単独行者 アラインゲンガー 新・加藤文太郎伝 下 (ヤマケイ文庫)

著者 :
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 71
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047548

作品紹介・あらすじ

「山から山へ」生活のすべてを投げうって、独特の単独行スタイルを築き上げた加藤文太郎。薬師岳から烏帽子岳、槍ヶ岳から笠ヶ岳往復など、冬季登山草創期の常識を塗り替える驚異的な冬季単独縦走を次々と成し遂げ、昭和十一年一月、運命の槍ヶ岳・北鎌尾根に挑む。残されたわずかな資料を超えて、加藤文太郎の真実に迫る完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 2016/6/29購入
    2016/9/11読了

  • 孤高の人との対比が面白い。
    そこで描かれていた加藤文太郎より、より人間臭いというか・・・山に関する実績はやはり物凄いのだろうが、よく考えたらダメだろう、この人、的な。
    人の事は言えない所は多々ありますが・・・。

    本人著の単独行も読んでみたいものです。

  • 新田次郎の孤高の人を読んでから読みました。結果的にはその方が良かったと思う。
    加藤文太郎のパートナーの人物像が大分違ったから、読む順番が逆だとこんなに感動というか、鳥肌は立たなかった。もう最強タッグじゃんって思っていていつまでも心に残った。

  • 2015/4/22 Amazonより届く。
    2016/12/14〜12/26

    新田次郎の「孤高の人」とは一味違う加藤文太郎像。迫力のある登山描写に圧倒される。私自身は冬山経験は無く、行ってみたい気はするが、こういうのを読むと、生半可な気持ちで挑むのは無謀だろうな。今後、何度も読み返す小説になるだろう。

  • 谷甲州が満をじして書き上げた加藤文太郎を題材にした山岳小説。
    新田次郎の『孤高の人』は余りにも有名だけどそれとは違う切り口で書かれている。

    山岳描写は谷らしく臨場感に溢れる。

    登山をする立場からすると、夜間の行動は今一つ賛同出来ない。本書で書かれてるように自分でも経験をした上で、判断してみようかなと。

  • 新田次郎の「孤高の人」に出てくる加藤文太郎よりかなり駄目人間として描かれる加藤文太郎が良い。

    勿論登山家としてのスキル実績はすごいのだけど(岩場が苦手とかあるけど)、人付き合いは徹底的に苦手で相手に誤解ばかり与えている、その上でカッコつけでメンツを気にするタイプ、親が危篤でも山優先、有給は使い切って会社の上司に睨まれる…

    読んでいてなんだか滑稽だし、自分に似ているなぁと思うところもあったりして(孤高の人でに描かれる文太郎は超人的すぎて似ているとか思うとこなかったな)、シンパシー感じながらグイグイ読まされた。

    厳冬期のアルプスなんて俺には一生縁がないだろう山なんだけど、加藤文太郎の足元の蟻的なへっぽこ中年登山家見習いであっても、単独行を選ぶ気持ち、なのに人恋しさにジリジリする気持ち、なんとなく分かるのである。

    山でなくても、例えば酒を呑む事でもそう。一人酒だとそう悪酔いすることなくスッキリ楽しく酒に向き合える、だからこれからは一人酒だけを楽しんで行こうと思った瞬間、大勢で賑やかに呑む宴会にどうしようもなく惹かれたりする。そしてそういう場に呑みに行って場を乱して居づらい思いをしたりする。

    …俺は酒場の加藤文太郎か!

    文庫本下巻のあとがきにかかれた「孤高の人」のオマージュとしてしかけられたラストシーン…なんとなくあそこかなぁ。でももう一度「孤高の人」ざっと読み返して確認してみようかなぁ。

    ムッサ山に行きたくなってきた。とりあえず高取山(笑

  • 余りにも情熱的で、頑なであり続ける加藤文太郎の山に賭けた生涯を力強い筆致で描き切った傑作山岳小説。単独行の是非について悩みながらも加藤文太郎は普通の生活も、肉親をも捨てて厳冬期の過酷な登山にのめり込んでいく。

    その姿は余りにも真摯であり、何かに追われるようでもあり、夢に向かうというよりも、死に急いでいるかのように思えた。

    とにかく凄い山岳小説。読めば解る。

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著者プロフィール

1951年兵庫県生まれ。青年海外協力隊などを経て作家デビュー。SF小説、冒険小説、山岳小説など広い分野で高い評価を得ている。96年「白き嶺の男」で第15回新田次郎文学賞を受賞。主な著作に「航空宇宙軍史」シリーズ、「覇者の戦塵」シリーズ、『白き嶺の男』などがある。

「2019年 『硫黄島航空戦線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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