ドキュメント 単独行遭難 (ヤマケイ文庫)

著者 :
  • 山と渓谷社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635048293

作品紹介・あらすじ

人はさまざまな理由からひとりで山に向かう。しかし、単独行遭難における死亡・行方不明率は二人以上のパーティの事故の二倍以上という高い割合である。最悪の結果を招く遭難事故の多くは単独行者によるものだということは間違いない。本書は七件の遭難事例から、単独行のリスクを探り、防止策とセルフレスキューの可能性を検証する。実例から学ぶことで、遭難防止、安全登山を呼びかけ、大きな反響を呼んだシリーズの文庫版。

感想・レビュー・書評

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  • 遭難者の3人に1人、死者・行方不明者の半数以上。救助関係者の悲鳴「単独行はやめて欲しい」。残された家族には現実的な重荷も背負わせる。失踪宣言には7年、その間の税金は?社会保障は?7つの事例は読者としても重い責任を感じさせる。そこから何を学ぶのか。登山者個人が経験を活かすだけでは限界がある。もっとインフラ面でな対策が必要ではないか。見逃される登山届ポストであってはならない。GPSや通信インフラはもっと活かされなければいけない。大自然の中、守られていないことへのロマンはその程度で失うものではない。

  • ためにしかならないシリーズ。ポストモーテム読んでるみたい

  • 単独で山登って遭難した本人からの記録である。滑落が多い。YouTubeの解説も同じものがある。これを自分の体験と比較してみると自分も危ないことがあったと改めて自覚させられる。こうした本がもっと宣伝されるべきであり、山に行く人は読むべきであると考えられる。

  • 「ドキュメント」というタイトルの通り、単独行遭難の事例を詳細に聞き取り、文章化したもの。脚色がないだけに、こわい。何も知らずに、十分な装備さえ持たずに山に入ることの愚かさ、否、きちんと装備していてもこうなるのだという危うさを肌身に迫ったものとして感じる。両神山の致死的な事例は、大きなミスをしたわけではないだけに、特におそろしい。また徳元峠での事例は、遭難者の鑑のように思えた。こうありたいものだ。あと最後の尾瀬のラッセルの事例は、あの心身ともにやられそうな状況で「時間だけが足りない」と思えるこの人はアッパレだな、と思った。

  • 羽根田治氏のドキュメントシリーズを読むのは「道迷い遭難」に続き2冊目だが、相変わらず"怖い"。
    標高1000mにも満たない近所の低山とはいえ、気軽に単独でホイホイ出掛けていく自身を顧みても、「あれ?」と踏み跡を見失ったこともあれば、滑落までいかずとも岩につまづいてコケて捻挫、など多々あるから、まったく他人事じゃない。
    改めての確認になるが、よく知っている山域に日帰りで入る時でも、最低1泊はビヴァークできる装備と覚悟は持っておかなければ。

  • 遭難シリーズはこれで3冊目です。
    遭難するパターンは大体同じで、道迷いからの沢に降りての滑落…みたいな…。
    それでも助かる人とそうでない人とありまして、その差は何なんだろうとまた考えさせられました。
    もちろん準備も大切なんだろうけど、やっぱり運…なのかなぁ…。
    相変わらず怪我の描写が生々しく読んでてドキドキします。

  • 当事者達が危機に陥った場面ではヒヤヒヤし、助かった場面では目がうるうるした。徳本峠の遭難者のように冷静に行動したいと思う。

  • 遭難して死にかけた経験を持つ人たちが、その後も趣味で登山を続けているのを知って不思議に思いました。
    君子危うきに近寄らず、要は山登りを避ければ事故は防げるわけですが、それを続ける愛好家たちは解放感や達成感がたまらない麻薬のような作用をしているのでしょうか?
    警視庁の統計では2009年から2000人超えの総遭難者数(単独行含む)となり、その中で死者や行方不明者総数は300人前後、そして単独行遭難者が700~800人前後で推移し、死者や行方不明者数は160人前後ですので、単独行の危険性はやはりパーティより高いと言えるようです。
    とはいえ、今回の事故のようにザイルでつながれていた場合は、みんな犠牲になるわけで・・

    7人滑落「二つに分かれ行動」 全員ザイルで…と矛盾?
    4/4(水) 朝日新聞
     長野県の八ケ岳連峰・阿弥陀岳(2805メートル)の山頂付近で関西地方の男女7人が滑落し、3人が死亡、4人が重軽傷を負った事故で、7人が所属する山岳会の代表が負傷者から当時の状況を聞き取り、加盟する大阪府山岳連盟に「(7人は)二つのパーティーに分かれて行動していた」と報告していたことが、連盟への取材で分かった。
     事故は3月25日午前、阿弥陀岳の南稜(なんりょう)付近で発生。
    7人は標高2600メートル付近の尾根から沢を300メートルにわたり滑落したとみられ、県警が当時の状況を調べている。
     事故後、搬送先の病院は、負傷者の1人から「7人全員がザイル(登山用ロープ)でつながっていた」と説明を受けたと発表していたが、連盟によると、山岳会の代表からメールで「(7人は)2本のロープで、二つのパーティーに分かれて行動していた」という趣旨の報告があったという。

    助かった人の状況が分からないので何とも言えませんが、7人全員が滑落したのならそれはザイルでつながれていたとみるべきでしょう。
    負傷者の言葉を信じるか、事前報告を信じるか、それはもちろん現場の生の声でしょう。
    報告は2本のロープという予定だったが、現場で1本につなげたとみれば矛盾でもなんでもありませんよね。
    そもそも、生存者がウソをいう動機がないし、その言葉に疑問を挟む神経もよくわからないが、捏造記事や扇動記事の多い朝日新聞だったら・・この見出しも納得。

    大きく脱線しましたが、道に迷うという事態は単独行が不利、滑落はパーティが不利ということだけはいえそうですね。

  • 心当たりがあることばかりで震える。

  • 2017/5/7購入
    2018/2/11読了

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著者プロフィール

1961年埼玉県生まれ。ノンフィクションライター。長野県山岳遭難防止アドバイザー。山岳遭難や登山技術の記事を、山岳雑誌「山と溪谷」「岳人」などで発表する一方、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続けている。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。

「2023年 『山のリスクとどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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