- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079132
作品紹介・あらすじ
最初の詩集『われら新鮮な旅人』から50年。思潮社、晶文社、みすず書房他から刊行された詩集のすべてを全一巻に収める完成版。硬質な叙情詩人、カジュアルな生活詩人、深い哲学に裏打ちされた人生の達人としての成熟した詩人……詩集18冊、471篇の詩を通して私たちに見えてくるのは、オサダヒロシという詩人の生き方である。見る人、聞く人、そして読む人である詩人が生み出した唯一無二の言葉の世界が、堅牢にしてハンディな書物として現れた。
感想・レビュー・書評
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長田弘さんが晩年に出版した詩集。
今まで発表された作品の数々を1冊にまとめるとはなんて贅沢な…!
「幼い子は微笑む」「ベルリンの死者の丘で」「夕暮れのうつくしい季節」「花の名を教えてくれた人」など、印象的な詩を挙げようとしたらキリがありません。晩年の作品は“いつもの毎日”に幸福の一瞬を感じるような、身近で、優しい作品が多いように感じます。日常を過ごしていると狭くなりがちな視野を、明るい外の世界に向かせてくれる長田さんの温かみある視点が大好きでした。
あとがきにあたる『「結び」の言葉』は、詩を生業として、詩とともに生きてきた長田さんの集大成とも言える内容。この本が出版された翌月に永眠されたと思うと、また心に来るものがあります。
1編1編味わいながら、丁寧に読み進めようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全詩集。そうか、氏はもう逝ってしまわれたんだなと、改めて思いました。
烈しくて雄弁で…『深呼吸の必要』『詩の樹の下で』がお気に入りですが、エッセイだと思っていましたσ(^-^;)
河合隼雄さんとの対談集で、長田さんが止まらない感じで一方的に熱く語っておられるのが印象的でした。
言いたいこと全部言って人生を全うされたのかな、「まだまだ言い足りないよ!」という声が天国から聞こえてきそうです。
装丁も上品なみすず書房。
すでに長田弘さんの本は何冊か持っていますが、手元に置きたい1冊です。 -
自然を描く言葉がすばらしい。読むと目の前に穏やかで澄んだ情景が浮かぶ。「世界はうつくしいと」を読んで良かったので、はじめて詩集を買った。
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長田弘の全詩集というので知っている詩がいくつかあるかと確認しながら読んだが記憶に残っているものがなかった。
マスコミで話題になっていた詩を覚えていなかったのかもしれない。
驚くのは、樹木、食べ物、著名な芸術家についての詩が多いことであった。
卒論に引用できるかどうかの判断はつかない。 -
「ベルリンには本がない図書館がある!」ということを知って「ベルリン詩篇」を読み始め、結局ほぼ全部読んでしまった。
「目の前の日々の光景から思いがけない真髄を描き出す」という思いで書かれた数々の詩は哲学的でハッとさせられる言い回し多数。
コロナ禍に疲れた気分がほぐれたので、読み終わったあとの余韻を楽しむようにゆっくり読むことをお勧めします。 -
この詩集とともに過ごす時間は最高です。
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「深呼吸の必要」という詩集のあとがきがよいと聞いたのがきっかけ。
詩の初心者なので、理解しようとするよりも、豊富な作品数の中で覚えていたいと感じる言葉を探すつもりで読んだ。
「あとがき抄」の文章もおもしろく、精練された言葉に触れる良い機会になった。