ワルシャワ・ゲットー―捕囚1940‐42のノート

制作 : ジェイコブスローン 
  • みすず書房
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622072492

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  • ユダヤ人の本屋はもうない。店は閉じられ、本は持ち去られた。本屋街から救い出されたわずかな本あhゲットーの町角で売られている。現代著作家の最良の本が、かご一杯くらという売り方で扱われている。白金の本もちゃんとある。例えば、フォイヒトヴァンガー、ツヴァイク、カウツキー、レーニン、マルクス、ヴェルフェルなどの作品、徹底した反ヒトラーの著作さえおおっぴらに並べられている。外国語の本、特に英語の本、ペンギンブックスなどが非常に人気がある。誰も彼も、戦後の移住に備えて英語を一生懸命に勉強しているからだ。タルムードも売りに出されている。全く前代未聞なことである。このような書物はかつては神聖視され、家宝として代々受け継がれてきたものだ。こういうう書物をかごに放り込んで売りに出すのは冒涜行為で、ユダヤ人がどれほどまで堕ちてしまったかを最も端的に示していた 。ナポレオン関係の読書を楽しむ人がいる。いわゆる無敵の男たるこの独裁者がいかに輝きを失っていくか、いかに速やかに色あせていくのかを示しており、読者はナポレオン没落の始まりとなったモスクワ進撃と、その悲劇的なクライマックスの一部始終を楽しむ。歴史が再び繰り返して、冬の終わりが呪われた男の没落となることを期待している。トルストイの「戦争と平和」も人気があった。ユダヤ人あh現実には敵に復讐できないため、それを空想の中に、文学の中に求めている。ユダヤ人がかつての戦争を扱った本に夢中になり、そこに現在の戦争の悲劇的諸問題の解決を求めようとしている 。

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