帰郷

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 17
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620510323

感想・レビュー・書評

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  •  この本好きです。情景描写は読みにくかったが、最後は読めるようになり、その深さ美しさを感じた。言葉が美しい。
    余韻に浸れる。

  • 2020.10.30
    流石に文学作品だなあと思う。まるで描写が違う。桁違いに重厚である。初めての著者。名前は幾度となく聞いていたけど手に取るのは初めて。戦時中のことは読むほどに奥の深さが増してくる。

  • 海軍で横領をはたらき日本にいられなくなった主人公守屋が敗戦で日本に帰り,昔別れたままの自分の娘に再会するというのがメインストーリー.
    昭和23年出版され,昭和25年には芸術院賞を受けたらしい.
    私が読んだのは昭和34年発行の講談社「現代長編小説全集」第18巻.この本の著者紹介によれば,「戦後に心にきざした或る怒りから生まれた.」と著者はこの作品について語っているそうだ.
    この本が書かれてずいぶん経って,この本を読んでも,その怒りがどこに向いているか,よくわからなくなっているのではないか.古い本にしては会話が多いせいもあってずいぶん読みやすいし,登場人物もそれなりに個性があるにもかかわらず,私の心に訴えるものはとても少なかった.

  • 作品中に出て来る鎌倉円覚寺周辺の描写を読みながら、また、数年前に行った京都南禅寺付近の思い出などを思い出しながら、ふと鎌倉寿福寺にある大佛次郎の墓の面影が頭に浮かんだ。
     そんな近しい感情も作品の味わいに影響してくるようだ。

  • -どうして昔の日本人が、寝ていても起きていても、こうして不断の伴奏のようにして水を聞くのを好んだのか-

    日本庭園についての本を探していたとき、とある文学者の方にすすめられた一冊。なんとなく「純文学なんだろうな」と思ってページを開くと、和服姿の際立って美しい女性が登場し、まずパパラッチ的に興味のわいた。けれども、引用した庭の「水」に対する考察のくだりはじめ、女性の「着物姿」ほか、描写の細部から、作者がいかに知的で、教養豊かな人物かを窺い知ることができ、独特な読ごたえがあった。あとがきを読むと、日本で初めて、大衆文学を純文学の域に高めた人、だそう。それはナットク!通俗的な物語の中から日本の美について思いを馳せることができるスゴイ小説。

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著者プロフィール

大佛次郎
一八九七年横浜市生まれ。本名・野尻清彦。兄抱影は天文学者。東京帝大政治学科卒業後、鎌倉高等女学校の教師、外務省嘱託を経て、一九二三年関東大震災を機に文筆に専念。『鞍馬天狗』シリーズで急速に支持を得る。『パリ燃ゆ』『帰郷』『地霊』など歴史と社会に取材した作品も多い。六七年から死の直前まで朝日新聞で『天皇の世紀』を執筆。六四年に文化勲章受章。七三年没。生涯で五百匹の猫を世話したほどの猫好きでも知られる。横浜に大佛次郎記念館がある。

「2023年 『宗方姉妹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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