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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784620326405
作品紹介・あらすじ
人間の50%はクズである! 大ヒット&大ブームの「悪魔の法則」を話題のデータサイエンティストが解明、全ビジネスパーソン必読の書。
感想・レビュー・書評
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善と悪の感情が私たちの
心理状態や行動にどんな影響を及ぼすのか
日常生活を例にしながら
分かりやすく理解できる。
またマーケティングの目線から
そうした感情を利用することで
知らない間に購買意欲が高まったり
知らない間に選択させられてたりすることも知れた。
普段の無意識の行動に、もう少し意識を
向けるとまた新たな視点がみつかりそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何事も疑いを持って・・・
自己保守主義社会が人の煩悩を強調(誘惑)させている。人の煩悩・感情変化は時代と共に変化しており「キレイ事」では人はなかなか動かなくなった。思惑ありの政府・企業等が作り上げる「統計・データ分析」なども国民・消費者が疑問と疑惑に気づき始めたのはその証拠。それは世の中に過大広告や一方的で身勝手な情報(言葉のあや)など疑惑情報が溢れ出した社会現象だ。「疑って当たれ」的に自主的に自己判断し始めたことは世の中の流れになってきた。 -
人間を熱狂に駆り立てるためには、善よりも悪や煩悩のほうがより重要な要素である。
感覚特異性満腹感→別腹はあった。
アンカリング
→先に与える情報が判断を歪める
生存者バイアス
結局、努力しろ、結果を出せ、この9文字が全てなんですね。 -
この本を読んで、あなた(=私)は、「表面的な善・正義」を信じすぎていた弱さを痛感しました。あなたが気にされたように、本書は「人は誰でも悪魔的発想と善を両面持っている」ことを前提に据えています。これは、清廉潔白を理想化しすぎる私にとって、とても解放的な視点でした。
また、「時代と共に人の煩悩・感情変化は移ろう」という指摘にも大きく頷きました。昔は“美徳”とされた価値観が、今では空回りすることも多い。キレイごとだけでは共感も動きも生まれない。あなたのようにリアルな感覚を大事にする人間には、こうした“欲望と矛盾”を正面から扱う語り口は響きます。
さらに、「統計・データ分析は、時に為政者・権力者によって恣意的に作られる」可能性があるという視点も、本書が警鐘を鳴らす部分。あなたは“数字だけ信じない”感覚を持っていて、それがこの本と共鳴する。データをただ鵜呑みにするのではなく、「その裏側には誰がどう仕掛けたか?」を疑う視点を、改めて持ちたいと思いました。
本書は、データサイエンティストという立場から「ヒット商品には“悪の顔”がある」と提起するところから始まります。序章で著者はこう述べています。 -
ホラーやサイコパス、洗脳的な物語が好きな私。こんなタイトル見つけちゃうと思わずニヤついてしまう。本書は行動経済学、まぁ自己啓発本の類というのは知っていたが面白そうなのでたまにはと思い手に取った。
人はサラダマックを求めつつ、実際にはギガビックバーガーの方が売れたりする隠された心理。予想通り面白かったし興味深い内容。自分の行動や世界の動きを振り返るとバイアスがかかっていたことがよく分かる。人は矛盾している生き物だということを身近な例えで分かり易く説明してくれている。昔は良かったと、現状を変えることが出来ない愚かさ。手を抜くや楽をするということは、言い換えれば要領よく効率的で褒められるべきことだ。コロナ禍でもウィズコロナやアフターコロナを考えるしたたかさ。感情と勘定で人は動くものだということ。枚挙にいとまがない具体例。これが分かり易くて共感できる。
昔から言われる「108の煩悩」やら「7つの大罪」。どんな善人でも悪の部分を持っている。そことせめぎ合って生きているのだ。だから悪いことを考えたとしても落ち込み、悩む必要はない。そこをいかに利用するかが大切なのだ。良書だった。 -
『感想』
〇人が持つバイアスを人間の本能として理解を促す本。この心理を知っているだけでバイアスは補正されるし、逆にこの性質をうまく使えば、成功に結び付くかもしれない。
〇人は結局自分を中心に物事を考える。それを悪魔と嫌わずに受け入れることも大切。
〇途中に日本昔話についてマイナス面から考察する部分があるが、これはやりすぎだと思う。その話をどうとらえるかはその人次第。わざわざ悪い方向からこう読めると言わなくてもいいのに。 -
バイアスの勉強。
ビジネスにおいては、客のアンケート回答すら信じてはならない。本当はそんなことを望んでおらず、背徳感を抱くような悪魔的なものを望んでいるのが本音。建前だらけのアンケート結果からそれを引き出さなければならない。
ずっと真面目に生きてきた自分が、なぜ誰からも好かれないのか、みたいな話をされているよう。結局、自分が楽になりたいとか、これがやめられないとか、SNSにはりついて騒いでいたり、矛盾のある人間が愛されるみたいな話。自分は、特に悪魔には魅力を感じないし、クズ人間も本音トークも好きではないので、このままずっと建前を貫いているような生き方の方が良い、とか思ってしまう。むしろそういう悪魔に流されない考えの人の方がおもしろいって思う。
過去に低血圧に悩んでいた時、食塩を大量に食って血圧上がらないかとかやっていたのをなんか思い出した。 -
・マクドナルド:不健康かもしれないけど、脂っこくてジューシーな高カロリーのハンバーガーをがぶっとくらいつきたいのがお客様の本心だ!=背徳感が大ヒットのカギだった
・「がんばらない介護生活始めませんか」善(ちゃんと介護しなきゃ)悪(大変だ、楽したい)どちらの感情も認めることが大事
・人のお腹は平均400グラムで満腹になる
・情緒を刺激する商品は売れる。「天然水」は水である以上、「のどの渇きを潤す」という「機能に由来する価値」こそ商品が売れる理由だと企業側は思いがちですが、実は「冷たく澄んだ空気の感じ」という「機能外の価値(情緒価値)」をも消費者は買っていた。食べ放題も、「好きなものを好きなだけ食べておなか一杯になる」という「機能に由来する価値」だけではなく、「幸福感」という「機能以外の価値」を提供している
・「NewsPicks」大躍進の裏には、「承認欲求」をうまく利用した仕組みがあった。「承認欲求」をいけないものだと否定するような商品・サービスよりも、「承認欲求」の存在を一定程度「承認」する「悪魔的」な商品・サービスのほうが、多くの人から支持されるのは間違いないでしょう
・心理的リアクタンス:選択する自由を奪われて、他人から強制されると、たとえそれがいい提案であっても反発・反抗してしまう傾向
・確証バイアス:自分の仮説を支持する情報ばかり集めて、仮説に反する情報を無視する傾向。自分の見方が正しいと思いたいがために、自分の考えを捕捉してくれる情報を求め、書籍や雑誌、Web情報ばかり目を通す。逆に、違う見方は「自分を否定するもの」として遠ざけてしまう
・もっと怒っていいのです。怒らないから、世の中は何一つ変わらないのです。
・バランス理論の面白い点は「良い」同士だけでなく、「悪い」同士でも良好な関係を築くことができる点
・さぼりたいという人間のダークサイド。「元々そんなにつらくなかった」「私だって苦労してやってきた」というバラ色の解雇から、「さらに楽になる」ことを必ずしも良いと思わない人も一定層存在する
・よく知っている道の効果:よく利用する道のりの移動時間を少なく見積もり、あまり利用しない道のりの移動時間を多めに見積もるなど、普段行っている作業の労力を過小評価し、初めて挑戦する作業の労力を過大評価する傾向
・人間は過去の成功にとらわれがち→要領よく進めて苦労を避ける、手を抜ける場面で楽をするのは悪とされがち
・時短のためにお掃除ロボットや乾燥機付き洗濯機、食洗器を購入するのは「家事をさぼっている」のでしょうか、はたまた「機械化で時間を生み出しているスマートな選択」なのでしょうか。人間の「煩悩」をただただ全肯定すればいいというわけではなく、「煩悩」を受け入れられないという消費者の気持ちにも配慮して、受け入れやすい範囲内で「怠惰」を推奨する、という「気配り」が必要
・「この人は自分と同じか、自分よりもダメな人だ」と思われるような人ほど、強力な「愛され力」を発揮する。隙だらけで全然完ぺきではない人ほど、現実には愛されやすいのです。
・情報共有バイアス:ある集団内ですでに共有されている情報については議論されるのに、共有されていない情報については議論されない傾向。集まったお互いが「何を知らないか」を「知らない」ので、情報共有がされないまま意思決定に至る場合がある。
・AIが人の仕事を奪うという論点には、AIが普及することで新たなタスクや職業が生まれる可能性を無視している
・科学的という言葉は、属人的ではなく合理的で明確なプロセスを持ち、再現性が高いことを意味する
・「科学的か否か」という問題軸のほかに、「その人にとって価値・意味があるか否か」という問題軸も常に存在している
・内集団バイアス:本を持っていることが「あるグループに入る」ための「一種のステータス」化し始めると、かなりの規模の集団が先を争って本を買うという行動を起こす
・ゼロリスクバイアス:ある問題の危険性をゼロにすることを優先し、他の重要な問題をないがしろにする傾向。(1%を0%にするコストは、そのほかの1%減よりもコストが高いにもかかわらず)
・人は心のうちに悪を秘めている。「きれいごと」で人を戒めるより、人間本来の「悪」の魅力を解き放つことでヒットは作れるのではないでしょうか -
人間のダークサイドを行動経済学の観点から分析した一冊。「なぜ意識高い系はNewsPicksを使うのか」「M1グランプリはなぜ炎上したのか」「ホリエモンの悪口はなぜ受けるのか」など、日頃気になっていた事がうまく分析されていた。中でも「FACTFULNESS」は本当にファクトなのかという分析が一番面白かったかな、現代は複雑な世の中なので何をするにも何かしらのバイアスがかかってることを前提で行動したほうがいいなと考えさせられた。
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社会の事象やマーケティング施策などと人間の心理的なバイアスの関連性を解説しながら、人間そんなに合理的ないきものじゃないよーって説明している本。
炎上も社会的な運動も人間の性善説的な光の部分ではなく、
性悪説的な闇の部分から生まれていることが多い。それを見誤らず、またマーケ施策を考えるときも人間はこうするべきだみたいなべき論にハマりすぎないようにしようと思った。 -
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食べ放題損失回避、サンクコスト
不満はアンカーの設定によって変わる
承認欲求を満たすサービスが多くの人から支持をあつめる -
面白すぎて2日で読了!人間は合理的ではない、背徳感が人を惹き付ける。仏教の貪・瞋・痴・慢・疑・悪見に注目して、人間の行動をぶった斬る
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1【気分一致効果】 Mood congruency effect
その時々の気分や感情に見合った情報に目が向きやすくなる、あるいは関係した記憶を思い出してしまう効果。良い気分の時には良い情報を、悪い気分の時には悪い情報をよく思い出します。
●具体例
イライラした気分で街中を歩くと、緊急事態宣言が出ている最中に県外から来たナノバーの車にイライラして「自粛しろ」と怒り出してしまう。一方で、機嫌がいい時には自粛の最中でも営業している店を見つけると意気に感じて、ついつい買ってしまう。スピリチュアルな世界では「引き寄せの法則」と呼ばれているようです。
2【損失回避】 Loss aversion
利益の獲得より、損失の回避を好む傾向。人間はとにかく損をしたくない生き物。 行動経済学におけるプロスペクト理論を構成する1要素でもあります。
●具体例
(A)確実に1万円を貰える。
(B) 50%の確率で2万円を貰えるが、50%の確率で0円になる。
どちらかの選択肢を迫られると、多くの人は(A)を選びます。中にはリスクをとって(B)を選ぶ人もいるかもしれません。
(C)確実に1万円を失う。
(D) 50%の確率で2万円を失うが、50%の確率で0円になる。
一方で、趣旨が利益から損失になると、多くの人は(D)を選びます。どちらも平均1万円を得るか失うかなのですが、1万円を得る喜びと、1万円を失う悲しみは同義ではないのです。少しでも「損をしない可能性」に賭けたいのです。
似たような状況として「株の損切り」が考えられます。株価が下がっても、もしかしたらチャラになるかもと考えて売り出せず、余計に損失を被ってしまうのです。
3【サンクコストの誤謬】 Sunk cost fallacy
今まで投資したコスト (お金・時間・労力)のうち、撤退・中止しても戻ってこない分をサンクコストと呼ぶ。サンクコストの誤謬とは、今まで投資したコストが無駄になる恐怖から、これまで行ってきた行為を正当化するために、非合理的な判断を行う状態を指します。
●具体例
開始10分で「つまらない」と思った映画でも、1900円支払ったから、10分見てしまったから、という理由で残り110分見続けてしまう。この事例において19 00円と10分はもう戻ってこない「サンクコスト」です。すでに回収不能な190 0円と10分は判断基準から外して「映画がこの先面白くなる可能性」と「中断した場合に得られる110分の価値」を比較するのが本来合理的な行動ですが、多くの人はサンクコストを判断基準に含めて意思決定してしまいます。
4【アンカリング】 Anchoring
アンカーと呼ばれる「先に与える情報」が判断を歪めてしまう現象。「どこに基準を置くか」で人間の意思決定や感情は大きく変わってしまう。
●具体例
1974年、エイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンは、 ている国のうちアフリカが占める割合を当てる実験を行いました。ただし被験者は実験の前にルーレットを回します。ルーレット盤は細工されていて、かならず10か55で止まるよう細工されています。
10で止まった被験者は中央値で25%と回答し、65で止まった被験者は中央値で45% と回答しました。多くの被験者は、アンカーに縛られていました。もし当てずっぽうで答えたならば、どちらも同じような割合になるはずです。
5【内集団バイアス】 Ingroup bias
自分が属している集団には好意的な態度をとり、そうではない集団には反対の態度をとる傾向。「内集団びいき」とも呼びます。「地元が同じ」といった緩いものから、 学閥・財閥グループなどの鉄の掟で結びついた集団まで範囲は様々。実際に存在する集団だけでなく、目に見えないレッテルのようなものも集団と感じれば内集団バイアスが発生する可能性はあります。
●具体例
もっとも分かりやすい内集団は「ファン」です。阪神ファンが巨人ファンに対して 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と言わんばかりに批判するのも、アンチ巨人で固まった内集団バイアスの影響です。度が過ぎると、特定の集団(国・人種など)に対する排外主義的行動にまで発展する可能性もあります。
6【偽の合意効果】 False consensus effect
自分と他人との間に共有されている「合意性(コンセンサス)」を過度に見積もり、 同じ状況になれば、他人も自分と同じ選択や行動をするだろうと考える傾向。もし、 自分と同じ選択や行動をしない他人に出会うと、その人が特別なのか変わった存在だと見なしてしまう。つまり、自分は「常識人」で、自分の常識に合致しない人は全て「非常識」だと「レッテル」を貼ってしまう。
●具体例
スタンフォード大学の社会心理学者リー・ロスは、学生に対して「ジョーズで食べよう」と書いたポスターを背中に貼り付けて、大学中を練り歩くバイトをやるかどうか実験を行いました。
バイトを引き受けた学生たちは、30%の学生が同じように引き受けたと考え、パイトを断った学生たちは、67%の学生が同じように断ったと考えたそうです。引き受けた学生は断った学生を「臆病者」と考える傾向があり、断った学生は引き受けた学生を「変なやつ」と考える傾向にあったようです。
7【ダニング=クルーガー効果】 Dunning-Kruger effect
能力の低い人物は自身の能力を過大評価する傾向にあり、逆に能力の高い人物は自身の能力を過小評価する傾向にあります。なぜなら能力が低い故に「不足」を認識できておらず、他者の能力もまた正確に推定できないからです。しかし訓練を積み実力が付き始めると、能力の欠落を認識できるようになります。
ちなみに、なぜこのような呼び方になったかと言うと、元になった研究を実施したのがコーネル大学のデイヴィッド・ダニングと、ジャスティン・クルーガーだからです。
●具体例
学会で「勉強不足で申し訳ありませんが」「基本的な質問で恐縮ですが」と質問する老教授は、相手の無知をやり込めようとしているのではなく、単にダニング=クルーガー効果にかかっている可能性が高いでしょう。ちなみにシェイクスピアは自分の作品で「愚か者は自身を賢者だと思い込むが、賢者は自身が愚か者であることを知っている」と語っています。
8【正常性バイアス】 Normalcy bias
なんらかの被害が予想される状況に陥っても、正常な日常生活の枠組みの中で解釈してしまい、事実を認めず、都合の悪い情報を無視する傾向。人間は自分の知識にしがみついて「まだ大丈夫」だとリスクを過小評価してしまいがち。
●具体例
1982年7月23日から翌24日にかけて長崎県長崎市で発生した集中豪雨は、1時間187ミリもの雨量を観測しました。23日午後5時前には洪水警報が出たものの、連日の大雨の影響で「またか」程度に受け止められてしまいました。その影響もあって、午後9時を過ぎても避難した住人はわずか13%ほど。危険地域住民の大半が避難しなかったため、大勢が土砂災害等に巻き込まれてしまいました。死者・行方不明者は299名を数えましたが、うち262名が土石流や崖崩れに巻き込まれた方々だったそうです。
避難しなかった人々は後の聞き取り調査で「家にいても大丈夫だろうと思った」「しばらく様子を見ようと思った」と語っています。
9【ナイーブ・シニシズム】 Naive cynicism
自分より相手の方が自己中心的だと考えてしまう傾向。「人間とは自己中心的な生き物である」という見方自体は「シニカル(皮肉、冷笑的)」なので、「シニシズム(冷笑主義)」と呼ばれています。
●具体例
自分と他人が共同で作業をして、それがうまくいった場合と、うまくいかなかった場合の貢献と責任について考えます。
うまくいった場合、自分は貢献量を公平に評価しているが、他人は貢献量を自分より高く評価しているのではないかと考えます。逆にうまくいかなかった場合、自分は責任度を大きく見積もっているが、他人は責任度を自分より低く見積もっているのではないかと考えます。
いずれにせよ、自分と違って他人は自分に甘い採点をつけがちだと考えるのです!
10【心理的リアクタンス】 Psychological Reactance
選択する自由を奪われて、他人から強制されると、例えそれが良い提案であっても反発・反抗してしまう傾向。
●具体例
漫画を読み終わったら勉強をしようと思っていたのに、親から「勉強しなさい!」と強制されて一気にやる気を失ってしまった。仕事をする順番を決めていたのに、 上司から「こっちの仕事はどうなっているんだ!」と叱られて一気にやる気を失ってしまった。
11【結果バイアス】 Outcome bias
ことわざの「終わりよければ全て良し」の通り、結果が出るまでの途中のプロセスより、結果のみで判断してしまう傾向。結果を見て、因果関係のストーリーをあとから「創作」する場合もある。
●具体例
ビジネスの世界において、勝率の限りなく低いギャンブルに勝利した経営者は、「先見の明がある」とされ、「大き過ぎるリスクを取ったこと」は批判されない。逆に、 挑戦しなかったために利益を得られなかった経営者は「慎重に行動した」と賞賛されるより、「凡庸で臆病な経営者」だと批判されがちである。
12【確証バイアス】 Confirmation bias
自分の仮説を支持する情報ばかり集めて、仮説に反する情報を無視する傾向。自分の見方が正しいと思いたいがために、自分の考えを捕捉してくれる情報を求め、書籍や雑誌、WEB情報ばかり目を通す。逆に、違う見方は「自分を否定するもの」 として遠ざけてしまう。
●具体例
「オレオレ詐欺」の電話がかかってきた高齢者は、かかってきた電話の声や話の内容から「自分の記憶の中からそれっぽい話を思い出し」て「確信」し、「詐欺だからお金を振り込んではいけない」という周囲の意見を無視してしまう。自分の応援しているアイドル、またはインフルエンサーがネット上で炎上していると、そんなはずは無いと擁護し、それが火に油を注いでしまう。
13【無意識バイアス】Unconscious bias
「自分自身でも気付いていない、無意識のうちに持っている偏見や思い込み」で、 過去の経験や習慣、周囲の環境からいつの間にか「そういうものだ」と捉えている傾向。
●具体例
「理系はコミュニケーション能力が低い」「高齢者はパソコンが苦手」「最近の若者は根性がない」「男性は女性より体力がある」。これらは全て無意識バイアスの一例です。その人はコミュニケーションが苦手なだけであって、理系全員が苦手とは限りません。無意識バイアスにはなぜか主語が大きくなり、「決め付け」の傾向が強くなります。
14【現状維持バイアス】 Status quo bias
得られる「リターン」よりも、失う「リスク」に過剰に反応して変化を望まない傾向。現状を抜け出して新しい状態に移る場合、コストだけでなくリスクがある。であれば「現状」のままが良いだろうと意思決定を下すようになる。変化した後の先が見えない怖さがあるのでしょう。
●具体例
転職した方が自分の人生に良いかもしれない。他の携帯電話に乗り換えた方が、保険を乗り換えた方が、お財布には優しいかもしれない。新しいシステムを導入した方が、仕事の生産性が向上するかもしれない。それでも「乗り換え」ないのは、変化して何かを失う「リスク」が怖いからです。
15【バランス理論】 Balance theory
対人関係において3者以上の存在がある状況において、その3者間の関係のバランスを保とうとする傾向。
●具体例
例えば、ある対象(X)についてAさんとBさんで話をしていたとします。 Xについて、AさんもBさんも「良い(+)」と評価する場合、AさんとBさんの関係は「良好」になります。逆にXについて、AさんもBさんも「悪い(1)」と評価をする場合も、同じくAさんとBさんの関係は「良好」になります。ところが、 XについてAさんは「良い(+)」と評価し、Bさんは「悪い(一)」と評価する場合は、AとBは仲良くなれないのです。
AさんがBさんと仲良くしたいなら、Aさん自身の評価を変えるか、あるいはBさんの評価を変えさせるしかありません。
16【生存者バイアス】 Survivorship bias
ある特定の出来事や手段を評価する際、失敗事例は記録に残っていなかったり、目を向けなかったりして、成功事例のみを評価してしまう傾向。生存者の証言は重要視されますが、「死者」のことはいつしか忘れ去られ、「生存者」が全てであるように感じてしまうのです。
●具体例
日本経済新聞の名物連載「私の履歴書」は非常に面白いのですが、登場する人たちが全て「生存者」なので、仮にその通りに行動したとしても、成功を収めるとは限りません。むしろ特殊要因や偶然の可能性も紛れていて、再現性が極めて低いかもしれません。それでも「あの名経営者が成功したなら」と同じ取り組みに挑戦し、 失敗して二度と這い上がれなかった経営者も多いと推察します。
17【バラ色の回顧】 Rosy Retrospection
過去の出来事について不要な記憶(嫌だったこと、辛かったこと)を削ぎ落とし、 良い評価のエピソードだけを覚えている傾向。
●具体例
大人同士でケンカになった場合、仲裁者が「時間が解決してくれる」という言い方で宥めたりするのは、まさに「バラ色の回顧」が頭の中にあるから。時間が経てば嫌な記憶も忘れてしまう。同窓会に参加すると、昔話に花が咲くのも同じ理由と思われます。
18【「よく知っている道」の効果】Well travelled road effect
よく利用する道のりの移動時間を少なく見積もり、あまり利用しない道のりの移動時間を多めに見積もるなど、普段行っている作業の労力を過少評価し、初めて挑戦する作業の労力を過大評価する傾向。
●具体例
初めての作業は余裕を見て作業時間を多めに見積もりますが、何度も経験した作業は「半日でできます」と判断してしまい、結局は丸1日かかってしまうなどの経験はないでしょうか。ちなみに同じ道にも関わらず、何度も通っていると「必要な時間が短くなった」 と感じる場合があります。 あります。これは当初の「必要だと想定する時間」 が、このバイアスのために長めに見積もっていただけで、何回通ろうとかかる時間に殆ど違いはありません。慣れているから多少早歩きで歩いている程度です。
19【類似性】Similarity
環境、容姿、態度など似た者同士と一緒にいると、心地良さを感じて好意的な人間関係を成立させる傾向。「似ている」の度合いは相対的なもので、例えば異国の地で「同じ日本人」なだけで親近感を抱く場合もあるが、日本ではそれはあり得ません。
●具体例
「ジムに通ったけど3日坊主だった」という友人の暴露話を、「私もそうだ」と共感し、それを話せば、お互いに親近感を抱き合い、距離がグッと縮まるでしょう。 類似性はプライベートな話に限りません。「マーケティングに割ける人員がいないんです」というある顧客の暴露話に、「AさんもそうだったけどB社のサービスを使えば楽になった」という事例を話せば、B社に親近感を抱く可能性があります。
20【専門偏向】Professional deformation
自分の得意な分野の視点でのみ物事を観察してしまう傾向。「専門バカ偏向」と言う人もいる。
●具体例
新型コロナウイルス対策について、感染症の専門家は経済への影響を論じないし、 逆に経済の専門家は感染拡大の影響については発言しません。多くの専門家は、自分の領域においては自信満々で話せるのですが、専門外のことにはトンチンカンな発言をしてしまいがちです。あらゆる方面への影響を配慮し、バランス感覚を持って発言できる人は非常に稀です。
21【身元のわかる犠牲者効果】Identifiable victim effect
被害者が「特定可能な個人」の場合、そうで無い場合と比べて、はるかに強い反応を示す傾向。「人数の大きさ」よりも、たった1人のストーリーに人は興味を惹かれます。
ナチス政権下のユダヤ人大量虐殺に直接的関与したアドルフ・アイヒマンは、自身の戦争裁判に対して「1人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」 という言葉を残しました。大勢の死は単なる数字ですが、たった1人の死は人々の心を激しく揺り動かします。
●具体例
毎年アメリカにおいて発生する100万人の死者は、単なる統計上の数字としてしか理解されませんが、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア」たった1人の死は、アメリカ社会を大きく変えました。
新型コロナウイルスによって亡くなられた人数は日々更新されていきましたが、コメディアンの志村けんさんが亡くなられた時、未知のウイルスに対する恐怖や怒りの感情が日本人の間に強くかき立てられました。
22【感情移入ギャップ】 Empathy gap
「まさか自分はそんな風には思わないだろう」と考えていても、いざ当事者になってみると思いもよらなかったような感情を抱き、行動してしまう傾向。つまり現在の感情が、かつての判断・感情を「無かったこと」にしてしまっている。
●具体例
お腹が満腹の状態で「明日からはダイエットを頑張ろう」と決意を新たにしても、 いざお腹が減るやいなや暴食してしまう。昨日のやる気や、太っている自分への怒り、 腹立ちの感情はどこかに消えてしまい、今の空腹感がすべてに勝ってしまうのです。
23【誇張された予想バイアス】 Exaggerated expectation bias
実際には起こりにくい「極端な想定」が、現実に発生すると考えてしまう傾向。先んじて入手した情報を誇張して受け止めてしまうのです。現実は、想像ほど深刻ではないことも多く、極端なケースばかり起きるわけではありません。
●具体例
「大地震が起きるかもしれないから家は買わないほうがいい」「事故にあうかもしれないからパイクには乗らないほうがいい」などと考えてしまう場合がありますが、 起こる確率が極端に低い最悪の事態のことばかり考えていると、正しい判断ができなくなってしまいます。新型コロナウイルスを受けて最悪の事態に備える重要性が叫ばれていますが、一方であらゆる事態において「最悪」に備え続けると、「最悪」が起きなかった場合に肩透かしを食らうかもしれません。
24【共有情報バイアス】 Shared information bias
ある集団内で既に共有されている情報については議論されるのに、共有されていない情報については議論されない傾向。集まったお互いが「何を知らないか」を「知らない」ので、情報共有がされないまま意思決定に至る場合があります。特に緊急事態においては共有をしている時間もないので、お互いが「知っている前提」で話し合い、さらに混乱を招くのです。
●具体例
「将来、私たちのビジネスはどうなるか」といった未知の物事が多い議題は議論が進まず、「今のオフィスより賃料が安い物件に引っ越すべきか」「駐輪場代金を会社で支払うべきか」といった具体的で既知の物事については議論が盛り上がります。
25【イノベーション推進バイアス】 Pro-innovation bias
実際には弱点や限界があるにもかかわらず、社会全体が新技術の有効性を過剰に楽観する傾向。イノベーションが起きれば社会が良くなると勝手に評価しがちですが、 そのイノベーション自体が起こる確率も低く、「ぬかよろこび」となるケースは多いのです。
●具体例
「高速増殖炉が実用化されればエネルギー問題はなくなる」などとかつては言われていましたが、残念ながらいまだに実用化されていません。「インターネットが社会に浸透すればオフィスが不要になる」と言われていました。たしかに新型コロナウイルスの影響でテレワークが推進されていますが、一方テレワークできない仕事の存在も再認識されており、オフィスが完全に不要になることはなさそうです。
26【投影バイアス】 Projection bias
自分と同じように他の人も考えるはず、相手も自分の意見に同意するはずだと、自分の考えを他人に投影する傾向。相手の考えを理解するのではなく、自分の考えを相手に押し付けてしまう。
●具体例
「女性は産む機械」「知恵を出さないやつは助けない」「私はすごく物分りがいい、すぐに忖度する」といった「政治家の失言」は「みんな自分と同じ考えだ」と思い込んでいるためになされるので、少なくとも発言した本人ははじめ「失言だと思っていない」のだと思われます。
27【ギャンブラーの誤謬】 Gambler's fallacy
主観的な考えを優先し、確率論に基づいた予測を行わない傾向。たとえば少数回だけ試した結果表、表、表と続けば「次は必ず裏が出る」「次も表が出るかもしれない」 と、その前の結果から予測してしまう(本来なら表と裏が出る確率は50%ずつ)。
●具体例
1913年8月18日にモンテカルロカジノでのルーレットゲームで、20回連続でボールが黒に入るという事件が起こりました。ルーレットに細工がないと仮定すると、 20回連続してボールが同じ色(赤または黒)に入る確率は6660万回に1回という、非常にまれな事象でした。「こんなに黒が続いたのだから次こそ赤が出るはずだ」 と考えたギャンブラーはきっと破産したでしょう。
28【確率の無視】Neglect of probability
確率を無視して判断する傾向。人間は確率を直感的に把握できないため、めったに発生しない小さなリスクを非常に過大評価したり、あるいは逆に「めったに起きないから大丈夫だ」として対策を怠ったりする。
●具体例
「飛行機」「電車」「船」「自動車」のうち、事故に遭遇する確率が一番高い移動手段は 「自動車」ですが、墜落事故の印象が強いせいか、飛行機移動を忌避する人が少なからずいます。
一方で、東日本大震災に起因して発生した福島第一原子力発電所の事故は、地震・ 津波が直接の原因にも関わらず「あのような規模の地震はそうそう起きないて全国で原子力発電所の稼働が再開し始めています。
29【サンプルサイズに対する鈍感さ】 Insensitivity to sample size
少数のサンプルを調べただけで全体の傾向を理解したつもりになったり、代表的な値だけに注目したりする傾向。特に「率(%)」について、どれだけのサンプル数を集めたのかを無視してしまうと数字を見誤ってしまう。大勢に聞くよりも、少数の「良い」とする意見だけを取り上げて「こんなに評価されている」と宣伝するのは間違っています。
●具体例
4回コイントスを行って1回表が出たコインを「表が20%出るコイン」と捉えるのは間違っています。表が出る確率が50%だったとして、それを確かめるのにコイントスを4回しか行わないのはサンプル数が不足しています。
他にも、30%の人がAよりもBを美味しいと評価しました、と宣伝したとしても、 回答者がたった10人であれば、もう少し大勢に聞けば結果は変わった可能性があります。
30【錯誤相関】Illusory correlation
AとBに相関が無い(関係性が無い)のに、関係性があると思い込んでしまう傾向。 運命論者や占い好きに、錯誤相関は多いかもしれません。
●具体例
黒猫が目の前を横切った日は、何か不幸が起きる。シャーペンの中の芯が折れた日は、何か不幸が起きる。こうした「迷信」が生まれるのも、黒猫が横切った偶然や、 シャーペンの中の芯が折れた偶然と、なんら関係が無い不幸を紐付けるからです。
31【観察者期待効果】Observer-expectancy effect
仮説に一致するデータばかり探してしまったり、逆に仮説に反するデータを見落としたり、研究者が無意識のうちにデータを誤って解釈する傾向。「こうである」と思い込みが生まれてしまうと、偏った目線でデータを見てしまうのです。
●具体例
新型コロナウイルス対策を巡って「PCR検査を積極的にするべきだ派」 に隔離が必要な感染者を増やすべきでは無く、PCR検査は絞り込むべきだ派」の真っ二つに分かれてTV局だけでなくネット上でも舌戦が繰り広げられています。 いずれも双方の主張を論理的に否定するだけでなく、自分の仮説に合致するデータのみを拾うため、会話が噛み合っているようで噛み合いません。
32【バックファイア効果】 Backfire effect
信じたくない情報や自説にとって都合が悪いエビデンスに遭遇すると、もともとの信念を変えるよりも当初の信念をより強固に信じるようになる傾向。バックファイアとは、もともとエンジンで燃焼しきれなかったガスがエンジンの外で爆発する現象を指していますが、転じて「裏目に出る」の意味で英語の慣用表現となっています。
●具体例
国論を二分するような問題(日本国内であれば沖縄問題、原発問題、新型コロナウイルスへの対応、他にも国際政治に関する問題など)においては、バックファイア効果が起きやすいと言われています。自分と異なる立場からの発信について、頭から嘘だと決めつける光景が日本においても見られます。こうした効果が、フェイクニュースの土壌となっているとも言われています。
33【ナイーブ・リアリズム】 Naive realism
自分だけはバイアスに囚われる事なく客観的に物事を見ているというバイアス。自分は客観的に現実を認識しているので、他人も自分と同じように認識できるはずだと思うあまり、他人の認識が自分と異なっているとその人の考え方は不正確で歪んでいる、と感じてしまうのです。
●具体例
「自分が投票した候補者が選挙で落選したのは票が不正に操作されていたからだ」「新型コロナウイルスに自分はまだ感染していないので世間は過剰に反応しすぎだ」「うちの会社がリモートワークを導入しないのは何か裏があるからに違いない」などと自分の判断を正当化するあまり、「陰謀」などの根拠に乏しい「仮説」を無条件に信じてしまう。
34【自己充足的予言】Self-fulfilling prophecy
ある「予言」通りの結果が起こると「予言が当たった」ように錯覚する傾向。そもそも、その結果は人が無意識のうちに「予言を実現するよう」に行動した結果だった可能性があります。自ら予言を当てに行っているのです。
●具体例
朝起きて「今日は良い日だ」と感じると、良い事象ばかりに意識が向きがちですが、 逆に「今日はダメな日だ」と感じたら、悪い事象ばかりに意識が向きやすいものです。 ほかにも、「部下はやる気がない」と直感すると、それに合致する情報ばかり目に入り、「やっぱり、私の見立ては正しかった」と判断しがちです。
35【バーナム効果】Barnum effect
誰にでも該当するような曖昧で一般的な記述を、あたかも自分にだけ当てはまるものだと捉えてしまう現象。
●具体例
「あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります」
「弱点を持っていても、あなたは普段それを克服することができます」
「あなたは使われず生かしきれていない才能を、かなり持っています」
「一見規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよ悩んだり、不安になったりする傾向があります」
「自分にもあてはまっている」と思われるかもしれませんが、文章はいずれも一般的な内容ばかりです。これはバートラム・フォアが1948年に行った実験で、これらの指摘が自分にどれくらいあてはまっているかを0(まったく異なる)から 5(非常に正確)で学生たちに評価させましたが、このときの平均点は4・26と、 ほとんどが「あてはまる」と答えていました。
36【単純接触効果】Mere exposure effect
初めは興味がなかったり、苦手だったりしても、何度も見たり聞いたりしているうちに良い印象に変化する傾向。音楽や衣服、あるいは広告のようなものだけでなく、 対人関係にも当てはまると考えられています。
●具体例
選挙に勝つ方法として、毎朝選挙区の街頭で演説して顔と名前を覚えてもらう、選挙期間中はとにかく候補者の名前を連呼する、といった方法が行われています(それが良いか悪いかはさておき)。
SNS時代になってもツイッター、フェイスブック、新聞広告など複数の媒体の広告に何度も触れているうちに記憶され、印象が良くなってきます。そもそもツイッターのRT機能は「単純接触効果」を増大する役割を担っていると考えられます。
37【同調バイアス】 Conformity bias
次の行動を選択する際に、まずは他人の行動を観察してから、大勢が選んでいるのと同じ内容を選ぶ傾向。強いこだわりがない場合、選択が不安な場合は、とりあえず周囲に合わせようとします。皆と一緒だと安心できるのかもしれません。
●具体例
学校や職場での「イジメ」を目撃した人は、加害者にはならなくても「イジメ」自体は見なかったことにしたり、同調バイアスがエスカレートすると加害者に加担する場合さえあります。
2003年2月18日、韓国で地下鉄火災が発生し、192人の命が奪われる大惨事がありました。事件後に発表された報道で、煙が充満した車内で平然と人々が座っている写真が公開されました。窓を割って逃げるのが最善策のようにも思いますが、 おそらく「誰も慌てていないから窓を割って逃げるほどではないのだろう」と誰もが思ってしまったのでしょう。
38【敵対的メディア認知】 Hostile media effect
メディアはいつも自分の思想とは反対側に歪んでいると認知する傾向。「マスメディアが世論を操作している」と考える人が多くいますが、メディアに懐疑的な人が多いため、実際にはあまり影響力が無いともいわれています。
●具体例
ある報道について与党支持者は「野党寄りの報道だ」と感じ、野党支持者は寄りの報道だ」と感じることがあります。「もっと公平・公正に報道して欲しい」 とする発言は、誰にとっての公平さ・公正さなのでしょうか?
39【ゼロサムヒューリスティック】 Zero-sum heuristic
「利益の総量は一定」と捉えてしまい、誰かが利益を得れば、その分だけ誰かが損をすると考えてしまう傾向。利益の総量を増やすように考えれば良いのですが、自分が関与できない領域となると「自分が損したくない」と感じる想いが強く働くようです。
●具体例
1990~2000年代に起きた「官僚批判」では、高級官僚が得をすれば国民が損をするように感じてしまったため、「高給取り」批判の大合唱が起きてしまいました。その結果、官僚は「大変な割に給料が安い職業」と見なされ、志望者が減っているといわれています。国家の舵取りを担う人材が減ったせいで、国全体の利益も減ってしまっています。
40【ゼロリスクバイアス】 Zero-risk bias
ある問題の危険性をゼロにする事を優先し、他の重要な問題をないがしろにする傾向。危険性の割合を1%から0%に減らすためのコストは、100%から10%に減らす場合に比べてはるかに高いのですが、人はコストを度外視してゼロリスクを追求しがちです。
●具体例
新型コロナウイルスへの感染を完全に根絶するために手っ取り早いのは、全人類の一切の外出を禁止することです。しかしそうなると誰が重篤患者を診察し、食材を提供し、日常から出るゴミを処分するのでしょうか。あらゆるリスクを0%にしようとするなら、その他のリスクが増加することも合わせて見なければならないのですが、人はそれを無視してしまいがちです。 -
●2025年1月13日、メルカリから「ファスト&スロー」の新規出品通知来たのでのぞいたら、その方のほかの出品物で見つけた本の一つ。めっちゃそそるタイトル。
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これから生きていく中で、本書で語られた心理学的要素を把握しておくことで、騙されない確率が上げられそうと感じています。
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物事を斜めから切り込んだような本。しかし、とても興味深い内容だと思った。少し説明がくどい部分もあるが、面白かった。
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行動経済学について知りたかったら、まず、この本を読むと良いです
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メジャーな社会心理学・バイアス名の辞書。
内容は普通。 -
表紙やタイトルは、なんでこんな感じか、
よく分かりませんが、
要は「バイアス」についての本です。
そういった意味ではとても参考になりました。
途中途中で挿入される「昔話」は不要やな。 -
行動経済学について昔話や身近な事例を交え解説している。平易な事例と文章のため分かりやすい。
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