アンネ・フランクはひとりじゃなかった――アムステルダムの小さな広場 1933-1945

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622090908

作品紹介・あらすじ

潜伏するまでのアンネには、家の前の広場で親友たちや隣人と紡ぐ濃密な8年間があった。ユダヤ人の多い地域だ。しかし1942年、事態は激変する。警察の奇襲で拘束されたり、忽然と隠れ家に消えたり、外国へ脱出したり――彼らはその後どうなったのか。広場で展開された生活、迫害、密告、抵抗が、元住民へのインタビューや資料から再現される。大きな歴史を反映した、小さなコミュニティの物語。

感想・レビュー・書評

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    アンネ・フランクはひとりじゃなかった | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/09090/

  • 東2法経図・6F開架:316.8A/V61a//K

  • アンネ・フランクはひとりじゃなかった、その通りの本だった。世界的ベストセラーとなった『アンネの日記』の背景になる、実際の風景がここにあった。周りの人々の生活、想いが年毎に史実に基づいて描かれていた。いい意味で、アンネたちフランク家が主題になっていないこのストーリーこそ、ホンモノの史実なんだろうな。

    p.365 しかし、「アンネフランクの家」の本当の場所はどこだろうか。もしアンネたちの隠れ家生活がそのまま無事に継続し、終戦と解放の時を迎えることがあったならば、その時、日の光を浴びてアンネが真っ先に向かったのは、あの懐かしいメルウェーデ広場だったのではないか。仲間と友情を取り結び、肩を組んで写真に納まり、恋も喧嘩も含めて思い出のぎゅっと詰まったの広場、しかし一言も声をかけずに、友人達と別れたことが悔いとして残る、あのメルウェーデ広場の37番地の家こそ、自分の還るべき家、「アンネフランクの家」だったのではないか。そして彼女は広場で友人たちとの再会を心から喜び、その溢れる嬉しさを格子縞の日記帳に書き綴ったのではないか。長かった翻訳作業がようやく終わりを迎えた今、そんな広場の情景が、考えるともなしに浮かんでくる。しかし、アンネの生きて帰りたいと言う願いは、ついに叶えられる事はなかった。メルウェーデ広場には、今日も子供たちの声がこだましている。

  • 1942年7月28日からアムステルダムで自転車の供出がはじまると報じられると、怒りと憤激はさらに高まった。自転車はほおとんどの人にとってもっとも重要な移動手段だったから。特別な許可を受けた者のみが自転車を使い続けることを許された。犬の供出の時と同様、アムステルダム市長には自分の自転車を手放すことを望まない市民たちの手紙が殺到した。すでにその1週間前にはアムステルダムのユダヤ人たちが自転車を供出させられていた。

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著者プロフィール

(Rian Verhoeven)
アムステルダム自由大学で歴史学を専攻。アンネ・フランク・ハウスや第二次世界大戦関係の組織に20年以上勤務し、アンネ・フランク、第二次大戦関連の研究をおこなう。著書、Anne Frank beyond the Diary(共著)は、ALA Notable Book、A YALSA Best Book for Young Adultsなどに選定される。2003年以来、本書の舞台であるメルウェーデ広場に住む。

「2022年 『アンネ・フランクはひとりじゃなかった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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