「地球温暖化」神話 終わりの始まり

著者 :
  • 丸善出版
4.00
  • (9)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 82
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621085172

作品紹介・あらすじ

日本は2006年度から国・地方・民間を合わせて20兆円以上も「温暖化対策」に使ってきましたが、CO2の排出が減った形跡はまったくありません。財政難だといいながら巨額な血税をドブに捨て、いまも捨て続けているのです。「人為的CO2脅威論」は、どうみても裸の王様-それを暴ききった著者渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 温暖化については、今まで比較的単純にマスコミや講演会でのCO2有害論を信じていましたが、ロンドンでイギリス議会の科学アドバイザーをしている信頼できる人から、現在の温暖化論には嘘も多くていろいろ問題があるというコメントを聞き、企業寄りでない人でそういう考え方の人もいるのかとびっくりしたことがありました。
    最近Webで再び温暖化懐疑論の記事を読み、知り合いからこの本のことを聞いたことで、これはぜひ一度読んでみたいと思い、購入しました。
    読んでみると、実際にIPCCのデータやマスコミの取り上げる温暖化危険論には信用できない点が数多あることが、バックデータをもとに具体的に論じられており、それに非常に説得力が感じられたことにびっくり。この作者の取り上げたデータの方の信頼性の検証の方法もないので、作者の主張を鵜呑みにするのもまた問題なのでしょうが、少なくとも現在の湯水のように金を使う政策としての「温暖化対策」には問題があることは、十分に納得できました。
    IPCC報告書の提言に盲目的に従おうとするのではなく、真の意味で環境的にバランスのとれた、持続可能な社会システムのあり方や、達成すべきゴールについては、もう一度ゼロベースで深く考え、議論してコンセンサスを得るようにしなくてはいけないということなのでしょう。ものすごく勉強になりました。

  • 地球温暖化問題−CO2脅威論をめぐる騒動に終止符を打つのに充分な説得力を備えた必読書。
    それにしても巨大な利権が一旦生まれると、その修正は途方もなく難しい。
    ことは環境問題に限らない。

  •  
    ── 渡辺 正《「地球温暖化」神話 ~ 終わりの始まり 20120309 丸善出版》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4621085174
      
    ── 渡辺 正《「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ 20180624 丸善出版》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/462130304X
     
    …… 日本は、2006年度から国・地方・民間を合わせて20兆円以上も
    「温暖化対策」に使ってきましたが、CO2の排出が減った形跡はまっ
    たありません。財政難だといいながら巨額な血税をドブに捨て、いまも
    捨て続けているのです。「人為的CO2脅威論」は、どうみても裸の王様、
    それを暴ききった著者渾身の一冊。
     
     Watanabe, Tadashi   1948‥‥ 鳥取 /東京大学生産技術研究所 副所長
    https://booklog.jp/author/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E6%AD%A3
     
    ♀Greta Ernman Thunberg 20030103 Sweden /20190925 国連演説
    https://twilog.org/awalibrary/search?word=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%BF&ao=a
    …… スウェーデンの少女グレタの国連演説で日本政府が動く。
     
    …… この動画に関連付けられていた YouTube アカウントが停止された
    ため、この動画は再生できません。── 地球温暖化の真相とは(1/5)
    https://www.youtube.com/watch?v=FWSizFSkI_s(20071227 9:58)
     
    (20210903)
     

  • 「不都合な真実」と同じ書棚にあって、ちらっと読んだら地球温暖化論の反論みたいだったので一緒に。

    「不都合な真実」が主張する、人為的なCO2の増加が地球温暖化の原因である(からCO2の排出を抑えなければならない)という論は
    (1)大気中のCO2は主に人間が増やしている
    (2)そのCO2が地球を暖めている
    (3)暖まると悪いことがいろいろ起きる
    が前提であり、これらが一つでも崩れれば成立しない、という著者の主張はまったくそのとおりだと思う。なので、これらが正しくないという証拠が示されるのだと思って読み進めたが、どうも釈然としない。
    例えば(1)だが、人間の生産活動の活発化によって近年CO2の排出量が急激に増えている点については著者も異論はないようだ。大気中のCO2濃度が右肩上がりである点についても認めている。ということなら普通は人為CO2の増加→大気中CO2の増加と結びつけそうなものだが、著者はそうではないという。根拠の一つは、産業革命以前からじわじわとCO2濃度が上がってきたというグラフ。なるほど。でもそれ以外の根拠は何度読んでも見当たらない。人為CO2以外で大気中のCO2濃度が上がる理由もはっきりとしない。これ本書のキモだと思うのだが。

    こういう本を読むたびに思うのだが、主張の異なる同士でちゃんとディベートしてほしい。異なる主張もちゃんと取り上げて、反論してほしいし、反論への反論も聞きたい。口喧嘩が聞きたいわけではない。科学的な論争を聞いて評価したいのだ。ちなみに「不都合な真実」と本書を読んだあとでネットを検索してみたら、反論も、反論への反論もそれなりに見つけることができた。言いたいことを言っているだけでは説得力は半減する。

    なお著者はれっきとした科学者みたいだが、本書は皮肉と悪口が多くて結構辟易した。環境論者が嫌いなのは著者の勝手だが、嫌いだから反論しているんじゃないか、バイアスがかかっているんじゃないかと邪推したくなる。アル・ゴアが金持ちである事実は、アル・ゴアが科学的に間違っているという主張の根拠にはならないと思うんだけど。こういうのを説得力として認めるというのなら、温暖化を煽り立てて税金を無駄使いする(と著者が主張する)連中とやり口は同じじゃないの?

    CO2が作物の収量を増やすという研究は初めて知った。

  • 地球温暖化のCO2犯人説を完全に否定した最も説得力のある本。温暖化は進んでいるとしても、ごくわずかな昇温であり、人為的CO2の影響はあってもごく少ない。IPCCは地上の都合のいい記録ばかりに着目しているが、衛星が観測した気温ではそこまでの昇温は見られない。地球温暖化対策に使われたのは日本だけでも6年間で20兆円、CO2の減った形跡は全く見られない。大切な血税をドブに捨てたも同然である。
    CO2濃度は400ppmに近づいてきているが、狭い会議室などは呼気であっという間に1000ppmを超えるので、人体に悪影響は全くない。呼気は40000ppmものCO2を含む。植物の先祖は現代の2〜6倍もCO2濃度の高い中で2〜3億年も適応していたので、いまのCO2濃度は低すぎるくらいである。濃度が高いほど生育が良くなるので、CO2が増えれば食糧も緑も増えるし、実際に緑化は進んでいる。
    サンゴの白化も海水温の上昇が理由とされているが、1998年の20世紀最大のエルニーニョ現象での白化以来、大規模な白化は一切起きていない。CO2が海水を酸化させてサンゴを殺すという説もあるが、CO2濃度が高い場所や時期にもサンゴは生きていたので、信憑性は低い。
    カナダの女性ジャーナリスト、フランボワーズが2011年10月に「世界トップの気候学者を装う不良少年」というIPCCの正体を暴く本を出した。IPCCの報告書では、20代で学位もない学生が代表執筆者を務めていた。選考理由は非開示で、業績もない途上国の人間が多く、世界トップの研究者はほとんど見られない。パチャウリ議長は査読つき論文だけを精選、評価しているというが、第4次報告書の全体の3割を越す5587点までがあやしい文献だった。環境団体のただのレポートや新聞・雑誌記事、修士論文や博士論文が目白押しだった。
    グリーピース本部やWWFはIPCCと深くつなかっている。温暖化対策を叫べば叫ぶほど、寄付や会費が増える。まさにマッチポンプ、錬金術だ。
    パチャウリはIPCCがFCCCに奉仕する組織だと発言している。FCCCとは国連の気候変動枠組み条約で、人為的CO2温暖化を事実と見なして、締約国会議COPで各国政府に排出削減を迫る政治組織である。業務は国連の官僚が仕切り、自分たちの予算と権限を拡大するためにIPCCの成果を利用してきた。IPCCはFCCCの仕事に役立つ材料をそろえる下働きの組織だといえる。つまり、IPCCに集う科学者は排出削減協定づくりを果たしたい国連官僚に仕える下僕として、リクルートされたことになる。
    IPCCはアメリカ、ドイツ、イギリス、日本などわずかな国々の拠出金で運営されている。アメリカの下院は2011年の2月に、IPCC拠出金の拒否提案を可決した。日本政府もやめるか大幅削減を考えるべきだ。
    いまCO2の52%を、多い順に中国、アメリカ、インド、ロシアの四カ国が出す。中国・ロシアは削減義務がなくアメリカは議定書から脱退したので、やる意味は全くなくなっている。日本は5位で全体の4%未満だから、議定書通りに削減しても気温低下はたった0.0005°Cである。2010年のCOP16で、日本は京都議定書の継続に強く反対し、翌年には離脱を宣言した。現在90%のCO2を排出し、人口の95%を占める国と地域が削減など考えていない。これでもまだ大規模な世界会議など開き続ける意味があるのか?
    排出権取引は金融界が飛びついたが、鳴り物入りで生まれたシカゴ取引所も、2010年暮れに閉鎖された。もう話題にもならない。
    2011年のCOP17ではパチャウリ議長がヒマラヤの氷河の減少を訴えたが、約54000箇所もある氷河のわずか10ヶ所を調べただけのお粗末な研究だった。当然減少しているところだけ選んで取り上げたのだろう。
    節電にはCO2削減効果はない。企業でも家庭でも、節電して浮いたお金を他に使うから、そこでエネルギーを使ってCO2を排出するからである。銀行に預けても他に貸し出してCO2を出す。本気で節電したいなら、お札をシュレッダーにかけるか燃やすしかない。要するに経済を縮小するしかないのだ。
    ハイブリッド車は製造に大量のエネルギーを使うため、何年も乗ってようやくCO2排出量がガソリン車と並ぶ。モーターは希少金属を使って作る。そんな製品がなぜ地球に優しいのか?
    ゴア元副大統領も本気でCO2を減らそうとなど全く考えていない。アメリカ国内三豪邸のひとつである彼の家の一ヶ月の電気代は世帯平均の一年分を超え、月によっては2年分だった。2006年にゴア邸が払った電力+ガス代は3万ドルにのぼる。日本の光熱費に直せば年500万円をゆうに越す。
    再生可能エネルギーも問題だらけだが、風車のバードストライクの被害は深刻だ。カリフォルニア州では200万平方kmの丘陵地に4500基もの風車が並ぶが、州が数億円を使って調べたところ、2008年の推計で2年間で8200羽がやられ、うちアメリカの国鳥白頭鷲を含む希少な猛禽類が3000羽以上にのぼったという。メガソーラーは8000基でようやく原発一基ぶんである。デンマークではいま約5500基が国内総発電量の20%を生み出している。だが再生可能エネルギーは不安定すぎて、20%もあると普通は社会が成り立たない。それができるのは国境を接した周辺国と送電網をつないで、不安定な電気を輸出しているからである。2004〜2008年には風力の電気は平均ほぼ半分を輸出した。風力発電は補助金を使っているので、日本よりも電気代が高い。
    ネバダ砂漠で石炭より安い自然エネルギー実現を目指したグーグル社は、わずか4年後にプロジェクトを断念した。
    酸性雨は環境省が1983年から酸性度を測ってきたが、雨のphは4.8程度で横ばいを続け、酸性化が進んだ湖沼はない。4.8というphは空気のSO2濃度を使う化学計算から出る値とピッタリ合う。SO2は現在、ほとんどが火山や生物活動などの天然由来なので、たぶん飛鳥時代も江戸時代も雨のphは4.8だった。酸性雨のせいで土から溶け出る金属イオンが木を枯らす、というのを確認するために一年以上欠けて実験をしたことがあるが、土の金属イオンはphを酢なみの3以下にしなければ出てこない。それほどの雨は降らないため、論文は一本も書けず無駄骨に終わった。いろいろな栽培実験の結果を見ると、ph3程度の水をやっても木は枯れない。酸が含む窒素や硫黄が肥料になって、ときにはむしろ成長が早まる。予防原則を誤用する人が多いが、1992年のリオ地球サミットが採択したアジェンダ21にある予防原則には、投資に見合う手段があるなら、という一句がある。ダイオキシンにも温暖化対策にも投資に見合わない大変なムダが費やされた。
    IPCCが脅す海面上昇は、30年間にせいぜい20cmだという。さざ波未満である。たとえ海面が上昇しても、30年後の人類は10兆円もかけずに対処できる。片側二車線が走るオランダの大堤防は全長32km、高さ7.3mもあるが、第一次と二次の大戦に挟まれたわずか5年間で建設された。今の土木技術は、当時と比べられないほど進んでいる。

  • 「地球温暖化」について疑問に思っているので、わが意を得たりと思える本。とはいえ、この本の内容を鵜呑みにしていいものなのかを検証する知識が無いけど……。

  • 「科学的に考えるというのはこういうこと」というのを、温暖化脅威論とそのCO2原因説を題材にして実演したような本。

    ・二酸化炭素は増えているのか?
    ・二酸化炭素が増えるのは本当に悪いことか?
    ・二酸化炭素は温暖化の原因か?
    ・地球は本当に温暖化しているのか?
    ・温暖化は悪いことか?
    ・二酸化炭素を減らすことに意味があるのか?

    「地球は本当に温暖化しているのか?」について、IPCCの報告書制作でデータ改ざんがあったことが、2009年に匿名によって公開されたメールデータで暴露され、クライメートゲート事件と呼ばれている。

    後半は、そのクライメートゲート事件で明かされた、科学と政治が共依存関係になった原因と犯罪的な事実を淡々と挙げ伝える内容。

    難しい数式や専門知識も必要でなく、義務教育までの理科の基礎と論理思考があればすらすら読めるので、環境問題やエネルギー問題に関心があるなら読んでおいたほうがいいと思う。

    残念なのは表紙がトンデモ本に見えてしまうこと。

  • 個人的にはCO2による気候変動の影響は現時点では良く分からないが正解だと思う。著者はIPCCのデーターの信頼性の無さを次々と証明する。CO2による温暖化を完全に否定しているわけではなく、都市化の影響や、太陽活動、海洋の活動を考えると影響はあっても小さく、対策にかけた費用が無駄になっていると言う主張である。
    やや極端な例えが多いのが気になるが、こういう説が有ることは理解しておくべきですね。それにしてもクライメートゲートがまだ続いてたとはしらなんだ。

    現実的には省エネ技術の開発は続けるべきだし、メーカーとしてはそれを商売のネタにするのは当然。但し、誰もがやるからと同じ方向に突っ走るのは危険だと思う。太陽電池や風力発電も良いけどどれだけの市場になるかちゃんと自分で考えるしかないやろうなあ。
    日本がどうしようと石炭と天然ガスが増えるのは間違いなく、原子力は微妙。石炭の排出物をきれいにするのと、どちらにせよ付き合わざるを得ない核廃棄物の中間処理などにもう少し温暖化対策の費用を回してもいいのかもしれない。

  • 地球温暖化の嘘を的確に証明している好著だ.大気の温室効果に占めるCO2の割合は2-3%でほとんどは水(水蒸気)であることから、このわずかな割合のCO2が増えても地球の温度は上昇しない.古くはDDT、ダイオキシン、環境ホルモン等、嘘にだまされきたのと同じ構図だ.莫大な税金を投入しても、ほとんど効果が出ない.マスコミがもっとこの事実を知らせるべきだ.

  • 地球温暖化詐欺がいかに日本の税金を無駄遣いしてきたか。
    他に使わなければならない分野がいくらでもあるだろうに。
    学生さんや若い人達はこの本を読んで科学に基づく正しい気象現象を認識してほしい。
    みんなが読めば税金の無駄遣いはなくなるぞ。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

渡辺 正(わたなべ・ただし)
1948年鳥取県生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。同大学教授を経て名誉教授。著書に『高校で教わりたかった化学』『「地球温暖化」狂騒曲」』、訳書に
『教養の化学』『フォン・ノイマンの生涯』『元素創造』ほか多数。

「2022年 『アインシュタイン回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡辺正の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×