- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108469
作品紹介・あらすじ
迷い込んだ夜の山中に広がる不思議な光景を描いた「幻のホダ場」ほか、芥川賞作家が放つ、夢と現実のはざまで生まれる珠玉の36の物語。
感想・レビュー・書評
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5月1日読了。図書館。
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水面に一滴の水を落として生じる水紋のような物語。
ある場所、土地と人、著者の一時の交わりを写しとったような、その一時を秘密裏に見せてもらったような気持ちになる。
何か明確な答えがあって終わるのではなく、何か吸い込まれるような形で、一つの話が閉じる。
スッキリはしない。
不思議な静けさの中に落ちていく感覚で、一つの物語を読み終える。 -
ドイグを表紙に使っており、ドイグ展が開催されている近美で平積みされていたのをきっかけに読んでみた。小野さんはドイグ展の図録に文章を寄せている。冒頭で「世界は、世界を満たす事物は、見られたいのか。見られたくないのか。ふと目に入った光景。その美しさに息を飲む。(略)もちろん、逆の状況もある。目にしたものの異様さが私たちの心をかき乱す。」小野さんは現実と非現実、美と醜、彼岸と此岸の”あわいにたたずむ”ことを好む作家なのだろう。そのあたりの抽象的な表現が繰り返され手癖という気もするがいや個性というべきか。新聞の連載ということで掌編なので読める。
美術繋がりで言うと小野さんが日曜美術館のMCになったのは適役。書籍は一般受けはしないと思うが(失礼)独特の言語センスがコロナの渦中にある番組でも活かされている。