ぼくはくまのままでいたかったのに

  • ほるぷ出版
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593500802

感想・レビュー・書評

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  • くまが冬眠から覚めると、洞窟の外の森は工場になっていた。
    くまを見つけた人間達は、くまをクマと認めず、「さぼるな!」と言って工場で働かせます。
    工場内で一番ヒマだった社長が、「自分はクマだ」というくまの訴えを面白がり、くまを動物園やサーカスに連れていき、他のクマ達に会わせます。
    しかしどのクマも、オリにはいってもいない、芸もできないくまをクマと認めません。
    くまは途方にくれてしかたなく工場で働き続けるも、冬眠シーズンが近づいていねむりばかりしてしまいます。
    そして今度は一方的に工場をクビになりました。
    勝手に働かせておいて、勝手に解雇されたのです。
    工場を出て歩きつかれたくまはホテルを訪ねますが、「クマなんて泊められない」と冷たくあしらわれます。
    クマじゃないから働けと言われ、クマだからホテルには泊まらせられないと言われ、くまは自分がなんなのかわからなくなっていきます。

    雪の中には、洞穴へ続くクマの足跡が続いていきます。
    くまは自分がなんだかわからなくなっても、本能で冬眠を始めたのでしょう…。


    勝手に人を見定めて、本人の意思を無視して命令をくだす、
    という人間社会を皮肉った絵本なのですが、
    最近、人間なのにクマのふりをする人も増えてますので、完全同意できない自分がやるせないです・・・。

  • 小2のとき学校の図書室にあった、ぼくのなまえはイラナイヨの隣にあった本。表紙がこわかったから何故か今も覚えてる。読んだことはないが。

  • 読み終わった後、悲しくて悲しくて泣いてしまった。
    自分のアイデンティティを否定され続けた先の、自分に戻ることが難しいことがつらい。

  • 冬眠中に周囲で工場建設が進み、冬眠から目覚めたところを声をかけられ、人間として働かされるくまのおはなし。
    顔の毛を剃らされ、服を着て訳もわからず働かされるくまが不憫。大人向けの作品。

  • 何が辛いって、くまが街に紛れ込んで労働者として工場で働かされ、くまがヒゲをそって仕事するとこ。
    とにかく読んで辛い。
    自分の本意ではないことを強いられる辛さ、違うコミュニティに紛れ込む辛さ。
    辛いとしか言いようがない。

  • ネットで紹介されているのを、見て、タイトルと表紙から興味をそそられ、アマゾンで中古本を入手。買って良かったです。
    全編に渡って風刺が効いているのですが、動物園・サーカスの熊たちの描写が特に面白かったです。飼い慣らされると、ついに「檻の外にいるならば熊ではない。」と思うようになる。

  • 熊が人間に勘違いされて、怠け者扱いされて、働かないとならなくて。
    人間の身勝手さと、熊が諦めて人として生きる悲しさとが滑稽で切なくてシュール。

  • あまりにもせつな過ぎる話でした。
    でもわたしたちはこんな風に動物からそれらしく生きることを
    奪い、人間として生きろと強制しているのかもしれないともおもいました。

  • 絵本です。捨てられない絵本のうちの一冊です。絵がきれいで、悲しくて、せつなくて。

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