- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620327495
感想・レビュー・書評
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専門書についての新聞書評が、やたらハードル高く感じてしまうのは、やっぱ自分の知識量不足のせいなんだよな…と改めて感じさせられる本作。”それでも日本人は~”で、分かりやすく噛み砕かれた論評にやられたクチなんだけど、あれはあくまで、高校生相手だったってのもある訳で。その流れで、入門書的な本の紹介を期待していたんだけど、なかなかそうはいきませんわな。自分が読んで興奮した書を勧めるとなると、それが専門分野となるとなおさら、見える景色が全然違うもんだな、と。でも、自分の無学を思い知らされる読書体験も必要かな、と。って、そればっかな気もするけど。
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歴史とは単なる暗記科目でもロマンでもない、という見方を教えてくれたのは、同作者の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』だったが、それをふまえた上で、やはり歴史学を味わうには膨大な知識が必要なのだと本書で痛感した。
著者の知識量に脱帽する。 -
東大教授加藤陽子氏による、歴史の重みを感じさせる本の珠玉の書評集。
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歴史学者による書評集。
毎日新聞の「今週の本棚」欄に掲載されたもの、月刊誌『論座』(朝日新聞社)に「新・文庫主義」として連載されたもの、本の解説として執筆されたやや長めの文など、3種から構成されている。(p.4) -
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歴史に関心無くても「エッそうだったんだ」と驚きと気づきある、お得本。歴史から炙り出される、この国の現状と世界情勢。歴史を未来を創り出す力にしなければならないが、繰り返されるばかり。ウクライナ侵攻と国際社会の支援も素直に見られなくなる。供物?なんだろうな…結局。「公共的記憶すら持てない日本」「民力含めた広義の国防」「人間の常識に敬意を払いつつ世間の常識を批判する」とても紹介された本まで届きそうにない…無念。
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近現代史を語る上で非常に参考になる書籍を加藤陽子が評する本で、この分野に興味を持つ人々にとっては大変に危険な本だということもできるだろう。というのは次から次に読まなくてはと思ってしまうので、いくら手元に金があっても間に合いそうにない。
さすが加藤陽子である。 -
著者による既発表の書評集。著者の専門の日本近代史関連のものが多いが、中では自分が既読の本、読もうと思った本のほか、自分からは手に取らないだろう南原繁や林芙美子の著作も本書で概要を知ることができた。
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以前著者の本を読んで、異論が渦巻く日本の1930年代の歴史を切れ味よく語る学者と常々思っていたところ、学術会議の6人の報道に「さもありなん」と注目して、新刊を待っていたので早速本書を手に取ってみた。
書評にとりあげられた57冊のうち小生が読んだことのある本は「神聖喜劇」(大西巨人)一冊のみ。「あらら」と思いながらも読み進むと、最後の「おわりに」に「本書が対象とした書籍の多くは研究書だ」とある。
小生が読む本の多くは、歴史にしろ政治にしろ、一般向けに分かりやすく紐解いた解説書である。研究書に直接当たるのはちょっとハードルが高い。
しかし、本書の書評をそれなりに楽しめたのは、今まで読んできた一般向けの「解説書」の原典のエッセンスの匂いを嗅ぐことが出来たからと思った。
本書で、第一次世界大戦後の欧州では「経済成長が著しかった・・国際分業が浸透した結果、各国は比較優位業種を淘汰する必要に迫られ、国内に『繁栄の中の苦難』を等しく抱え込むようになっていた・・・この苦難を除去するために社会主義や平和主義の方向での解決を図れば・・・体制転覆の恐れが生じ、膨大な財政出動も必要とされる。体制と財政の二つながらの崩壊を覚悟せねばならなくなった時、各国の政治指導者は『自衛のためのやむにやまれぬ戦争』の道を選択したのではなかったのか」という部分を読んだ時は、現在の世界情勢を思い起こし、ゾクゾクするような興奮を覚えた。
いやー、歴史はやっぱり面白い。