- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108490
感想・レビュー・書評
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中学校のコンクール代表に選ばれた読書感想文が盗作ではないかという疑惑から始まるサスペンス。盗作問題はやがて学校の廃統合問題へと繋がり、保護者や権力者まで巻き込んで事態は大きくなるばかり。そんな中で翻弄される教師の姿がもうなんともいえず悲愴……これ、教師をやっている人が読むと恐ろしいんじゃないでしょうか。
主人公の汐野、たしかにあまり好感を抱ける人物ではないのですが。それでもここまで散々な目に遭わされるのは可哀想にならないでもありません。いやいや、それでも自分の好みに合わないものを軽蔑して扱き下ろすってのには腹が立ちます。文学語るのもいいけれど。本は楽しく読めればそれでいいんじゃないでしょうか。少なくともそう思っている人を否定するのは狭量に過ぎます。
それにしても、女子中学生たちがなかなかに強かで怖いったら。ぞっとさせられます。繰り返しますが、教師をやっている人が読むには恐ろしすぎる物語だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
月村了衛『暗鬼夜行』読了。発売直後に買っていたけどなんとなくそのものものしさに気がひけていたけれど一度読むほどに底なし沼に引き込まれるよう。小説家志望だった中学教師の教え子に読書感想文の盗作疑惑が持ち上がり…そこから羅生門や山月記といった"文学"に絡めながらも人間の業を描く傑作。
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すごい、内面から怖くなる
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屈折した思いを持つ主人公と、山月記をなぞらえたモノローグ、最後のどんでん返し…単純な教育問題だけではない、ブラックなミステリー。
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月村了衛さんの新刊は、中学校を舞台に生徒の読書感想文の盗作疑惑がSNSを介して教室→職員室→教育委員会へと拡散されて炎上していく学園サスペンス。主人公の教師・汐野が、SNSに投げられた読書感想文の盗作疑惑の正誤を追跡し、盗作情報を拡散させ学校を混乱に陥れる犯人を探すフーダニのミステリーとしても楽しめるし、ネット炎上の如くリアルな世界も炎上していくメタファー的な見方もできる作品。「嘘」がキーワードの一つでラストの騙しあいはスリリングで面白かった。
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最初は、読書感想文の話かと思いきや、学校内部、政治がらみなど、目が離せなくなる。伏線はなにげに張られて、最後は、そういうことかと納得。いいです。
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新聞に連載掲載中の作品が読みやすく・引き込まれ、翌日が待ち遠しいので過去作品を読んでみようと手に取ってみた。おそらく代表作であろう「機龍警察」が近くの図書館になかったため、本作を手に取った。重そうな内容だと思いながら手に取ったものの、いやぁ~重かった。
舞台は教育現場だけれど、ここで描かれる悪意はどこが舞台でも描くことはできる、つまりどこに転がっていてもおかしくない悪意だった。
最初から最後まで救われる場面がないのも、キツイ。 -
「薮内の読書感想文、昔の入選作のパクリだって」
生徒のLINEに届いた差出人不明のメッセージ。
冒頭から不穏な空気が溢れ気持ちがざわつく。
中学校が舞台と言う事で真っ先にイジメを想像したが、真相が明かされないまま、学校統廃合問題、県政の腐敗と話は広がり、生徒、教師のみならず、SNSを介して保護者、政治家も関わり大きな問題に発展して行く。
随時逃げ道を探し自己保身に走る教師達、嫉妬が発端となり嘘を付き承認欲求の為なら平気で人を嵌める女生徒の無邪気な仮面の下の狡猾さに驚く。
良心を忘れた人間の悪意に慄かずにいられない。 -
11月-16。3.0点。
中学教師の主人公、学校で読書感想文の盗作騒ぎが。
謎の告発LINE、地元有力者の婚約者の父親からのプレッシャー、校長・教頭からのプレッシャー。盗撮は事実なのか。。。
ありそうな事件。怖い感じ。 -
中学校代表に選ばれた読書感想文の盗作疑惑を巡るサスペンス。冒頭、たくさんの固有名詞に難儀したが、中盤からは一気に引き込まれ、終盤の緊迫感に時間を忘れた。中学生女子の歪んだ自意識、SNSが悪意を拡大させ、教育現場の矛盾、学校統廃合・・・・「山月記」がシンクロして不気味さを増す。