- Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596541284
感想・レビュー・書評
-
ウィル・トレントシリーズ8作目
クラブ建設中の敷地内で、元警官の死体が発見される。現場には大量の血が流れていた。調べると血は死んでいた警官のものではなく、主人公ウィルの妻アンジーのものだとわかり…
ウィルのシリーズと名乗っておきながら最初の数作以降は、ウィルは傍に居て
事件を捜査するのがメインで、女達の苦悩や闘いに重点が置かれる。(ウィルも壮絶な過去を抱えているけれど)
鋼鉄の鬼上司アマンダ、タフ・ママのフェイス、などの強い女性達がウジャウジャと出てきたのですが、毎回出番は少ないものの圧倒的な存在感を放っていたアンジーに関する回です。
売春の潜入捜査を行う警察官であり、誰とでも寝る女、全身をフェロモンを纏った武器として利用して様々なものを手に入れてきた彼女…ウィルと施設で出会い、傷つく互いの姿を見てきた二人。
気まぐれの様に結婚したもののアンジーはほとんど家におらず暗躍、たまにふらっと家に帰ってきては事件解決の重要な手がかりを知っていたり、ウィルの恋人であるサラへの嫌がらせに熱を上げていました。
「罪人のカルマ」でも事が起きたように、ウィルを支配する一方で執着し苦しむ姿がアンジーなりの愛の示し方なのでしょうか…これまではウィル、サラの視点で見ていた嫌なアンジー像を超えて、芯に抱えている孤独の深さと想いの強さが見えたのが良かったです。このやり方では幸せにはなれないんだろうな…
……読むのしんどいシリーズですね。
読みたくないくらいピリピリムードになるんですが読んでしまう。
サラの考え方も、なんかちょっと危険信号詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カリン・スローター『贖いのリミット』ハーパーBOOKS。
特別捜査官ウィル・トレント・シリーズ。
シリーズ最高傑作という触れ込みだが、前の2作の方が断然面白かった。ストーリーのメインはウィルとアンジーの痴話騒動ではないか。
建設現場で元警官の惨殺死体が発見される。鑑識の結果、大量出血したのは被害者でなく現場から姿を消した女だと判明し、残された銃はウィルの別居中の妻・アンジーの物だった……
本体価格1,236円
★★★ -
最初に言いたいのがこれシリーズ物だったのかーーと言う事。
知らずにこの本から読んでしまった…が、
それを抜きにしても凄い面白かった!!
むしろちゃんと最初から絶対読みたいと思わせられる。
シリーズ物と知らずこの本から読んでも全然大丈夫。
中盤からの引き込み度具合が凄い。
物事には常に裏と表がある。あいつは悪い奴だから悪だ!と思っても、悪だと思ってる側の視点からしてみればそこには深い理由があったりする。
善サイドと思わせられた視点から読み進め、中盤になって視点が代わり悪サイドから物事を見れば悪だと思っていた人の事もなんだか憎めなくなる…
ミステリーの展開も勿論だけど、人間関係の面でもとても面白かった。 -
「ウィル・トレント」シリーズの八作目。このシリーズは毎回主要人物の誰かにスポットが当てられてきたけれど今作はアンジー。一番読みたかった人物。ウィルとの夫婦関係の形の歪さ、憎しみと愛情。元警官の惨殺死体と残された別の人物の大量の血液。残酷な描写。事件の展開、ウィルたちの捜査を読むだけで面白いのに、中盤からアンジーの章が挟まりそこからラストまでが圧巻で一気読み。ウィルとアンジーのこれまでとこれからとウィルとサラのこれから。今回の事件の影響が次作以降どうなるのかも含めてとても楽しみ。
-
カリン・スローター、初読。確かに面白い!一章ワンシーン、さらには最後の1、2行のセリフで次への含みを持たせる展開等々、あきさせない。
ただやや長く感じる事とアンジーがわが娘や孫に対して、これまでの行状からは想像できない位の愛着を見せるのが解せないのは初読ゆえのことだろうか…。 -
さて自分としては珍しく順不同で最新作だけ齧っている捜査官ウィル・トレント・シリーズ。『ブラック&ホワイト』に継ぐシリーズ第8作は、ウィルの行方不明の妻であり過酷な過去をウィルが共有してきたらしいアンジーの事件。
男性捜査官ウィルのシリーズとは言え、実際は彼を取り巻く個性派女性たちが持ち回り主役となるこのシリーズ。女性らしい感性と容赦のなさで惨憺たる殺人現場を軸に捜査と葛藤と闘いが始まる。心理戦と、暗躍する女たちと、ウィルを獲り合うサラとアンジーというデリケートな恋愛模様にも深みというだけではない捻じれのようなものを感じさせるこの作者独特の世界観を感じる。
事件現場はプロバスケットの花形選手に集まるマネー軍団の企画する新しい城の工事現場で幕を開ける。血みどろの工事中巨大ビルで発見された元刑事の死体。さらに刑事を取り巻く夥しい血液は、行方不明となっているウィルの妻アンジーのもの。
現場捜査だけで一冊の小説の厚みになるほど、時が進まないのが、あたかもパトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズみたいで、アメリカ女性作家のパターンなのかな、と感じる。とりわけ女対女のウィルの取り合いに関する心理戦、これに巻き込まれるウィルと彼の過去、と言ったところで、ストレートな時間軸の物語ではなく、作者の描こうとしているのは、彼らの棲む地軸や時間軸における世界観とその深みであるかに思われる。
家族、血縁、そして過去。すべてはウィルやアンジーの置かれた虐待児童という過去に根差しつつ、そういう世界悪を造り出している支配階級、資本家ども、そして心を病んで暴力衝動に体や心を毒されたスポーツ界のスターたち等々、アメリカの陰影を抉り出そうという試みが見える。
そして前半と後半で物語がでんぐり返りを見せるのだが、事の真相はさらに深く、昨今ではフレンチ逆転ミステリーのピエール・ルメートルを思わせる仕掛けで最後には読者を驚かせてしまう。やや強引な嫌いはあるものの、犯罪現場を料理してデザインしてメディアまでも化かしてしまう荒業プロットには正直度肝を抜かれた。
残酷な暴力シーンや、有象無象のあまりよろしくない人物たちの人間関係図が描きにくいところが抵抗となる読み物ではあるが、どこにも作者の謎の伏線が仕込まれている超級のミステリーであることは確かである。重層構造で、なおかつとてもボリューミーな700ページという重量級エンターテインメントをご賞味あれ。 -
安定のアンジー
-
アンジー回
アンジーが苦手なのでところどころ読むのが退屈だった。それでもしつこくしつこくアンジーの内面の描写を見ているとだんだん同情してきてしまう。
カリンスローターの著書をいくつも読んでいるけれど好きな女性の登場人物が1人もいない。みんな性格がひねくれていて、かといって個性的でもない。基本的な女性の弱さと強さをもっているだけ。好きになれるひとがいない。男性は興味深いひとが多いのになー。
今作は文字を突然太くしている部分がある。引用やなんらかの記述の描写ではなくて、ほんと突然。なんの意図かわからないけど、子供向けのホラー本っぽくなって冷めるからやめてほしい。
とりあえず読み終えられてよかった。
ウィルトレントが好きなのでまた次も読もうと思う。 -
描写が濃すぎる感。