ブレンダと呼ばれた少年

  • 扶桑社
3.56
  • (4)
  • (7)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 97
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594049584

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 書評か何かの記事で紹介されており手に取った。
    「『男/女らしくあれ』とする育成環境で人の性別は決定される」として、本来の性別を剥奪され長年にわたって実験対象として嬲られ続けた双子の運命は想像を絶するものがある。また、この双子の他にも同様の思想をベースに外科的処置を施され、ホルモン治療により精神が乖離した患児達も同様であり、おそらくは現在もなお同様の悲劇は起こっていると推察される。
    本書は自説や思想に固執し、ヒトの遺伝子的に決定された性を物理的にも精神的にも操作し破壊する行為を正とし、四半世紀以上にも渡って権威として確立された中で、本件のような逆説を唱えることの難しさにも触れられている。
    全編通じて、
    ・ジェンダーアイデンティティを確立するのは性器の状態ではなく脳
    ・精神的な安定、自己像の形成に於いても同様
    ・欠いて生まれた子供は本人が成人して決断を下せるようになるまで外科的処置もホルモン治療も受けるべきでは無い
    と、今では普遍的(と思いたいが、本編にもあるように性科学は「自称」や本人の証言を大層を占める部分があるので何ともあやふやである)な思想を獲得するまでの苦心の歴史も綴られている。これは少し前の過去の出来事ではなく、現在にも確実に繋がっている事件であり、整理してしまっておくものではない。

  • [ 内容 ]
    後8か月の男の子がモルモットにされた。
    不幸な事故で性器を失った男の子が性転換手術を受けさせられた。
    「性は環境によってつくられる」という理論の裏付けに利用された“少女”が直面した心の葛藤とは。

    [ 目次 ]
    第1部 SFゲーム(初春の吹雪;性の伝道師;ブレンダへ;氏か育ちか;密室での面接;逃避行)
    第2部 自分の生いたちを知って(困惑する医師たち;風変わりな少女;性転換者;女医マッケンティ;過去の名前;デイヴィッドへ)
    第3部 自然のままの姿で(不可解な沈黙;あいまいな性器;カリスマの落日;真の男として)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

ジョン・コラピントの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×