蒲生邸事件

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  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620105512

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の時に一度読んでからの、再読。

  • 1999年5月31日読了。

  • 【蒲生邸事件】 宮部みゆきさん

    浪人生の尾崎孝史は受験のため、父が知り合いに頼んで
    探してもらった「平河町一番ホテル」へ滞在していた。

    ホテルには2枚の写真が設えてあり、その写真は陸軍大将
    である蒲生憲之の旧邸でると書かれていた。

    平河町一番ホテルは、この旧蒲生邸の跡地に建てられた
    ホテルだった。

    蒲生憲之は二・二六事件の当日に自決していた。


    孝史は滞在中に妙に暗い雰囲気、負のオーラをまとった
    中年男性をホテルで見かけ、彼に何か異質なモノを見つけ
    気にかかっていた。

    そして彼が2階から忽然と姿を消す光景を目撃した。


    試験が終わった2月25日、孝史は滞在していたホテルで
    火災に遭遇した。

    火の勢いが強く、孝史は薄れ行く意識の中で死を覚悟
    するが、その時、例の中年男性が現れ孝史の手をとって
    「助けるてあげるから、しっかりしろ」と叫び
    その声を聞いて孝史は意識を失った。

    孝史の目が覚めたとき、ソコは昭和11年の2月25日
    二・二六事件の勃発する前日の旧蒲生邸の庭だった。

    孝史を助けた男は平田と名乗り、彼は時間旅行者
    だと言った。

    孝史はすぐにでも現代に戻りたがったが、タイムトリップ
    は体力を異常に消耗し、続けて何度も行うコトが出来ない
    能力だった。

    彼は体力の回復を待ち、蒲生邸で過ごすうち、住み込みで
    働いている「ふき」という女性に心を惹かれていく。

    時代は二・二六事件以後、軍の権力が増徴し、太平洋
    戦争に突入していこうという時代だった。



    この本のタイトルは知っていたけど、内容に関しては
    まったく知りませんでした。

    時間旅行を絡めた恋愛ミステリー(?)だったんですね。

    上下二段組み、400頁超の単行本
    自分の立場をわきまえず、少しもおとなしくしていない
    孝史にイライラしたりしながら読みました。(^.^)

    時間旅行を題材にした本は何冊か読みました。
    「時をかける少女」「夏への扉」「タイムリープ」。
    「捕らえられたスクールバス」は違ったかな?

    でも、一番印象に残っているのは「七瀬ふたたび」の
    中の最後の章です。
    女性のタイムトラベラーが出てきます。
    もっぺん読み返してみようかなぁ。。。

  • あったかもしれない過去の話。
    今できないことは明日だってきっとできない。
    ここでできないことは他の場所でだってきっとできない。

    「夏の扉」がどうしてもしっくりこなかった理由がこれを読むとわかる。

  • 宮部みゆきの作品の中で、一押しは「蒲生邸事件」だと思う。
    世に2・26事件を扱った作品は多いが、これは異色だろうと思う。なにしろタイムトラベルというSF要素を取り入れ、しかも、推理小説仕立てになっているという手の込んだ設定なのだ。
     だが、この複雑な設定ゆえに、昭和初期という時代が逆にリアルに感じられるように思える。まず、あの時代の人や空気といったものが、現代と対比することでより鮮明に印象づけられる。次に、謎解きという一種の緊迫感の中で、一気にあの長編を読んでしまう。
    ずいぶん前に読んだので詳細は忘れたが、読んでいる時の高揚館と読後の充足感は忘れられない。

  • 予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。

  • 現代人がタイムスリップ、という設定を設けつつ、そのタイムスリップをしても結局歴史は変えられないのなら、要らない設定だったのじゃないか?なんて思ったり。純粋に史実を元にして、当時の人物を主人公にした歴史ミステリーにしたほうが、わかりやすくておもしろかったかも。

  • 表紙の雰囲気どおり、昭和初期の邸宅にタイムトラベルしてきた主人公が巻き込まれたミステリ。
    自分が生き抜いていない時代を生きた人のことを、既に結果が出ている未来からどうこういうのはどうなのか、という姿勢のフェアさが好きです。
    それから、現代に帰ってきた主人公がお父さんと話すシーン。
    ミステリ云々というより、人の台詞が心に残ります。

  • 泣ける…
    歴史の部分はなんか難しくてよく分からないんだが(でも以前見た映画226でちょっと興味を持ってWikipediaったので多少は…)タイムトラベラーが架空人物とはいえ関わってくってのがまず驚きの発想だよなーっと。しかも226事件とは。やっぱり文章を読んだだけじゃ想像できない部分が映画で補足されたのでその点ではあんまよくわからんかった映画226見といてよかった。安藤さん…。

    1番の読み所はやはり終章。全てが昇華される。カタルシスを感じる。なく。泣かないけど泣きそうになる。切ないよ。まあ孫とくっつくのかなーみたいな余韻はいらなかったな…。もうちょっと恋愛対象から外れる孫だったらよかったのに。気持ち悪いよ。
    ハードカバーだと読みにくいのが難点。

  • カテゴリは歴史系にすべきか。宮部みゆき×タイムトリップ×2.26事件。ふうむ。時間旅行者の苦悩や平田の生き方を軸に読むべきなのか、孝史が過去で学んだものをともに探るべきなのか。それともふきの一途(いいかえれば、想い人を胸にしまいこんだまま女はふつうに幸せな結婚出産大往生の人生を送れるもんなのねー)に胸あつくするべきか。さすがは宮部作品、読めない展開と大団円への見事なカーブにおもわず拍手ではありますが。もうそれ以前にね、2.26事件含む戦争へ走る日本の歴史を知らなさ過ぎる自分がね、どんどん申し訳なくなってきて、なんかへんな胸につかえるものを残してしまった。1936年、つーと、74年前かぁ。その時代を生きた人はまだいる、手の届く過去なのにね。そこから戦争をはじめて、負けて、立ち直った今。負けたからこそこんなに平和な今があるのかもとふと思う。74年先の未来人がいまこの時代にきたらどんな警告をしたいのかな。私は死んでるがきっと息子たちは生き抜いているであろう未来。知らないからこそ、今をいっしようけんめいに生きられるのかもね。歴史なのか冒険なのかSFなのか、読み手によって姿が変わりそうな1冊。こういうの学生の必読図書にしたらいいのかも。感想文合戦がおもしろそう。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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