長田弘全詩集

著者 :
  • みすず書房
4.08
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本棚登録 : 188
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622079132

作品紹介・あらすじ

最初の詩集『われら新鮮な旅人』から50年。思潮社、晶文社、みすず書房他から刊行された詩集のすべてを全一巻に収める完成版。硬質な叙情詩人、カジュアルな生活詩人、深い哲学に裏打ちされた人生の達人としての成熟した詩人……詩集18冊、471篇の詩を通して私たちに見えてくるのは、オサダヒロシという詩人の生き方である。見る人、聞く人、そして読む人である詩人が生み出した唯一無二の言葉の世界が、堅牢にしてハンディな書物として現れた。

感想・レビュー・書評

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  • 長田弘さんが晩年に出版した詩集。
    今まで発表された作品の数々を1冊にまとめるとはなんて贅沢な…!
    「幼い子は微笑む」「ベルリンの死者の丘で」「夕暮れのうつくしい季節」「花の名を教えてくれた人」など、印象的な詩を挙げようとしたらキリがありません。晩年の作品は“いつもの毎日”に幸福の一瞬を感じるような、身近で、優しい作品が多いように感じます。日常を過ごしていると狭くなりがちな視野を、明るい外の世界に向かせてくれる長田さんの温かみある視点が大好きでした。

    あとがきにあたる『「結び」の言葉』は、詩を生業として、詩とともに生きてきた長田さんの集大成とも言える内容。この本が出版された翌月に永眠されたと思うと、また心に来るものがあります。
    1編1編味わいながら、丁寧に読み進めようと思います。

  • 平易な語彙で語られるけれども、とても深く、新しいものの見方を教えてくれる本でした。

    詩は、難解に思うことが多いというか、共感しにくいものだという印象がありました。

    しかし、長田さんの詩はいい意味で、詩ではないような気軽さがあってありがたいです。

    世界は一冊の本であって、
    本を読むように世界から直に世界を読む、という発想はとても素晴らしいと思います。

    ともすると、本からの知識を高尚なものとしてしまいがちですが、現実的な世界や生活からの学びを見つめようと思わせてくれる本です。

    記号的な人生から、現実的な人生への転換。

    とてもおすすめです。

  • 全詩集。そうか、氏はもう逝ってしまわれたんだなと、改めて思いました。
    烈しくて雄弁で…『深呼吸の必要』『詩の樹の下で』がお気に入りですが、エッセイだと思っていましたσ(^-^;)
    河合隼雄さんとの対談集で、長田さんが止まらない感じで一方的に熱く語っておられるのが印象的でした。
    言いたいこと全部言って人生を全うされたのかな、「まだまだ言い足りないよ!」という声が天国から聞こえてきそうです。
    装丁も上品なみすず書房。
    すでに長田弘さんの本は何冊か持っていますが、手元に置きたい1冊です。

  • 自然を描く言葉がすばらしい。読むと目の前に穏やかで澄んだ情景が浮かぶ。「世界はうつくしいと」を読んで良かったので、はじめて詩集を買った。

  • 何気ない日々の暮らしの中にある喜びや幸せ、季節の美しさを掬い取って詩とした作品集。

    世界の街角への眼差しも忘れない。

    食卓一期一会、時代や社会を世界の郷土料理のレシピに読み込んだ面白いレシピ集。

    階段・・・伊香保のことかしら。
    ルクセンブルクのコーヒー茶碗・・・この本を手に取るきっかけとなった詩。

  • 食べ物がでてくる詩集、を教えていただきまして(ありがとうございます!)文庫があるようだけれど図書館には全詩集の中にあったのでこちらを。

    食べ物たちの単語にほっこりしながら、寂しさや戦争のこと、孤独だったりと混ぜ込まれていて。レシピと思えば人生も入ってくる。舞台が日本だったり異国だったりの土地どちで繰り成す詩の中の人の「生きる」を食べ物のなまえと共にたらふく読めるすばらしい章でした!(章、と書いてしまうけれど、一冊の本だったら詩集、って書きたい。)

    今回手に取ったのが全詩集だったので、他の章も読んでみたけれど、「深呼吸の必要」もよかったな。深呼吸が必要だな、というぎゅっと詰まった(わざとかな)詩というかお話というか、途中からは新聞の1コーナーにありそうな小さなエッセイのようにも思えるし、長田弘さんの作り出した詩の中の人が思ったことかもしれないし。
    わあ、ほら、わからなくなってくる。けどそれでいいんだろうな。

  • 長田弘の全詩集というので知っている詩がいくつかあるかと確認しながら読んだが記憶に残っているものがなかった。
     マスコミで話題になっていた詩を覚えていなかったのかもしれない。
     驚くのは、樹木、食べ物、著名な芸術家についての詩が多いことであった。
     卒論に引用できるかどうかの判断はつかない。

  • 「ベルリンには本がない図書館がある!」ということを知って「ベルリン詩篇」を読み始め、結局ほぼ全部読んでしまった。

    「目の前の日々の光景から思いがけない真髄を描き出す」という思いで書かれた数々の詩は哲学的でハッとさせられる言い回し多数。

    コロナ禍に疲れた気分がほぐれたので、読み終わったあとの余韻を楽しむようにゆっくり読むことをお勧めします。

  • この詩集とともに過ごす時間は最高です。

  • 「深呼吸の必要」という詩集のあとがきがよいと聞いたのがきっかけ。

    詩の初心者なので、理解しようとするよりも、豊富な作品数の中で覚えていたいと感じる言葉を探すつもりで読んだ。
    「あとがき抄」の文章もおもしろく、精練された言葉に触れる良い機会になった。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長田弘の作品

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