月の立つ林で (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
4.22
  • (1187)
  • (1175)
  • (442)
  • (41)
  • (9)
本棚登録 : 12459
感想 : 1044
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591175354

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 青い表紙に窓が描かれている。
    今は夜なのだろう、外は竹林で満月が
    出ている。窓際には猫(=^_^=)
    「あずかって」、と持ち込まれた猫だろう
    か?もう、一章が始まっている。

    一章 誰かの朔
    二章 レゴリス
    三章 お天道様
    四章 ウミガメ
    五章 針金の光
    この五話がみごとに連作
    となって月のように光っている。


    「竹林からお送りしております、タケトリ・オキナです。かぐや姫は元気かな」
    という決まり文句で始まる、~~ツキ
    ない話~という題名のポッドキャスト。
    主人公たちは皆、このタケトリオキナを
    あるきっかけから聴くようになる。
    タケトリオキナは月に詳しい。
    お恥ずかしい話、私は新月というものが
    目に見えないことを、初めて知った。
    ――月の通り道を“白道ハクドウ”と呼ぶ
    こと。二分間のスピードで、月ひとつ分移動する。飛行機だったら月まで十六日で行くことができる――本文より


    私はお天道様という話が、いいと思う。
    娘が彼を連れて来た。
    もう、妊娠しているという。
    順番が反対ではないか!父親は婿が気に入らない!・・・・が、あることをきっかけに父親は・・・・

    読み進めていると、タケトリオキナの
    正体が気になってくる。
    今まで登場している人の中に、もしかしたら・・・・・
    満月に願いをかける、という。
    月は毎日姿を変えている。
    私たちも時の流れにのって、前へ前へと
    進んで行きたい。


    ・・・・・素直になって、再会して欲しい!と、想う人はこちらのことをどう思って
    いるのだろう?
    ポッドキャストは、その橋渡しになって
    くれないだろうか?

    青山美智子さんは本当に連作短編小説の
    女王だと思う。
    でも、たまには長編小説を読んでみたい
    かな?とも思わなくはない。
    もし、青山さんが長編小説を描いたら
    どんな小説が出来るのかな?


    2023、2、25 読了

    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      青山作品、楽しめたようですね。★5つとはすばらしい。
      飛行機だったら月まで十六日!
      そうなんだね。意外と近いと思っ...
      アールグレイさん、
      青山作品、楽しめたようですね。★5つとはすばらしい。
      飛行機だったら月まで十六日!
      そうなんだね。意外と近いと思ってしまった。近い将来、月までの旅行をしてみたいな。
      2023/03/21
  • 竹林からお送りしております、タケトリオキナです。かぐや姫は元気かなーー……で始まる『ツキない話』のポッドキャスト。

    すべてが、このポッドキャストから繋がっていく。

    青山美智子さんの文章が美しすぎて、自分の心も浄化されていく。

    帯にもあるように、最後に仕掛けられた驚きの事実と読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ心震える傑作小説です。

    環境や人間関係が大事だとつくづく思う今日この頃です。

  • 青山美智子さん最新刊。相変わらず優しくて温かい物語が紡がれていた。

    今回も連作短編集。年齢も職業も境遇もばらばらで、思うように現実がうまくいっていない人、何かに不満を抱いている人などが主人公として出てくるが、ふとした出来事をきっかけに見えないところで自分を支え思い続けてくれていた相手の思いやりに気づいたり、自分の気持ちに素直に従うことが大切だということに気づいたりする。青山さんの小説は自分がちゃんと頑張っていることをまず自分が認めること、自分を応援してくれている人がいることへの感謝の気持ちを持つこと、自分を大事にすることがいかに大切かということを再認識させてくれる。人は他人と比べたり、できないこと・うまくいかないことばかりに焦点を当てがちだが、そこに存在しているだけで尊いもの、誰かの思いの対象になっているのだ、ということを改めて教えられた。私ももっと自分自身を大切にしようと思った。

    作中、ポッドキャストでタケトリ・オキナの『ツキない話』という番組が出てくるが、フィクションで実在しないのにもかかわらず、聴いてみたくなりつい検索してしまった。

  • 最後の章で一気に来ました。
    他の章も良かったですが、正直いつもと同じ位しか感じませんでした。
    それを全て、払拭してくれました。
    また、他の方も感想に書いていましたが、青山さんの書くセリフがとても素敵だと思いました。

  • 青山美智子さんの連作短編集。
    五つの作品で構成されていますが、全ての話が繋がっています。この繋がり方と最後にハッとする構成には青山さんの上手さが際立ちます。ただこれまで私自身が青山さんの作品に感じていた「キラキラ感」があまり感じられず、ましてやファンタジーではありませんでした。

    生きていくことの苦しみ、不条理、辛さといったものを五人の主人公の日常から浮き彫りにしていく。家族、兄弟、身の回りの人、そして自分自身。主人公たちは近しい身の回りの人たちとの関係性の中で心が辛くなってくる様子が青山さんの柔らかく暖かい筆致で綴られていきます。

    各作品の主人公は、生きることに閉塞感を感じている元看護師。売れっ子を目指しているが、日々バイトに明け暮れざるを得ない芸人。娘や妻の現実の行動と自分の感じていることのギャップに寂しさを抱えたバイク整備士。母親から独立したいのだけれど孤独に苦しむ高校生。趣味が仕事になり、順調になるにつれて家族との距離感がわからなくなる女性。

    主人公たちは、苦しいけれど日々を懸命に生きている人たち。皆さん繋がりがあるので、各作品の入り口の辺りから背景がすんなりと入ってきました。各主人公たちはどちらかというと自ら自身を追い詰めていくような、なかなか逃れることが難しい苦しみにとらわれている。

    そんな彼らはポッドキャストでタケトリ・オキナという男性が毎日発信している「ツキない話」という「月」に関する10分の語りを心に刻んで苦しみの捉え方を変化させていく。

    月に関する様々な話は、今まで知らなかったことも多く新鮮でした。満月、三日月(クロワッサン)、新月。特に新月にまつわる話が印象的でした。旧暦では、新月が一か月の始まりとされ、月が始まる、月が立つと言われてきたそうです。この月が立つが、月たちになり、「ついたち」と言われるようになったと。知りませんでした。また、満月の月がどうして「球体」ではなく「お盆」のように平坦な丸い形に見えるのか?これも言われてみればなるほど、、、(自分が無学なだけなのでしょう)。

    このポッドキャストのタケトリ・オキナという男性。一体誰が何の目的で発信しているのか、五つの作品を読み進めていくと徐々に見えてきました。ただ、私の予想は見事に外れてしまいましたが。青山さんは作品の各所で何度もそのヒントを出していたのに自分の想像だけが先立ってしまった。もちろん正解の人物でも十分納得できます。それでもタケトリ・オキナの声の質というものは大人の声ではないか?しっとりと落ち着いた声、私は「城達也」さんの声を思い浮かべていました。

  • 静や陰をにおわせる、神秘的な一冊でした。成長するためには、孤独との戦いは必要だと思います。そして、何かを犠牲にすることもあるかもしれません。そこの塩梅について気付かせてくれました。

    青山氏の作品には、独特の個性を感じます。個人的には前作の「赤と青とエスキース」が光っていました。あのとき、本屋大賞を獲ってほしかった!
    2023,1/26-1/30

  • 本屋大賞2年連続第2位!青山美智子、一年ぶりの書き下ろし『月の立つ林で』を刊行|株式会社ポプラ社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000525.000031579.html

    月の立つ林で|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社
    https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008405.html

  • あぁ〜今作もしみじみ良かった〜〜☽⋰

    青山さんと言えばの連作短編なんですが、これがほんと不思議だけど飽きる事がないんだなぁ〜♡

    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
    ポッドキャストの番組「ツキない話」を元に繋がる5つの物語。

    ◻︎人の役に立ちたいが、ある出来事で自信を無くし、長年勤めてきた病院を辞めてしまった元看護師の怜花。

    ◻︎芸人になる夢を諦めきれず、いつか周囲を見返したいと思うものの全然上手くいかないポン。

    ◻︎娘の突然の結婚を素直に喜べず、寂しさを抱える父親。

    ◻︎早く自立したいと願う母子家庭で育った那智。

    ◻︎ハンドメイドのアクセサリーが大人気になり、仕事と家庭のバランスに悩む睦子。

    つまずいてばかりの日常の中、月に関する語りに心を寄せ、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく。
    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

    とっても優しいお話だった
    ただあったかいというより、しっとりと心に染み渡る感じ(*˘◦˘*){♡]
    ポッドキャストってiPhoneに最初からあるのは知ってたけど、使った事なかったなぁ〜。
    ちょっと覗いて見たら色んな番組があってびっくり!
    タケトリオキナも検索してみたけど、それはやっぱりなかったな笑
    せっかく知った事だし試しに何か聞いてみようかな(≧∀≦)

    どの話も良くてウルウルㅠㅠ
    その中でも「お天道様」が1番好きでした。
    お父さんって不器用な人が多いけど、そこがまた良くて。

    今作も繋がり方が絶妙〜!
    青山さんほんと巧いなぁ♡
    そのおかげで短編なのに登場人物それぞれにすごく愛着を感じてしまうんですよね♡︎ʾʾ
    ちなみにタケトリオキナはすぐにそうだろうと思いました✌︎⚆.̮⚆︎︎︎︎✌︎
    書き出せないほど素敵な文章もいっぱい!

    マンネリ化したどんよりな毎日が、なんだかリセットされた気分になれるような素敵な作品でした♪

    本屋大賞ノミネートのタイミングで読めて良かった。

  • 本作も青山美智子さんワールド全開で、包まれるような優しさで満たされました。

    本作はポッドキャストとそれを聞いた人々の物語で、構成としては連作短編集。本作も充分良作であったと思いますが個人的にはエスキースの方が好みだったように思います。どちらも結末の迎え方は素晴らしかったのですが、結び方に少し差異があるので、そこはまぁ好みは分かれるかなぁとは思います。

    再就職や、夢と現実の葛藤、結婚、親からの自立と題材はどれも現代人が抱えてそうな項目の目白押しで、どの短編でも、主人公に優しい手が差し伸べられており、少しずつ勇気を分けて貰える感覚は素晴らしかったです。

  • ポッドキャスト「ツキない話」のリスナーを主人公にした5話の連作短編集。

    もどかしい気持ちや不安を抱えた人たちが、目に見えないところで繋がって影響を与え合っていく、奇跡のような物語。
    一章、二章、三章と読み進めるに従って色々な繋がりが見えてくる青山さんの連作短編集、やっぱり楽しいです。

    月にまつわる豆知識も興味深く、新たな気づきがたくさんあって、じんわり心に沁みる素敵な本でした。
    明日は満月だそう。久しぶりに月をゆっくり眺めたくなりました。

全1044件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

青山美智子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×