- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635140065
感想・レビュー・書評
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道迷いによる遭難から生還した7つの事例。
それぞれに地図の不携帯、軽い装備、山行計画書の不備などの問題点があるのだが、本書では特に判断ミスをする心理に焦点があてられている。
それは、望ましくない事実から目を背けてしまう気持ち。「道が違うかも」とか、「ここは登り返すべき」とか「今日中の下山は無理」とか、本当はわかっているのにやみくもに下ってしまう。
私も引き返すべきところで決断できなかった経験があって、身につまされた。
ところで、2つの事例で下の方に赤い屋根の小屋が見えたという。彼らはそれで「この道で行ける!」と誤認、山深く入り込んでしまった。
これを読んでゾッとした。私も去年、赤い屋根の小屋を見たからだ。道こそ迷っていなかったが、麓までの距離を錯覚。すぐ近くだと思ったのにいつまでたっても着かず、やっとたどり着いた麓の小屋は、茶色の屋根だった。ちなみに一行の大人は全員赤い屋根を見ている。「あの小屋は何だったんだろうね」などと話していたのだが…、
人を惑わす、赤い屋根の小屋の妖怪?まさかね…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さして面白くもないだろう的に読んでみたがひじょうに考えさせられる内容。事実を基に検証をしているので当然リアルだし引き込まれるしシチュエーションが頭に浮かんでくる。ものすごい速さで読了した。
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教訓はたくさんあった。経験して学ぶことが難しいことだから、事例を知っておくことは大切だと思う。
山に上る際の、鉄則のようなものの解説がもう少しあればありがたかったと思う。 -
収録された遭難ケースはすべて死者ゼロということで、同著者の「ドキュメント 気象遭難」に比べるとソフトな内容だが、
一歩間違えれば死亡してもおかしくないケースばかりで、本人から直接話を聞いていることもあって、こちらの方が真に迫っており興味深い。 -
羽根田治氏のドキュメント遭難シリーズ。道迷い遭難の7つの事例を収録。
遭難した時どのような心理だったか、追い詰められるとどのような思考になるか、分かりやすく書かれている。
遭難事例で共通しているのは、道を間違えたことに気づいても引き返していない点。
迷った時の鉄則は、
●歩いてきた道を引き返す
●沢に降りて行かない。稜線を目指し上に登る
7つのうちの1つは、中高年パーティの大量遭難。しかしこれは遭難ではなく、危険回避のためビバークしたのを遭難事件とマスコミが騒いだ話だった。
家族などにいつまでに帰らなければ警察に連絡するか、あらかじめ決めて伝えておく際に、期限をいつまですればよいのか考えさせられた。
ビバークの可能性を考え余裕を持たせる必要がある。しかし、その余裕が命取りになることもある。
登山をする人には読んで欲しい本。 -
山行で道に迷ったことによる遭難の事例集。
「おかしいなと思ったら引き返せ」「道に迷ったら沢を下るな」が鉄則、単にこれを守ればいい簡単なこと。しかし思考が麻痺しパニックになり、どうしても楽な方に流され、道なき道を下り、滝や崖や藪に阻まれ、深みにはまり、どうしようもなくなり、足を滑らせ、、、
とにかく鉄則を守ることを肝に銘じる。
事例は7件;
- 単独行で沢の下降
- 雪山で猛吹雪を避けて迷い凍傷
- 体力不足からの道迷い
- 女性単独行が5月の残雪による道迷い
- 親子(父と女子高生)の遭難
- 高齢者30人パーティーの「下山遅れ」がマスコミ遭難へ
- 山に慣れた女性が迷って翌日に自力下山 -
多くの遭難例はとても勉強になった。