消費者行動論--マーケティングとブランド構築への応用 (有斐閣アルマ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641124639

作品紹介・あらすじ

消費者情報処理アプローチを軸に、様々な段階での消費者の選択に着目しながら多様な消費者行動を整理するための基本理論を解説。さらに、消費者行動論をマーケティング戦略、ブランド戦略に活かすための枠組みも提示する。

感想・レビュー・書評

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  • ・ マーケティングの目的は、セリングを不必要にすることである(ドラッカー)
    ・ 集団行動とは、集団の構成員間の関係や役割分担などを含めて、集団としての振る舞い方に焦点を当てた分析レベルである。たとえば、家族という分析単位を考え、その中での役割分担や共同意思決定のプロセスに焦点を当てた分析などが、このレベルでの分析例である
    ・ 購買行動を、このような意思決定プロセスとしてとらえた場合、大きくは購買前活動、購買時活動、購買後活動という3つのフェーズ、さらに、その中を①問題認識、②情報探索、③代替案評価、④選択・購買⑤購買後評価という5つの段階に区分するのが一般的である
    ・ 過去の購買や消費経験は、記憶内に知識という形で蓄積されて次回以降の購買に影響を与える
    ・ 未充足ニーズによって緊張状態が生じ、それが引き金となって、ニーズの充足や緊張状態の緩和につながる行動が生起する。その際、行動の駆動力となる内的状態を、動機ないし、動因と呼ぶ
    ・ ネスレのインスタントコーヒーのリサーチ事例:インスタントコーヒーは怠け者・手抜き→その時間を利用して家族との会話をできることを価値にすることで、インスタントコーヒーを市場に定着させた
    ・ 態度とは、人が行う行動そのものではなく、ある対象(もの、人、場所、考えなど)に対して特定の方法で反応しようとする傾向性、ないしは、行動の準備状態のことである
    ・ 家族ライフサイクルによって、家計の状況・消費の特徴はかわってくる(独身→新婚→満杯の巣→空の巣→高齢単身)
    ・ 高齢化が進む中での「量から質へ」という変化、経験的価値が重視される中での「モノからコトへ」というか地位式の変化は今後も強まるものと考えられる。一方で、「家族の個人化」は自立・確率を前提とした「自分らしさ」の追求を押し進め、他方では新たなつながりや絆作りに価値をおく人々を増やしていくとも考えられる。また、人生80年時代を迎えての更なる長寿化の進展は、人々の生活上のリスク意識を高めていくだろう
    ・ 時間コストの増大は、時間節約型消費を促し、加工度の高い製品やサービスの購入割合を高めると考えられる。すなわち、加地活動の外部化という消費プロセスの変容と、その結果としての消費パターンの選択における変化である
    ・ 市場需要への影響 
    ① 代行サービス
    ② 時間節約型機器(短縮か、自動化、予約、遠隔)
    ③ 時間節約型小売り機関
    ④ 半加工品・使い捨て製品
    ⑤ 省時間型余暇活動:短期間旅行、都心のジムやアスレチック
    ・ CGM
    ① 経験を蓄積するもの(ブログやSNS)
    ② 質問や回答を蓄積するもの(Q&A型知識共有サイト)
    ③ 商品評価を蓄積するもの
    ・ ヒューリスティクス:勘弁法とも呼ばれるように、消費者に取ってはとても簡単で便利な方法。限られた処理能力を克服するために利用される1つの情報処理である。一度二数十アイテムの購買をしなくてはならないスーパーマーケットでの購買や、関与の低い製品カテゴリーにおける購買などではよく見られる
    ・ MAO
    Motivation:動機付け
    Ability:消費者の情報処理能力
    Opportunity:情報処理機会(コンテクスト)
    ・ 感情処理システム→認知的処理システム→生理的処理システム
    ・ 解消(情報)型動機→負の状態からの解消
    ・ 報酬(変換)型動機→正の状態への報酬
    ・ 消費者の目標には2つのタイプが考えられている。認知を基盤にとらえた結果志向の目標(特定の状態の実現やモノの獲得)と、感情を基盤にとらえたプロセス志向の目標(ある経験や体験というプロセスの消費)である
    ・ 手段—目的連鎖モデル:価値(自分のあり方)>結果(恩恵)>属性(商品にひもづく)
    ・ 究極的価値>手段的価値>心理社会的結果>機能的結果>抽象的属性>具体的属性
    ・ 究極的価値>手段的価値>心理社会的結果:自己知識
    ・ 機能的結果>抽象的属性>具体的属性:製品知識
    ・ 意思決定方略については、高関与な状態では、対象や状況への関わりが強くなるため、伸長で繊細な情報処理型の方略が取られる。低関与な状態では、その関わり度合いが弱くなるために、かなり大胆なヒューリスティックによる簡略型の方略が用いられるようになる。
    ・ マーケターの理想的なブランド像であるブランド・アイデンティティは、消費者の精緻か能力のあり方により、多様なブランド・イメージに変換されてしまう可能性がある
    ・ 人間が一度に処理できる情報の量はたかだか7±2個である。
    ・ 少ない選択肢から広げていくと、「決まる」感じになり、負荷が少ない。多い選択肢から始まると「決める」感じになり負荷が高い
    ・ 内部探索>ブランドの再生・属性の再生・評価の再生・経験の再生
    ・ 内部探索を通じて再生される解決手段やその方法としての選択肢群(想起集合)と、内部探索の不完全さを補う形で行われる外部探索により収集される選択肢群(対面集合)が、結果として、その購買において考慮に値する選択肢グンとなる考慮集合を形成するのである
    ・ 属性を具体から抽象の水準でとらえると、具体的水準には客観的・物理的な特性的属性があり、抽象的水準には主観的な実体のないシンボリック属性があり、その中間的な位置に便益的属性が考えられる。具体の方がずれはすくない。
    ・ 関与度が高い→中心的情報に注意がいく、関与度が低い→周辺的情報に左右される
    ・ 高関与なもの→選択を最適化、低関与なもの→最低条件を満たすもので選択を単純化
    ・ 購買寺の情報処理は、関与と知識と環境との関係によって動機付けと能力が定まり、それによって決まってくる情報処理のモードにあわせて、その姿を多様に変化させる。また、現実には市場からの制約を強く受けており、それは情報処理の進行とあわせて形成される考慮集合に反映されてくる。
    ・ 人間は、自分自身が矛盾のない存在でありたいとする傾向を持っており、心の中に矛盾を抱えた状態に陥ったならば、どうにかしてその矛盾という不快感を解消しようとする
    ・ 記憶ベースの意思決定(ヒューリスティックが発生しやすい) 刺激ベースの意思決定 ターゲット像の参考になりそう
    ・ マーケティングとは、むやみな価格の切り下げや出来上がった製品を無理に押し込んで売り切る技術ではなく、消費者に受け入れられるような製品を開発し、それが消費者に受け入れられるように訴求することまで含みうる企業行動である
    ・ プッシュ戦略は顧客の意思決定を刺激ベースにするように周辺環境を変化し、外部情報探索をうながすこと
    ・ 店舗での情報探索は、低知識の特性を反映して、双方向性・個別性の高いコンタクトポイントを求めることとなる
    ・ 購買後は不協和削減のプロモーションが求められる
    ・ 低関与者の意思決定に効くのは①購買利便性(近い、遅くまでやってる、納期など) ②カテゴリ利便性(一度の買い物で複数買える)
    ・ インターネットは多くの選択肢を持つ代わりに、低関与者は対象の探索が困難になる。だから、消費者別の推奨機能は情報探索の努力を惜しむ消費者にきわめて大きなメリットをもたらす
    ・ 脱コモディティ化①機能的価値の強化 ②感性的価値の強化 ③サブカテゴリー創造(価値をピボットする)
    ・ 起点としてのブランド(どう見られたいのか)
    ・ ブランド認知=ブランド再生×ブランド再認
    ・ 高関与の消費者はブランド体験を自分で判断できるが、低関与の消費者は体験情報に曖昧さが残る。体験からの学習は事前のコンタクトポイントの影響をうけやすくなる。つまり、このような場合には、購買前や購買寺のコンタクトポイントにおいて、吹かしたいブランド連想の内容を積極的に訴求しておくことが有用となる

  • 関与-判断力マトリクスが結局のところ実用的なのだと。事例などに今ひとつ踏み込んだものがなく、理論と実践にやや乖離がある分野なのかなという印象。

  • 消費者行動における理論を説明してるけど、教科書的な側面が強いからか抽象的な部分も多く、400ページ弱のページ数の割に読了にはかなりの時間がかかる

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階開架 請求記号:675//A53

  • 675||Ao

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著者プロフィール

学習院大学教授

「2012年 『消費者行動論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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