未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- ハーパーコリンズ・ ジャパン (2016年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596551078
作品紹介・あらすじ
ヒラリー・クリントンの元参謀として世界80万キロを行脚した未来学者ロスが、ロボット・ゲノム・暗号通貨…6つの産業がもたらす大変革( パラダイムシフト) を徹底予測。「これからの経済」をわかりやすく紐解く最強の書。「中流層」や「国境」の意義は、今後20年以内に変貌するだろう
感想・レビュー・書評
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どれ程凄い情報が入っているかと期待したが、
一般の情報メディアで提供している情報と変わらなかった。
専門家ではないので細切れの情報の寄せ集め。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヒラリー・クリントンがオバマ政権時代に国務長官を務めていたときに、そのイノベーション担当上級顧問だった著者が描く未来の社会。その任に付く前は、大統領予備選でオバマ陣営でテクノロジーおよびメディア対策のリーダーを務めていた人物だ。色々な世界を見て、色々な話をその筋の専門家から聞いてきたのだろう。
未来学は「シンギュラリティ」という名前とともに最近流行になっている。つい先日没した未来学の先駆者アルビン・トフラーと違い、技術の指数的進化による社会の大変化がそのテーマだ。レイ・カーツワイルの著書『シンギュラリティは近い』がその代表格であるが、その中で彼は鍵を握る技術分野として「GNR」- Gene(遺伝学)、Nano (ナノテクノロジー)、Robot (ロボット工学・AI)を上げている。
著者はその広い知見から、未来の産業として「ロボティックス」、「ライフサイエンス」、「金のコード化」 、「サイバーセキュリティ」、「ビッグデータ」を挙げる。GeneとRobotはカーツワイルと共通しているが、より情報化社会の先鋭化の影響を重く見ているように思える。
ロボットについては、今のロボット・AIの状況をインターネットの黎明期になぞらえて、今後シンギュラリティと呼ばれる状況が近いうちに訪れるとしている。著者はロボットと雇用の関係にも職業柄敏感である。高齢化社会の介護などに職種にロボットのサポートが必要になるとともに、自動運転カーもロボットの一種だが、これがタクシー運転手の雇用を奪うこともある程度見えている。いずれにせよロボット・AIが社会と生活を変えていくことは確実だ。
次に著者が大きく未来社会に影響を与えるであろうと考えているのがゲノムの分野だ。これについても大いにその通りである。この影響についてはいくら大きく考えても考えすぎることはないほどだと思っている。今後ゲノム解析のコストが劇的に下がっていくことは確実で、個人でもゲノム検査が当たり前のように行われるだろう。著者は、多くの病気がゲノム技術によって克服され、寿命が延び、1兆ドル産業に成長するだろうと予言する。たとえば、がんの対策も大きく進歩するはずだ。 一方で、デザイナーベイビーやゲノム差別などゲノム解析のダークサイドにも触れている。その良し悪しは置いて、人間について今後の二十年間でわかることは、これまでの何世紀かでわかってきたことよりも格段に多くなるという。これに対してどのように準備するのかが重要になるだろう。
次に著者が「金のコード化」という言葉で言及したのは信用のコード化=共有経済の発展だ。ここではビットコインで導入されたブロックチェーンという技術がブレークスルーとして紹介される。ブロックチェーン技術は銀行にも法律にも会計の各分野にも適用されることになり、そこで必要とされてきたコストと摩擦が劇的に下がることになるという。一方、技術の進化に伴って共有経済が拡大するということは、そのプラットフォームを所有するどこかに資金が集まり、経済格差が広がることを意味する。すでにUberの例でグローバルな範囲でタクシーの収入が国境を越えてプラットフォーマ―であるUberに集まっていると指摘する。
次がサーバーセキュリティだ。五十年先まで安心な職業は、サイバーセキュリティだと自信を持って宣言する。 特に多くのものがネットにつながるIoTの時代にはセキュリティが最重要課題だ。Ciscoの前CEOのチェンバースは、インターネットがこれまでの歴史において与えた影響よりも今後の十年間の方が世界に与える衝撃度は大きいと予言した。2020年にかけて、ネットにつながる機器は400億台に増加し、IoTの世界市場は19兆ドルに達するという。そこにおいてサイバーセキュリティの重要性については強調しすぎることはない。そういえばARMを買った孫さんがARMのTrustZoneの機能をずいぶんと持ち上げていたのもこの点に関わっている。
そして、もはや言い尽くされた感さえあるビッグデータ。著者は、農耕時代の原材料は土地で、工業時代の原材料は鉄だった。そして、情報化時代のそれはデータだという。ビッグデータの本当の意味はその量ではなく、リアルタイムに処理できる能力にあると看破する。FinTechもその成果のひとつだ。そして、われわれは世の中に広がる自分のデータをどう扱うかを決めなくてはならない。
最後に政治家系の人らしく、未来社会の地政学について触れる。
・ロボティックスは日本、韓国、ドイツが先行している
・ゲノムは明らかに中国が資金を投入して追いつき追い越せの状況になっている
・サイバーセキュリティに関しては、中心の一部がロンドンやモスクワにある
・FinTechについては、ニューヨークにロンドン、アイルランドが続く
アメリカもうかうかしていられないぞ、という文脈だが、アメリカが以前強いことは明らかなのだが。
続いて各国の事例として、旧ロシアのエストニアとベラルーシを例に出す。電子住民票など電子化に大きく舵を切ったエストニアと電子化を拒否したベラルーシ。また、アフリカのルワンダについても成功事例として紹介をしている。ルワンダがあの部族間の民族虐殺による破壊を経て知識社会として復興しているという話は驚きでこの本に書かれた内容の中でも特に印象に残るものだ。
そして、未来の社会を生き抜くに当たって、二つの言語の習得を勧めている。ひとつは英語などグローバルにコミュニケートするための外国語、そしてもうひとつがコンピュータの言語であるプログラミングだ。
子供に言い聞かせないとな。もはや言うこと素直に聞かなくなってるけど。
さすが非常によく整理されいると思う。
幅広くちょっと知識を強化したいときによいかも。
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『シンギュラリティは近い』
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/B009QW63BI -
めちゃくちゃ新しい内容はなかったものの、これからくる時代の変化について政治的、技術的立場から総ざらいする感じの書物で、レビュー、ベース知識の共有に使えそう。著者はバラクオバマやヒラリークリントンとともに働いた方。ブロックチェーン、ロボット、AI、コードウォーなど、重要なキーワードと人間生活への波及想定が興味深い。
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ここに書かれている「未来」は本当にその通りになるのだろう。
その時に、一体我々は何をすればいいのか?
人間だから、社会の変化に合わせて、自分自身も変化していくのだろうが、なかなか想像がつきにくい。
「ロボット」「ゲノム」「通貨のコード化」「IoT」「ビッグデータ解析」は、確かにその通り進歩していくだろう。
ロボットについて、他国と比較して見て「日本の優位性」が語られているのが意外だった。
ロボットは、中身のソフトウェアはクラウド化されたAIを使われるかもしれないが、物理的に「機械」である以上、それを製造する技術は日本にしかないらしい。
関節を動かすには、ゴムやバネの技術。
ロボットの目で見て、内容を判断するための映像処理技術。
ロボットの表面(肌)は、鉄にする訳にはいかないだろうから、シリコンの技術など。
そう考えると、確かに納得行く部分もある。
日本のロボットに対する考え方が、他国の考えと大きく異なる点でも、「日本らしさ」が特徴づけられるのが面白い。
日本人は、ロボットを「友人」「家族」「パートナー」として見る事が出来るらしい。
そういう文化が根づいているのは、日本の国民性によるところらしいのだ。
さぁ、これから訪れる未来。
我々はどうやって生きていくのか?
生き残るためにどうすべきか?
ついつい考えてしまう。
(2016/8/10) -
詳細なレビューはこちらです↓
http://maemuki-blog.com/?p=9413 -
社会の未来を考えさせられる。
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【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】
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ビットコインのマイニングのために消費される電力は、マイナー全体で1日1500万ドル分。2013年に排出されたCO2量は8.25メガトンで、キプロスに匹敵する。
IoTの発展は、インターネットに接続して走る車、ウェアラブル技術、スマートホームサービス、製造業の4つが原動力となる。
アメリカの株式市場における取引の3分の2は、アルゴリズムによる自動取引。フィンテックとは、個人を対象としたリテール・バンキングの分野で、ビッグデータを活用して金融商品を開発すること。