ヒトはなぜ、ゴキブリを嫌うのか?~脳化社会の生き方 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594081546

作品紹介・あらすじ

「人間は、意識だけでできてるわけではない」より<抜粋>
~基本的に私どもは意識の世界に住み着くというくせをつけてしまった。その方が意識にとっては居心地がいいわけで、なぜならばそういう世界にはゴキブリがいないからです。ですから、あのゴキブリを追っかける執念というのは私は非常に興味があるのでいつも見ています。どうしてあんなか弱い生き物が気に入らないのか。しかしその裏には非常に深い、何か根の深いものがあるのです~



目次
意識は、なぜあるのか?

人間は死んだら「モノ」なのか?「ヒト」なのか?

人間は「人工身体」と「自然身体」の二つのからだを持っている

人工(脳)と自然(身体)との
        釣り合いこそ重要である

人間は、意識だけでできているわけではない

「男」と「女」という言葉ができたとき、
         性の連続が断ち切られた

人間は、自分ができることの説明ができない

子どもを育てるとは「手入れ」をすること

「ああすれば、こうなる」だけになった現代社会

感想・レビュー・書評

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  • 2019-9-27 amazon

  • 自然と人の世界を分けることで進んできた。
    脳のアウトプットは運動だけ。

  • 著者を知らぬと門外漢なパートでは偉く不遜に感ず

  • 都会と田舎。

    自然と人工。

    対比が面白かったです。

    人間は自然を排斥して全てをコントロール下に置こうとする傾向がある。

    その点をGで騒がれすぎている、ゴキブリを例に挙げている点は流石だと思いました。

  • 著者が現在の日本のおかしいなと思っているところをズバズバと日本史や海外を実際に見た観点から話している。
    都市化という言葉がよく出てくるが、その言葉と自然という言葉を対義語として、日本は全然自然ではなく、人工のものだと語っている。
    確かに大人になるにつれて目標や未来のことを考え、ああすれば、こうなるを求めるようになってきているが、本来はやっていたら辿り着くというのが理想なのではないかという感覚は共感した。つくった生活を生きるのではなく、どうなるかわからない世界に身を置いたりそういう環境を自ら作ってみることが人間の自然なのではないだろうか。

  • 『都のものは全て田舎を源にするものにて』という鴨長明の方丈記の引用があったがまさにだなぁと。

    都市的な、人の意識の世界がすべてになってきていて、全てが頭で理解できないと気が済まない世の中になってきている。

    宗教が補っていた、人はなぜ死ぬのかなどの"ブラックボックス"も、どんどん弱くなってきている。

  • 2020年68冊目

    題名に惹かれて読みましたが、結局何故にヒトがゴキブリを嫌うのかについては殆ど教えてくれません。

    というより、ゴキブリに対する記述は一箇所しかない(笑)。題名は違うだろうーと思うも、題名にひっかかり読んでみる私みたいな読者も一定数いそうなので、それはそれで正解なのかもしれません。

    でも、この本を読んで残念だったかと言うとそうでもない。養老先生が好きになりました。
    様々な講演会等で先生が話された内容を文字に書き起こした物なので、若干理解するのが難しいところもあったけれど、その分養老先生が目の前で話されているようでした。

    解剖学をずっとやってきた先生はだからこそ言える独特の人間観がとてもステキだと思えました。

    私がそこに到達するにはあと50年くらいあっても難しい気がします。生きてるかなぁ。

  • 解剖学を専攻する、東京大学名誉教授である著者の講演録。

    いつになったらゴキブリがでてくるのか?私の思っていた内容とは、大分違っていた。
    タイトルの付け方はどうなんだろう、インパクト重視?結局ゴキブリは比喩的な使われ方で、しかもほんの一行ほど。
    全体的に何を言いたいのか、ちょっと入ってこなかった。

  • たまたまヒトのゴキブリ嫌いの理由に興味を持って、養老先生が執筆されているとのことで読んでみた。
    都市に住むヒトの自然の捉え方をまるっきり変えてくれる一冊だと思う。

    ヒトは歴史的に絶えず自然を排除してきた。なぜなら自然は予測不可能なものだから。天災はその一つ。だからヒトは自分の脳の想定内のことを具現化する人工物を作ってきた。それが都市。

    だから都市に住み着くヒトは徹底的に自然を排除し、ムシを嫌ったりする。その象徴がゴキブリであり、一向に都市から排除できない存在であるが故に、ヒトは酷く嫌うのだろう、という論理。
    かく言う私も、ゴキブリを含めムシはとてつもなく苦手なので、都市が作ったヒトの一人。

    ここで湧く疑問。ヒトも自然じゃね?
    そう、もちろん自然!多分私たちは自然なんだっていう考えこそ最も欠けたものだろう。
    本書に沿っていくつか例を挙げてみる。

    ・ヒトの死も自然なことだが、人工的な病院で隔離し、死を特別なことに昇華させる。ヒトが道端で横たわっていたら驚き慄くだろうが、本来は自然の死がそこにあるだけのこと。

    ・ヒトは本来裸であることが自然であるが、都市は服を着ることを強いる。

    ・女性は妊娠・出産などのヒトの自然的な営みは都市空間にはそぐわない。都市を成す会社に属していれば産休を取らなきゃいけない。

    例は色々あるが、本来自然的な存在であるヒトは人工的な都市に順応せざるを得ない。

    順応させるものの一つに教育がある。子どもは自然の存在であるため、教育を施して人工的な存在に仕立て上げていく。

    本当にここまで人工化を推し進めてしまっていいのか?

    私はバランスが大事だと思う。ヒトは自然の存在なんだから、予測不可能な人生を歩むことを大切にしつつも、都市生活に順応できる器を大きくしていく。

    養老先生も末尾で楽しいことをやりつつも、淡々と浮世の義理をもこなしていると語っており、自然と人工に折り合いをつけながら生きていくことがいいんだろうな、と。

  • P192
    結局「身についたもの」だけが
    財産となる

    P254
    「ああすれば、こうなる」だけに
    なった現代社会

    P262
    計算高い世の中では子どもは生めない

    P213
    都会ではすべてを予定しようとするから
    現在がどんどん大きくなって
    未来を食っていく

    P222
    大人というのは
    好きなことをやっているときに
    それは何のためだという
    無意味な質問を繰り返しする動物

    P270
    知識は自分の考えを説明するときの
    材料である

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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