- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623091171
作品紹介・あらすじ
幕末維新――。それまでの価値観が根底から崩れ去った激動の時代は、多くの英傑、風雲児を生み出した。功成り名を遂げた英傑たちは、しかし、果たして私たちの人生の範たりうるのだろうか。大変革の立役者となった彼らは、そもそも何を信じ、何を求めて、時代を生き抜いていったのか。サクセスストーリー史観とは一線を画す視点から、己の道を追求し、日々自己省察を重ねた英傑たちの生きざまに迫る。
感想・レビュー・書評
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幕末維新期に活躍し、その生き方や思想が後世に影響を与えた英傑たち。しかしその偉大な思想も、目まぐるしい時代の変化と民衆の勢いにのみこまれていきます。改めて、日本の大変革の時であったと感じさせられます。
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これぞ紀伝体の魅力。読者の幕末維新期の知識を総整理するに最適の一冊。
幕末維新の英傑たち。司馬遼太郎の小説だったり日本史の教科書だったり、多分日本史に興味ある方の大多数は戦国時代かこの幕末維新期が主たるターゲットだろう。個々の読者が持つ歴史に名を遺した偉人たち、それぞれが果たした役割を本書から再確認することができる。
個人的には幕末維新のいくつかの謎。
一つ、あれだけ尊皇攘夷を謳いながら樹立された新政府の開国政策はスムーズに行われたか。
一つ、あれだけ強固だった徳川幕府が九二議会したか。
一つ、明治新政府に起用された旧幕臣たち。保守的な幕府でなぜ実力のある幕吏が育成されていたか。
そんな疑問が本書を読み一つにつながったように思う。
お寺の鐘には多くのイボと一つのヘソがあるという。撞木がうまくヘソを捉えると全てのヘソが共鳴し鐘が響くという。本書は正にヘソのような作品。
本書に取り上げられた人物は順に以下のとおり。
佐藤一斎、徳川斉昭、井伊直弼、伴林光平、吉田松陰、アーネスト・サトウ、横井小楠、佐久間象山、西郷隆盛、島津斉彬、西周、タウンゼント・ハリス、勝海舟、山縣有朋。
佐藤一斎や西周、維新の思想的な背景に迫る姿勢がこの人選からお分かりいただけるだろう。
平易な語り口、斬新な視点。幕末維新のマニアには間違いなく楽しめる一冊であろう。
本書は月刊「武道」というややマニアックな雑誌に今も連載中のエッセイという。ぜひ続編を期待したい。 -
エピソードメインのよくある幕末有名人列伝と違って、当時の思想や実情を踏まえながら、個々人に対して著者なりのテーマを投じた評伝になっており、至極単調なタイトル以上の内容だった。身分制度が確立された幕藩体制において、1950年代からにわかに、下剋上と言えるような行為や、テロを含む過激な行動が頻発した背景には、「尊王攘夷」という錦の御旗があった。必然このイデオロギーを整えた水戸の英傑達が、本書の初めに紹介される。この”正当な理由”が無ければ、数々のテロや政治活動は先鋭化したかどうか分からず、改めてスローガンの威力を感じた。しかもそこに拘り続けた人たちは、すぐ時代遅れになる運命が待っている(広義の攘夷は国家目標で有り続けたものの)。歴史に影響を及ぼす、言葉が持つ力について考えさせられた一冊になった。
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東2法経図・6F開架:281A/Ka57b//K