ドキュメント 滑落遭難

著者 :
  • 山と溪谷社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635140089

感想・レビュー・書評

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  • 北穂池

  • 著者のドキュメント遭難シリーズの中ではもっとも面白みに欠けた。
    その理由は、本書で扱う滑落遭難はアクシデントの要素が大きいために、心理面での経過を描く余地が少ないからと考える。

  • 「コルまで登り…」…へえ~(?)

    「ケガの痛みを忘れるほどの嫌なルンゼだったが…」…ほぉ~(??)

    「ワカンが邪魔になり滑落…」…ふ~ん(???)

    もう、わかっているものとして話は進んでいくから
    その都度調べるのよ。

    今回は滑落遭難特集。

    先日美容院に行って、
    シャンプーの担当の人に
    「今、山の遭難のルポいっぱい読んでる」とちょっと話したら、

    「え?山の遭難って全部雪崩に巻き込まれておこるんですよね?」
    と言われて吃驚、話はやめました。
    (みんなそれぞれにイメージ持ってるんだね)

    本にも書いてあるけれど、
    ちょっとつまずいたり、転んだりしても
    普通の道路だったら大したことないけれど、
    山だとそれが命に関わる、と言う事。

    また、滑落も道に迷った末、あせって足を踏み外し…と言う事も
    よくあるとのこと。

    滑落して、自分の力では上がれないところに落ちてしまうと、
    ヘリからも見えないことも多く、
    そのまま亡くなってしまう事も多いそう。

    また、家族などに行先を告げず、
    普段から急に出かけたり何日も帰ってこない人だったりすると、
    捜索願いを出すまでに時間がかかり、
    その為みつけられない、と言う事もあるそうです。

    落ちた時に怪我をしていたり、
    また崖が急斜面過ぎたりして自分の力では登れなくても、
    ビバークする準備があれば、
    救助が来るまで待てれば助かっただろうと言う事例もあった。

    一番すごかったのは、V字の谷間に落ちたけれど、
    丁度谷をふさぐように倒木があって
    その根っこにささるようにして下まで落ちず、
    助かった方。(根っこから見えているのは足先と左手のみだったそう)

    これは木が落ちると、
    滑落者も救助の人も一緒に落ちてしまうので
    大変な救出作業だったようだ。

    自分の命の危険も冒しながら
    一生懸命探して、助けてくれる山岳救助隊、山岳警備隊、
    また山小屋などの皆さん、通りすがりの登山者の活躍には感動だ。

    滑落の原因に装備の不備(アイゼン、ピッケルのないまま
    雪深いところへ行くなど)が多いにあげられるよう。

    またアクシデントの際の準備(救急道具、ビバーク用品その他)
    もおろそかにしてはいけない。

    日帰り登山でもなんでも
    山へ行く人はみんな、ちゃんとしてください!
    (私は家でお留守番)

  • 滑落の実体験が記載されている。

  • 山に行くなら、読んどかないとね。行かないけど。

  • 雪上での滑落、道迷いの果ての滑落など、さまざまな滑落事故の事例を取り上げている。
    道迷い遭難がどれもどことなく似ているのに比べ、滑落遭難は経緯も遭難者の技術も多様。つまり、誰にでも起こりうるということだ。よって、それを視野に入れたリスクマネジメントが必要になってくる。登山計画書の提出、下山報告の徹底、ツェルトやファーストエイドキットなどの装備…ごく当たり前のこんなことが、文字通り生死を分ける。
    滑落…いやな響きだ。なんだか冷水を浴びせられたようだ。でも、まさにそのために読んだのだ。ちゃんと準備して、山岳保険にも入ってから登るんだ。

  • 「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」に続く、羽根田さんの本2冊目。非日常の世界である山で起こりうることに対して、自分の身だけでなく周りの人の身も気遣えるようになる(それが自分を守ることにもつながる)ためには、一にも二にも想像力なんだと改めて思う。

    辛い経験をした関係者にライターの真摯な思いが伝わった時、そこで語られる事故のありさまがどれだけ尊いものか。巻末では個人情報保護法によってその機会が「あらかじめ」摘み取られてしまったことが嘆かれている。考えたくないことではあるけど、もし自分が不幸にして遭難しそして幸運にも生還できたら、何らかの形でその体験を還していきたい、と思った。

  • 遭難ドキュメントシリーズのひとつ。山岳遭難で多いのは、発端が道迷い遭難で、そこから滑落遭難につながるケースらしい。よって、合わせ技(?)パターンが多く滑落のみが遭難の原因、と断定できない事例が多い中、最終的には滑落が原因で遭難に至ったであろう7件の事故を分かりやすい文章で紹介、穏やかながらも鋭い表現で「何がどう危険であったか」「今後どうすべきか」を示唆してくれる。

    ここで紹介されている山はどれも、富士山とか北穂高岳とか、ガイドブックでも良く目にする「メジャーな山」で、だからこそ、「事故は危険な場所ではなく何でもないところでこそ起こる」というセオリーがズシリと心に響く。実際、滑落が起こった場所は、気をつけていれば何でもない場所であることが多く、登山者の油断が滑落に結びついていることがほとんどだ。

    というか、当たり前だけど、滑落したら怪我を負う可能性が非常に高いわけで、山中で怪我を負ったら移動が困難になることも当然なわけで、加えて滑落した先が周囲を崖や背の高い木に囲まれた孤立無援な場所だった場合、それはもう単なる事故ではなくそのまま生死の問題へと瞬時に変わってしまう。この事実が、一寸先は闇というか死と背中合わせというか、かなり怖い現実だと思うのだが、登山に慣れた人ほどそこを忘れがちなんだな。だから、家族にも行き先を告げず登山届けも提出せず、単独で山に入って滑落して身動きが取れなくなり、そのまま死に至るというケースが生じたりしてしまうのだろう。本書の中の、赤城山・黒檜山で滑落遭難した事例が正にそれだ。日帰りで雪山を往復する予定が、独りで一般コース外の道をを下ろうとしたために枯れた滝から滑落事故に遭い、疲労と怪我で疲れた体のまま雪山でビバーク、低体温症で凍死。この話も、一般コースを歩いてさえいれば難なく往復して帰宅していたろうに、大丈夫だろう、という慢心から他の道を下ろうとし、結果、運命がくるりとひっくり返ってそのまま亡くなっている。怖い。

    まぁ、知識として知っていることと実際にそれを応用できるかは別問題だから、「分かってはいるんだけど…」っていうパターンなのかもしれないけどね。でも、登山てもう異界への旅というか神の領域への挑戦というか、とにかく非日常へ足を踏み入れる行為なわけだから、準備や心構えにやりすぎるってことはないでしょう。私はまだそこまで本格的な登山に関わってはいないから、あくまでバイブルとして「なるほどー」って読んでいたけど、もし今後もっと山の世界に関わることになったら、今感じているこの「怖い感じ」を忘れずに臨みたいと思う。

  • 山は怖い。 一瞬で地獄になる可能性があることを再認識。
    これを読んで、山に行こう!

  • 滑落遭難者の視点で書いたかと思うと、次は目撃救助者視点で書いたりと、変化に富んでいて、不謹慎な言い方かもしれないが、読み物として面白く書かれている。 前作の道迷い遭難と同じ流れで、道迷いから沢に下り滑落、というパタンが多く出てくる。また、登山計画書の大事さも強調。アマチュア無線についても、奨励する方向か。

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著者プロフィール

1961年埼玉県生まれ。ノンフィクションライター。長野県山岳遭難防止アドバイザー。山岳遭難や登山技術の記事を、山岳雑誌「山と溪谷」「岳人」などで発表する一方、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続けている。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。

「2023年 『山のリスクとどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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