良かったです。
      友達だった人が、貸してくれました。良かったです。
      2020/08/27
    • いるかさん
      りまのさん
      ありがとうございます。
      このシリーズ とってもよいです。
      人に勧めても概ね好評です。
      大切にしたい本です。。
      りまのさん
      ありがとうございます。
      このシリーズ とってもよいです。
      人に勧めても概ね好評です。
      大切にしたい本です。。
      2020/08/27
    • りまのさん
      ありがとうございます。
      ありがとうございます。
      2020/08/27
  • 大好きなこのシリーズもとうとう最後まで読み終えてしまった。
    最後の最後までほろりと泣ける。

    「あたたかい。やさしい。それでいて力強い」
    活字の本を示したこの言葉は、活版印刷だけでなく活版印刷に携わる三日月堂にも当てはまる。
    そして活字に込められた人々の想いや願いも、生きた証として「あと」を残していく。
    その先の未来では、きっと星となって人々の心の空でいつまでも光り続けるだろう。

    弓子の活版印刷にかける情熱もいずれ子供が受け継ぐことに期待して、三日月堂の未来を託して、最後の頁を閉じた。
    心地好い余韻にひたりながら。

  • 三日月堂の「未来」が描かれる番外編だけども、三日月堂と弓子さんはなかなか出てきません。
    三日月堂で作品を作った人達の1年後くらいのお話が暫く続きます。
    最初の5編で三日月堂が皆に愛され、仕事も順調に回っている様子が伝わってきます。

    サブタイトルになっている最後の「小さな折り紙」で、いきなり保育園児になった弓子さんの息子が登場します。
    最初の2行でこの子は弓子さんの子だ!と感じました。
    弓子さんと同じ保育園に通っており同じ先生もいます。
    川越の街にすっかり溶け込んだ三日月堂で卒園の記念品を作る話なのですが、弓子さんが園児だった頃の回想場面で小さな折り紙が出てきます。
    この折り紙にまつわるエピソードについては秘密ですが、ここで思わず涙する人はたくさんいたに違いありません。
    大人ならそれが何か言葉で表せるのだけれど、子どもにとっては初めて襲ってきた感情に向き合うのは難しい。
    そんな小さな弓子さんの気持ちを察することができる保育園の先生って凄いなとも思いました。

    とうとう全6巻を読み終えてしまいましたが、どの話も気分が落ち着くいいシリーズでした。


    ----- 参考 -----

    このシリーズ、子ども用にルビを追加した単行本が「活版印刷三日月堂 特装版」として発行されているのを知りました。
    図書館用に発行したもので部数が少ないらしいので、書店で見かけることはないかもしれません。

    「子供」という特別な時間に自分の本を読んでもらうこと――「特装版 活版印刷三日月堂」ほしおさなえさんインタビュー
    https://note.com/poplar_bungei/n/n4bf8a4cef06b

  • 第一作の「星たちの栞」から、「海-」「庭-」「雲-」の4冊でシリーズの中心となる時間を描き、「空-」で弓子の幼かった頃へと遡り、そして本作では「雲」で悠生と共に生きてゆくことを決めた弓子のさらにその先へと時間を経た後日譚となる六編。


    いやもう、またいちいち泣かされます。

    最後におかれた「 小さな折り紙 」では、弓子と悠生の息子の佑くんが登場!
    弓子もかつて通っていた、あけぼの保育園が舞台。
    佑くんの優しさ健やかさが、両親の愛情をたっぷり受けている幸福を感じさせる一方で、その頃既に母を亡くしていた弓子を思うと…
    そして「小さな折り紙」のエピソード。もう、言葉にならない。

    でも、もう大丈夫。
    弓子も三日月堂も、沢山の理解者に支えられて、もうしっかり根を張って、ぐんぐん幸福な枝葉を伸ばしてるから。
    あぁ、良かったよかった。

    シリーズを通して、誰も彼もが良き理解者、新しい試みはどれも大成功、ひとつも悪い汚い障害に遭わないことが、夢物語すぎる、甘すぎると感じる人もいるかもしれないけれど…
    素直に心が洗われるに任せて、読んだあと、世界が綺麗に見えるような物語も、やっぱりいいのです。

  • 本編のさらに先のお話。三日月堂だけでなく、これまで出てきた川越の街の人たちが描かれて、あっ久しぶり・・・、みたいな気持ちに。なにかを残す、伝える、ということについて想いを馳せる雰囲気が全体的に感じられた。
    「小さな折り紙」がいちばんよかったなぁ・・・弓子も三日月堂も次のステップに進んでいて、でもそこには過去から繋がってきたものごとが確かにあって。
    「生きているものはみなあとを残す。」

  • シリーズの番外編。

    三日月堂の三日月堂らしい優しくやわらかなお話。
    どのお話も三日月堂や弓子と
    とてもうまく繋がっていた。

    子どもを育てたことで思うことの一つに
    子育ての感覚は
    自分の子ども時代を追体験することでもあるなぁということ。
    だからこそ
    最後の「小さな折り紙」は
    弓子の小さなころを思うと
    なんとも言えない気持ちになる。

    いつもいつも、このシリーズは急ぐな急ぐなと言ってくれる、
    大好きなシリーズだ。

  • 三日月堂のお話が、弓子さんの結婚で終わってしまうと思っていたら、待望のスピンオフが出ました。
    これまで活版印刷に関わってきた人たちが、主役になり、脇役になり次々登場するのでファンにはたまりません。
    それぞれの人生、人物たちがどこかで決心し、前へ向かっていこうとする姿が、作者に選ばれた言葉で表現されています。人生の機微というのかな。その辺りの表現が独特です。もう続編はないのかもしれないけれど(いえ、書いて欲しいですけど!)それぞれの今後をいろいろ想像してしまいました。

    初版には限定で、活版印刷による1ページが付いています。この字体、見たことがある。ずっと昔、家族の教科書で。活版印刷で作られていたのか・・・。触れると活字のくぼみが感じられます。

  • シリーズの短編集。本編は活版印刷所が舞台ですが、短編集では主人公以外が主役のため、あまりでてきません。どれもよい話で、フレーズがぐっとくる。大人になったからこそ、楽しい世界もある。おすすめです。初版は扉ページが活版印刷です。

  • いよいよ最終巻
    読んでいると、今までに登場した人が出てきて、なんだか懐かしい感じがした

    ちょうちょの朗読会を開いた司書の小穂さん、デザイナーで三日月堂に出入りしていた金子さん、三日月堂でアルバイトしている楓さん、高校の文芸部の侑加さん、亡くなった姉のファースト名刺「あわゆき」を作った広太君など

    みんなそれぞれの人生を着実に歩んでいる

    そして、何よりも大きな変化は、弓子さんが悠生さんと結婚して佑君という元気いっぱいの男の子のお母さんになっていたこと
    いつも静かで、聡明で、美しい弓子さんだがどこか淋しい感じが拭きれなかったけれど、弓子さんに家族ができた
    自分のことのように嬉しい

    活版印刷三日月堂も着実に仕事を広げていた

    古き良きものを見直すきっかけも与えてくれた本だった

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『銀塩写真探偵 一九八五年の光』がある。

「2020年 『紙屋ふじさき記念館 物語ペーパー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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