流れを読む心理学史: 世界と日本の心理学 (有斐閣アルマ)

  • 有斐閣
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641121959

作品紹介・あらすじ

心理学の成立から現代の心理学まで、心理学の大きな流れをコンパクトにまとめあげた入門テキスト。心理学史の方法論や日本の心理学史を含めた意欲的な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 心理学の歴史については概論書の中の章としては読んだことがありました。ただ、心理学史の本はほとんど読んだことがありません。『方法としての心理学史|サトウタツヤ』くらいです。
    
    DigRoomの第4回からGergen, K. J.の一連の著作を読んでみようとなり、それらの著作の心理学上での位置づけをとらえるために基礎知識として心理学史をおさえておこうとなりました。そのために本書を読みました。
    
    本書は近代心理学が成立した19世紀を出発点に、それ以降の心理学の動きを紹介しています。「何年に何が起きた」のような年表的な紹介ではなく、出来事同士のつながり(たとえば、出来事Aが出来事Bの発端で、のような)を意識して記されています。そのため、2章で記された出来事が3章でも記される、のように、出来事同士の複層的なつながりが見えてきます。
    
    また、心理学史に関する教科書・概論書ではありがちな、ギリシャまで遡って心理学の成り立ちを説明しているのではなく、19世紀を起点とすることによって、コンパクトでありながら、現代の心理学とのつながりがわかる密度の濃い内容になっています。
    
    前半(2章まで)は高砂先生のパート、後半はサトウタツヤ先生のパートです。高砂先生は「心理学史の講義の多くが学部の3、4年生以上を対象としていることを前提としているため」(おわりに、p.203)とあるように、心理学を学んだ中級者向けに本書を書いているように思います。ですので、ところどころ理解/解釈するのが難しい記述があります。一方、サトウタツヤ先生は心理学史の研究に携わる人が増えることを意図している部分もあるように思います。そのため、初学者にもわかるように、また、心理学史の研究がどのようなものかをわかるように書いているのかなと思います。
    
    心理学史のテキストは多くないなか、手軽に、しかし、内容をしっかりとおさえられるという点に本書の特筆した点があると思います。
    
    なお、本書の編集は櫻井氏(現ちとせプレス代表)が有斐閣時代に担当したものです。

  • 1100円購入2018-06-23

  • 心理学の歴史について、書かれた本書。読むのは二度目である。

    心理史の大まかなトピックを、まぁ一応丁寧語か、という形だけの丁寧さで、零細とも、適当とも取れぬ内容を語る。

    しかし、それが分かりやすさにも繋がっているのであって、そういう分かりやすい心理史の本も世にそうないのだから、勉強するには外せない。

    何度か読めば、その口語のような語りの隙間から新たな知識も得られよう。★四つ。これはまぁ、目に付く文章が多いが故の減点で、内容はまず満点である。

    隙間の学問たる心理学の、他学問との関連については確かに気薄だが、それは他書に当たるとして、新書にしては内容は非常に良いと思う。

  • 数少ない心理学史研究の気鋭のお二人。放送大で講義を聴いた。歴史研究の心得から説かれていて学生向きには親切なもの。しかしこの分野の研究は相当骨だろう。社会学より周囲からの出入りが多い。多くの流派が乱立するばかりで、哲学と科学の交差点という最重要課題が置き去りにされているように思う。じっくり腰を据えて、周囲に惑わされrず行きましょう。

  • 西洋の心理学史とともに日本の心理学史がまとめられているのが特徴的な本書。
    しっかりと体系的にまとめられている感じはなく、読んでいて今どの時代のことについて
    言及されているのかということが分かりにくかった。
    また、専門用語もほとんど解説がないので、知識の少ない実験心理学や
    精神物理学の節は意味が分かりにくく、あまり頭に入ってこなかった。
    しかし、どこも内容は基本的なことしか書いておらず、知識が深まるということもなかった。
    もう少し初期の心理学に関する知識を蓄えてから読み直せば
    ここで書かれている心理学史をもう少し分かりやすくとらえなおすことができるかもしれない。
    心理学の発展と社会との関連ということで、初期の心理学は教育と法の現場から
    人間の精神の客観的検討を求められていたという記述が、今の心理学が
    どうしてこのような形になったのかということを考えるうえで役立った。

  • まさに心理学史です。
    心理学者たちの細かい研究には一切目も触れず、全体のザックリとした流れを説明しています。そのため無味乾燥とも言え、面白い本だとは言えません。有斐閣アルマから出ている社会学史は、すごい面白かったので買ってみたのですが、ちょっと残念な感じです。

  • 参照元:
    ゲシュタルト心理学 - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6

    頻繁に出てくるゲシュタルト心理学を手っ取り早く学ぶ。

  • Amazonにもレビューなしか...
    予想外に無名だな...
    (最近やっと一件ついた)

    「です、ます」体を用い、個々の用語に簡潔な定義的な説明をつけ、それと次の用語とのつながりを必要最小限の説明でつないでいくというスタイルです。

    「です、ます」体のせいか、読みやすそうな感じはしますが、説明がコンパクトなので、実際には意外と読みにくいです。

    特徴としては、時代背景や同時代の他の学問分野の状況、その時期の心理学の状況(研究雑誌の出版状況・学会事情など)などに深く目を配っていることでしょう。

    批評家的な視点から心理学を見ている感じがします。

    読むと心理学史の知識の幅は広がると思いますが、(試験など・研究などの際に)使えるかどうかというと甚だしく疑問ではあります。
    必須文献かと言うと、多分そうではないでしょうね。

  • 流れは読めるが、流れすぎて頭に入らない。内容がまとまりすぎていることが原因と思われ。もっと余分なエピソードなどを入れてくれれば良かったです。それはそれで英雄史観みたいな問題になるのかもしれませんが…個性的な著者らしく、特に知能検査などについては主張がはっきり。

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著者プロフィール

立命館大学総合心理学部教授・学部長

「2023年 『カタログTEA(複線径路等至性アプローチ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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