ヒロイン

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108704

感想・レビュー・書評

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  • 新興宗教団体が起こした毒ガス散布事件に加担し、17年逃げ続けた女の話。

    事件や団体はあれそっくりだが、それ以外はフィクションのようだ。ストーリー展開は悪くないのだが、作者が自分の言葉に酔っているようで、酒臭い息が臭ってくる。桜木紫乃は当たり外れが激しいが最近は外れが多い気がする。

  •  桜木紫乃さんの作品は初読みです。何作か読みたいものもあったけれど、この作品を図書館から借りることができたので、読んでみました。

     主人公は、岡本啓美…母がバレエ教室を経営していることもあって、啓美も過大な期待のもとバレエに取り組んでいたが、それから逃れるように「光の心教団」に入信し、信者とともに共同生活を送っていた。その生活が一変するのは、1995年3月、渋谷駅で毒ガス散布事件が発生してからのこと…。教団幹部の貴島に事情も説明されまいままに連れまわされた渋谷で、犯行を実行したのは貴島だったが、貴島とともに実行犯として啓美まで指名手配されてしまい…その日から17年にも及ぶ逃亡生活について描く…。

     17年…逃げていたのではなく、捕まらなかっただけだと、啓美は言います。23歳から40歳までの17年間…啓美に救われた人もいれば、逆に啓美と関わったために人生を狂わせてしまった人もいる…。なんとも波乱万丈で濃厚な人生の一部始終…!逮捕後の啓美はどうなったのか、啓美に関わった人たちはその後どうなったか…知りたくなります。17年の間に、啓美は罪を重ねてしまうけれど、啓美は愛し愛されたかっただけなのかな…と、そして啓美をキライにはなれない私がいたりします。結構ボリューミーな作品ですが、夢中になって読めました。

  • 日本を震撼させたある事件をモチーフに指名手配犯の女の17年間を描いた作品、逃げ続けた女の心情とそんな女を取り巻く人間模様があまりにリアリティがありすぎてこれはノンフィクションなのかと思わずにはいられず夢中になって読んでしまいました。

  • 母からバレエから逃げて入ったところが「光の心教団」だった。
    そこでの生活から突如、幹部男性に何も知らされずに同行させられたのが23歳の時。
    それが白昼のテロ事件であり、逃げ続けることになった岡本啓美。

    名前を変え、場所を変え、生まれた赤ん坊とも別れ、いろんな傷をつけながらも年を重ねるごとに傷も癒えてしまったのではないのか…。

    ワンウェイのことだけをいつまでも思いながらもジョーとの結婚写真を撮ったあとには、もう終わりだろうか、と思ったに違いない。
    誰になったとしても、きっと終わりは来るだろうから。
    そう感じたような最後だった。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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