『綿の国星』『夏の終わりのト長調』
の独特の雰囲気で好きになった大島弓子さんです。
夢の様な絵の中に、うっすら漂う怖さ、みたいな。
ただ、この本ではその雰囲気がちょっと少なかったので残念。
『青い固い渋い』
結婚という形をとらずに、田舎暮らしを始めた二人。行ってみれば良いことや良い人だけではな。投げ出して都会に帰ろうとした電車を待つ間、顔見知りの無口の郵便局員さんが一言話しかけてくれた。
それだけで、もうちょっとがんばれるようになった
『8月に生まれる子供』
凄まじい速さで老化していく大学生・びわ子。
姉に産まれる子供の話を聞いて、自分は痴呆によって全てを忘れるのではなく、新しく産まれ変わるのだと感じる。
『ロストハウス』
鍵を開け放して出かけるマンションのおとなりさん。
小学生のえりはいつでも入っても良いとのお許しをもらい、ちょくちょく出かけるようになる。
いつのころからかお隣さんの彼女が一緒に住むようになり、最初は居場所を奪われた気持ちになったが、
彼女からも「いつでも入って来て良い」との言葉が。
入っていっても話はしないが、そっとお茶を出してくれる。
彼女の死と自身の家の引越しによってその場所は失われてしまったが、
大学生になった今も、えりはその「奇跡の関係」を求めている。
『クレイジーガーデンPART1・2』
実家の山を守るため、文通相手を勝手に頼って都会へ出てきた高校生テル。
文通相手から部屋の半分を借りることになり、ついでに彼の卒論のテーマとなることになった。
高給にひかれて電話風俗に勤務していたが、偶然芸能界にスカウトされて大人気となる。
風俗がばれた時も、同棲(実際には同居だが)が世間にバレた時も、テルは何も隠さず悪いとは思わず、文通相手にだけはきちんと謝るさっぱりさ加減が面白かった。