人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620326405

作品紹介・あらすじ

人間の50%はクズである! 大ヒット&大ブームの「悪魔の法則」を話題のデータサイエンティストが解明、全ビジネスパーソン必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 善と悪の感情が私たちの
    心理状態や行動にどんな影響を及ぼすのか
    日常生活を例にしながら
    分かりやすく理解できる。

    またマーケティングの目線から
    そうした感情を利用することで
    知らない間に購買意欲が高まったり
    知らない間に選択させられてたりすることも知れた。
    普段の無意識の行動に、もう少し意識を
    向けるとまた新たな視点がみつかりそう。

  • ホラーやサイコパス、洗脳的な物語が好きな私。こんなタイトル見つけちゃうと思わずニヤついてしまう。本書は行動経済学、まぁ自己啓発本の類というのは知っていたが面白そうなのでたまにはと思い手に取った。

    人はサラダマックを求めつつ、実際にはギガビックバーガーの方が売れたりする隠された心理。予想通り面白かったし興味深い内容。自分の行動や世界の動きを振り返るとバイアスがかかっていたことがよく分かる。人は矛盾している生き物だということを身近な例えで分かり易く説明してくれている。昔は良かったと、現状を変えることが出来ない愚かさ。手を抜くや楽をするということは、言い換えれば要領よく効率的で褒められるべきことだ。コロナ禍でもウィズコロナやアフターコロナを考えるしたたかさ。感情と勘定で人は動くものだということ。枚挙にいとまがない具体例。これが分かり易くて共感できる。

    昔から言われる「108の煩悩」やら「7つの大罪」。どんな善人でも悪の部分を持っている。そことせめぎ合って生きているのだ。だから悪いことを考えたとしても落ち込み、悩む必要はない。そこをいかに利用するかが大切なのだ。良書だった。

  • 『感想』
    〇人が持つバイアスを人間の本能として理解を促す本。この心理を知っているだけでバイアスは補正されるし、逆にこの性質をうまく使えば、成功に結び付くかもしれない。

    〇人は結局自分を中心に物事を考える。それを悪魔と嫌わずに受け入れることも大切。

    〇途中に日本昔話についてマイナス面から考察する部分があるが、これはやりすぎだと思う。その話をどうとらえるかはその人次第。わざわざ悪い方向からこう読めると言わなくてもいいのに。

  • バイアスの勉強。
    ビジネスにおいては、客のアンケート回答すら信じてはならない。本当はそんなことを望んでおらず、背徳感を抱くような悪魔的なものを望んでいるのが本音。建前だらけのアンケート結果からそれを引き出さなければならない。

    ずっと真面目に生きてきた自分が、なぜ誰からも好かれないのか、みたいな話をされているよう。結局、自分が楽になりたいとか、これがやめられないとか、SNSにはりついて騒いでいたり、矛盾のある人間が愛されるみたいな話。自分は、特に悪魔には魅力を感じないし、クズ人間も本音トークも好きではないので、このままずっと建前を貫いているような生き方の方が良い、とか思ってしまう。むしろそういう悪魔に流されない考えの人の方がおもしろいって思う。

    過去に低血圧に悩んでいた時、食塩を大量に食って血圧上がらないかとかやっていたのをなんか思い出した。

  • ・マクドナルド:不健康かもしれないけど、脂っこくてジューシーな高カロリーのハンバーガーをがぶっとくらいつきたいのがお客様の本心だ!=背徳感が大ヒットのカギだった
    ・「がんばらない介護生活始めませんか」善(ちゃんと介護しなきゃ)悪(大変だ、楽したい)どちらの感情も認めることが大事
    ・人のお腹は平均400グラムで満腹になる
    ・情緒を刺激する商品は売れる。「天然水」は水である以上、「のどの渇きを潤す」という「機能に由来する価値」こそ商品が売れる理由だと企業側は思いがちですが、実は「冷たく澄んだ空気の感じ」という「機能外の価値(情緒価値)」をも消費者は買っていた。食べ放題も、「好きなものを好きなだけ食べておなか一杯になる」という「機能に由来する価値」だけではなく、「幸福感」という「機能以外の価値」を提供している
    ・「NewsPicks」大躍進の裏には、「承認欲求」をうまく利用した仕組みがあった。「承認欲求」をいけないものだと否定するような商品・サービスよりも、「承認欲求」の存在を一定程度「承認」する「悪魔的」な商品・サービスのほうが、多くの人から支持されるのは間違いないでしょう
    ・心理的リアクタンス:選択する自由を奪われて、他人から強制されると、たとえそれがいい提案であっても反発・反抗してしまう傾向
    ・確証バイアス:自分の仮説を支持する情報ばかり集めて、仮説に反する情報を無視する傾向。自分の見方が正しいと思いたいがために、自分の考えを捕捉してくれる情報を求め、書籍や雑誌、Web情報ばかり目を通す。逆に、違う見方は「自分を否定するもの」として遠ざけてしまう
    ・もっと怒っていいのです。怒らないから、世の中は何一つ変わらないのです。
    ・バランス理論の面白い点は「良い」同士だけでなく、「悪い」同士でも良好な関係を築くことができる点
    ・さぼりたいという人間のダークサイド。「元々そんなにつらくなかった」「私だって苦労してやってきた」というバラ色の解雇から、「さらに楽になる」ことを必ずしも良いと思わない人も一定層存在する
    ・よく知っている道の効果:よく利用する道のりの移動時間を少なく見積もり、あまり利用しない道のりの移動時間を多めに見積もるなど、普段行っている作業の労力を過小評価し、初めて挑戦する作業の労力を過大評価する傾向
    ・人間は過去の成功にとらわれがち→要領よく進めて苦労を避ける、手を抜ける場面で楽をするのは悪とされがち
    ・時短のためにお掃除ロボットや乾燥機付き洗濯機、食洗器を購入するのは「家事をさぼっている」のでしょうか、はたまた「機械化で時間を生み出しているスマートな選択」なのでしょうか。人間の「煩悩」をただただ全肯定すればいいというわけではなく、「煩悩」を受け入れられないという消費者の気持ちにも配慮して、受け入れやすい範囲内で「怠惰」を推奨する、という「気配り」が必要
    ・「この人は自分と同じか、自分よりもダメな人だ」と思われるような人ほど、強力な「愛され力」を発揮する。隙だらけで全然完ぺきではない人ほど、現実には愛されやすいのです。
    ・情報共有バイアス:ある集団内ですでに共有されている情報については議論されるのに、共有されていない情報については議論されない傾向。集まったお互いが「何を知らないか」を「知らない」ので、情報共有がされないまま意思決定に至る場合がある。
    ・AIが人の仕事を奪うという論点には、AIが普及することで新たなタスクや職業が生まれる可能性を無視している
    ・科学的という言葉は、属人的ではなく合理的で明確なプロセスを持ち、再現性が高いことを意味する
    ・「科学的か否か」という問題軸のほかに、「その人にとって価値・意味があるか否か」という問題軸も常に存在している
    ・内集団バイアス:本を持っていることが「あるグループに入る」ための「一種のステータス」化し始めると、かなりの規模の集団が先を争って本を買うという行動を起こす
    ・ゼロリスクバイアス:ある問題の危険性をゼロにすることを優先し、他の重要な問題をないがしろにする傾向。(1%を0%にするコストは、そのほかの1%減よりもコストが高いにもかかわらず)
    ・人は心のうちに悪を秘めている。「きれいごと」で人を戒めるより、人間本来の「悪」の魅力を解き放つことでヒットは作れるのではないでしょうか

  • 人間のダークサイドを行動経済学の観点から分析した一冊。「なぜ意識高い系はNewsPicksを使うのか」「M1グランプリはなぜ炎上したのか」「ホリエモンの悪口はなぜ受けるのか」など、日頃気になっていた事がうまく分析されていた。中でも「FACTFULNESS」は本当にファクトなのかという分析が一番面白かったかな、現代は複雑な世の中なので何をするにも何かしらのバイアスがかかってることを前提で行動したほうがいいなと考えさせられた。

  • 社会の事象やマーケティング施策などと人間の心理的なバイアスの関連性を解説しながら、人間そんなに合理的ないきものじゃないよーって説明している本。

    炎上も社会的な運動も人間の性善説的な光の部分ではなく、
    性悪説的な闇の部分から生まれていることが多い。それを見誤らず、またマーケ施策を考えるときも人間はこうするべきだみたいなべき論にハマりすぎないようにしようと思った。

  • 食べ放題損失回避、サンクコスト
    不満はアンカーの設定によって変わる

    承認欲求を満たすサービスが多くの人から支持をあつめる

  •  人間を熱狂に駆り立てるためには、善よりも悪や煩悩のほうがより重要な要素である。

     感覚特異性満腹感→別腹はあった。

     アンカリング
     →先に与える情報が判断を歪める

     生存者バイアス

     結局、努力しろ、結果を出せ、この9文字が全てなんですね。

  • 行動経済学について知りたかったら、まず、この本を読むと良いです

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著者プロフィール

二松学舎大学文学部 都市文化デザイン学科教授 (大学院国際日本学研究長、都市文化デザイン学科主任)。
主な著書・編著に
『デジタル記号論』
『理論で読むメディア文化「今」を理解するためのリテラシー』(編著)
『ポケモンGOからの問い』(編著)
『コンテンツのメディア論』(塙 幸枝氏と共著) いずれも新曜社

「2024年 『日中韓のゲーム文化論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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