お探し物は図書室まで

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591167984

感想・レビュー・書評

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  • 小学校に併設されているコミュニティハウス内には、区民が利用できる小さな図書室がある。
    そこを訪れた人たちが、それぞれの心を響かす本との出会いを通じて、前に向かって歩み出していく…というハッピーな物語です。

    短編が5つあって、一つひとつの主人公は異なるのですが、
    どの主人公も、自分の人生このままで良いのかな…というぼんやりした悩みを抱えています。
    そんな彼らに、転機となる本を紹介してくれるのは、ふくふくした体型が特徴的な司書の小町さゆりちゃん。
    絵本や詩集など、大人になるとなかなか手を出さない分野の書籍をおすすめしてくれるのが、なんだか優しいなぁと思いました。


    個人的には、定年退職したお父さんが登場する一番最後の短編が好きです。
    働く職場だけが"社会"ではなくて、『人と人が関わるのなら、それはすべて社会』だという考えは素敵だと思いました。
    お家で家族と過ごすひとときも、趣味に没頭する時間も、ありきたりだなぁなんて思わないで、楽しんだもん勝ち!
    急ぎすぎないで、時にはカニ歩きをしながら周りの景色を楽しんで、のんびりやっていけば良いんですよね☆

  • 「いつかって言ってる間は、夢は終わらないよ。美しい夢のまま、ずっと続く。かなわなくても、それもひとつの生き方だと私は思う。無計画な夢を抱くのも、悪いことじゃない。日々を楽しくしてくれるからね」

    「でも、夢の先を知りたいと思ったのなら、知るべきだ」

    P77 第6項参照

    ✼感想✼
    2021年度本屋大賞ノミネート作品。
    本屋大賞の本はどうしても一冊読みたくなります。
    全部で第5章あるのですが、それぞれ悩みを
    抱えている主人公達があるきっかけで、
    区のコミュニティハウスの中にある
    図書室に行くことで、そこの司書さんに
    自分の悩みを解決するヒントになりそうな
    本を紹介され、それを読み進めていくことで
    それぞれ主人公が気付きをえて
    人生を進んでいくという話でした。
    自分もこの本を読みながら色々と刺さる
    セリフであったり文章が多く散りばめられていていて
    読む手が止まらなかった記憶があります。
    これから先、自分が何かに悩んだ時に
    ふと手に取るような大事な本に出会えました。

  • 短編集ですが、それぞれの話の主人公が、色々な場面で登場し、ストーリーが重なる感じがとても良く出来ていて、面白かったです❕

    読みやすくグイグイ入って、すぐに読み終わってしまいました。
    爽快な読後感でした。
    ぜひぜひ、読んでみてください。

  • 新刊『お探し物は図書室まで』11/9発売です|青山美智子|note
    https://note.com/michicoming/n/nd94be1c61d16

    お探し物は図書室まで 青山 美智子(著/文) - ポプラ社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784591167984

  • 私が読む青山美智子氏作品の6冊目。
    本書よりも後から発刊された作品の何冊かは先に図書館で借りることができて読了しているが、本書は1年以上待った。

    かつて一度だけ乗ったことがある東急世田谷線が本書にチラッと出てきた。
    本書にははっきりと東急世田谷線と書かれていたが、つい最近読んだ本(青山さんではない)のどこかにも、「はっきりとは書いていないが、これは世田谷線のことだよなぁ」と思ったシーンがあった。
    しかし直近の自分のブクログ本棚の表紙を見返してみても、どの本に出てきていたのか思い出せない。
    全くどうでもよい些細なことだが、こんなにも直近に読んだ書籍のことが明確に思い出させな過ぎて凹んだ。

    本書は2章のアンティークショップをやりたいと思っている男性の話(まさに世田谷線が出てきた章)のところで、世田谷線の件とは関係なく、なんとなく少し本書への興味と意欲が減ってしまった。
    が、やっぱり全体的には良かった。

    各章で、「お菓子の箱」を見た時の登場人物たちの感想と、司書の小町さんが「羊毛フェルト」について述べるセリフが、少しずつ異なっているところが好き。
    小町さんの「羊毛フェルト」に対してのボソッとしたセリフが、聞いている主人公側にはたまたま妙に刺さる内容なのが良い。

    「ちゃんと見ていてくれる人っている」ということと、「結局誰かの言葉をどう感じて、咀嚼して、どう変わっていくのかは、本人次第。ここに出てくる5人はみんな自分で気付いて、良い方向に変わっていくんだから本当に偉いよなぁ」という2点が、本書で私が抱いた感想。

    やっぱり青山さんの作品は好き。

  •  いい本だったな。読み終えて、思わず口からこぼれた言葉。

     私の大好きな連載短編集。

     ひとつひとつの物語がとても素敵で、生きる希望に満ち溢れ、じんわりとした感動に包まれる。

     それぞれの章には、人生に行き詰まりを感じたり、悩みを抱えた人たちが登場する。そんな彼らは導かれるように図書室を訪れる。

     図書室にはレファレンス担当の司書、小町さゆりさんがいて、その巨体からは考えられない小さな羊毛フェルトを作っている。そして、訪れた彼らに『何をお探し?』と問いかけるのだ。

     小町さゆりさんは、彼らが求める本の他に彼らにとってより必要な本と附録として手作りの羊毛フェルトをプレゼントする。

     その本をきっかけに、彼らは明日への希望を手にすることができるのだ。

    ①朋香 21歳婦人服販売員
    ②諒 35歳家具メーカー経理部
    ③夏美 40歳元雑誌編集者
    ④浩弥 30歳ニート
    ⑤正雄 65歳定年退職

     あの章に出てきたあの人はどうしてるかな?と思った時に他の章で元気な姿に出会えたりすると、読者としては素敵なプレゼントをもらったような気になる。

     小町さゆりさんは、私が図書室に訪れたら、どんな本を紹介してくれるだろう。

     これから読む人に、きっと明日から頑張ろう!と思わせてくれる。そんな物語。

  • ① この本を選んだ理由
    筆者のことは知らなかったが、タイトルと評価に惹かれて。


    ②あらすじ 
    登場人物たちは、悩みをかかえ生活している。
    そんな中、皆一様にコミュニティハウスの図書室に導かれ、人生に影響を与える書籍と、付録に出会い、新たなる道へ進んでいく。


    ③感想
    前向きなお話が、読み終わった後に心地良かった。皆が前に進んでいく姿に自然と涙が出そうになった。
    同じエリア内でのお話ということもあって、各章の登場人物が、別の章でも登場してくる。その繋がりも面白くて、人は必ず誰かの人生に影響を与えているんだなと、感じることができた。

    小町さんがマツコのイメージになってしまって、なんか変にリアルな映像が頭に入ってきた…


    ④心に残ったこと
    各登場人物たちの言葉が心に響く。
    小町さんの紹介する本は実在するので読んでみようと思う。
    ・ぐりとぐら ※これは知ってる
    ・英国王立園芸協会とたのしむ植物のふしぎ
    ・月のとびら
    ・ビジュアル進化の記録 ダーヴィンたちの見た世界
    ・げんげと蛙 草野心平


    ⑤登場人物 

    コミュニティハウス
    ・小町さゆり 47歳
    ・森永のぞみ

    1.藤木朋香 21歳
    短大を出てエデンに就職
    ・沼内 55歳
    ・桐山 25歳

    2.村瀬諒 35歳
    家具メーカーの経理部勤務
    ・海老川
    ・田端
    ・比奈
    ・安原

    3.崎谷夏美 40歳
    元雑誌編集者で一児の母
    ・双葉 娘
    ・木澤 40歳
    ・桐山

    4.菅田浩弥 30歳
    コミュニティハウスで働き出す若者
    ・征太郎
    ・古田

    5.権野正雄 65歳
    定年退職してやることが定まらないおじさん
    ・依子 妻
    ・矢北
    ・海老川
    ・藤木

  • 短編集で、ところどころにそれぞれの登場人物が少しづつ絡む。
    世の中がいろんな人の縁でつながっていることを感じさせてくれる。

    婦人服販売員さんの上司とのやり取り好き。
    難しい客の対応のあと、カバーした上司もあとで部下に対して厳しくいかず謙虚だし、
    部下も素直に反省して謙虚。

    よく思うのだけど、対人スキルというのは学生の頃は学ばないけど
    社会人になってから教科書なしで学んでいくものだと思う。
    「対人」は対お客さんもそうだし、社内上司や部下、年の離れた同僚や関係会社の人などそれぞれ適切な関係を適切に構築していくのはそれなりに業界独自の経験と知識が必要で、学力とは別の話。
    私もいまだに年次が上の人の圧倒的な対人スキルを目の当たりにすると「とてもまねできん」と思うこともあるが、内向的な自分でも知識と経験である程度はカバーできるものだと今は理解している。

    "たいした仕事"かどうかは主観的な価値観に左右されるけど、社会のどんな組織にも熟練のスキル(対人スキルに限らず)を持った人は多かれ少なかれいて、それが特に目に見えないものだと若い人にはそこは魅力のない組織に映るかもしれない。

    そういった目には見えないけど大事なことを若い人に適切に伝えることができる人が多い組織、社会は幸せだと思う。
    そういう大人に自分がなれるように努力していきたい。

  • 誰でも後悔したり、苦しくなったりする。そんなとき、司書さんのような人に会ってみたい。そして自分の新たないきる道を見つけることができたらいいなと思う。(羊毛フェルトほしいな)

  • 青山美智子さんの本は2冊目。とても暖かい話でほっとする。またどこかで繋がっているところが縁を感じて、そういう気持ちになるのかも。一度立ち止まって自分と向き合ってみたくなる。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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