ガリレオの中指――科学的研究とポリティクスが衝突するとき

  • みすず書房
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本棚登録 : 69
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622095323

作品紹介・あらすじ

インターセックス、トランスジェンダーや性行動の科学、人類学など、社会的イデオロギーに影響する科学的研究をめぐっては、過激な論争や批判がある。宗教裁判にかけられたガリレオさながら、論争のすえ「有罪」となる研究者は少なくない。だが、その「判決」は正当なのか? 著者は、様々な研究者への事実無根の告発を暴き、インターセックスの人びとへの根拠のない医療慣行に挑む。患者の保護と、学問の自由とを求めた真実のルポ。

感想・レビュー・書評

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  • 「科学はお断り。私たちは人類学者だ」by アリス・ドレガー - 道徳的動物日記(2016-03-05)
    https://davitrice.hatenadiary.jp/entry/2016/03/05/142308

    Alice Dreger – Writer | Historian | Journalist
    https://alicedreger.com

    ガリレオの中指 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/09532/

  • 政治的に正しいとされている、ポリティカル・コレクトなことをいうことが正義であるような世界に疑問を感じている人におすすめの一冊だ。
    著者のアリス・ドレガーは科学史・医学史を専門とする歴史学者であり、インターセックスの権利の確立を求める活動家でもある。本書では、事実にもとづかない告発に脅かされる研究者や、科学的証拠に基づかない医療の不利益を被る患者のために、守られるべきことについて考察している。ポリティカル・コレクトでない研究結果だとしても我々はそれに目を瞑ってはならない。あらゆる科学的主張の評価軸はただ一つ、それが真実である程度だ。このことを我々に教えてくれる素晴らしい一冊だ。

    印象に残ったところメモ。
    ・自分が正義の側にいて悪と戦っていると思っている時には、ふつうなら疲れて戦えなくなる限界を超えても、戦い続けられる。しかし、ボーも私も、悪と戦っているのではないのがわかるようになっていた。私たちが相手にしているのは、善意の、でも近視眼的なー長期的な視点から証拠を見れば見えるはずのものが見えていないー人たちだった。
    ・正義を望むなら、真実を見つけ出さねばならない。そして真実を見つけ出そうとするなら、正義を願う以上のことをしなければならないのだ。
    ・「あなたに対峙している人々は必ずしも悪い人たちではないし、あなたの行為が必ずしもよいとは限らない。」

  • 東2法経図・6F開架:407A/D91g//K

  • 『ガリレオの中指――科学的研究とポリティクスが衝突するとき』
    原題:Galileo's Middle Finger: Heretics, Activists, and One Scholar’s Search for Justice (Penguin Press)
    著者:Alice Dreger 科学史・医学史
    訳者:鈴木 光太郎
    出版社:みすず書房
    判型:四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
    頁数:432頁
    定価:5,500円 (本体:5,000円)
    ISBN:978-4-622-09532-3
    Cコード:C0036
    発行日:2022年9月16日

     ドレガーは、アメリカにおける学術研究や医療を取り巻く事実と証拠の軽視、ひいては学問の自由の危機に警鐘を鳴らす。
     インターセックスへの医療的介入、トランスジェンダーや性行動に関する科学的研究、人間の本性に関する人類学的考察といったテーマは、アイデンティティやイデオロギーの観点から物議をかもしやすい。論争の果てに、悪とみなされた研究者たちは、地位を追われることさえある。その姿は、宗教裁判で有罪とされたガリレオさながらである。しかし果たして、そうした「有罪判決」は事実にもとづいていたのだろうか? 必ずしもそうではない、とドレガーは述べる。
     事実にもとづかない告発に脅かされる研究者や、科学的証拠にもとづかない医療の不利益を被る患者のために、なにが守られるべきなのか。真実を希求した一人の研究者による、渾身のルポルタージュ。日本語版刊行に寄せた著者による序文も収録。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/09532/

    【目次】
    はじめに 日本語版に寄せて

    序章 私のお守り
    第一章 奇妙な見かけ
    第二章 ウサギの穴に迷い込む
    第三章 複雑に絡み合う糸
    第四章 「ショー・ミー」の州にて
    第五章 学会内部の腐敗
    第六章 闇の奥へ
    第七章 危険なビジネス
    第八章 保護なき被験者
    第九章 歴史は繰り返される?
    終章 真実、正義、そしてアメリカ流
    エピローグ ポストカード
    あとがき なぜノースウエスタン大学を去ったのか?

    謝辞
    原注

  • 私のようなものに(おそらく出版社から)いただいてしまいました。ありがとうございますありがとうございます。思ってたより分厚い。訳は安心と信用の鈴木光太郎先生。えらい。

    内容はいろいろ示唆に止む。DX療法の話は原書Kindleでもってたけど読んでなかった。個別の話がどれくらい信頼できるものかはわからんし、ちょっとドレガー先生流に偏ってるかもしれないとは思うけど、やはり重要。よい時期に翻訳が出たと思う。

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