産業政策のつくり方

著者 :
  • 有斐閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641164185

作品紹介・あらすじ

政策の質を高め、実行し、成果をきちんとあげるにはどうしたらよいのか。政策学習をキーワードに、著者自身がアジア、アフリカの各国を巡り、現地当事者たちとの対話を通じて蓄積した事例より、日本にも参考になる政策のつくり方のHOWを伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 政府が打ち出す政策がうまくいったりいかなかったりするのはなぜか。政策の質を高め、それを着実に実行し、めざす成果をあげるには、政府はどのような努力をすればよいのか。本書の目的は、産業戦略を対象に、「政策学習」をキーワードとして、これらの問いに実践的かつ具体的な答えを提供することにあるという。
    本書では、政策の中身(WHAT)ではなく、具体的な施策を戦略的に打ち出すための手順や組織(HOW)に着目している。本書で取り上げられるのは、アジアやアフリカなどのいわゆる途上国や新興国の事例が多いが、本書の内容自体は、我が国の政策についても参考にしうる普遍的なものであるという。
    そして、政策形成に成功している国に共通する政策のつくり方の基本的機能として、①国家指導者のビジョン、②コンセンサスの形成、③文書作成、④政府内外のステークホルダーの実質的な参加、⑤政策形成に明確な権限と責任を有する担当組織の指定、の5つを挙げている。

    多くの政策指南本が「どのような」政策をつくるべきかを問題にしているのに対して、本書は「どのように」政策をつくるべきかにフィーチャーしており、目の付け所がよいと感じた。
    本書でいろいろ指摘されている中でも、政策形成に様々なステークホルダーをまきこみ、コンセンサスを形成するということが非常に重要だと感じた。優秀な官僚が作ったどんなに素晴らしい中身の政策でも、実施段階でステークホルダーの協力がなければ、絵に描いた餅になってしまう。その点で、有能な官僚がいて、大学院講義でA+の評価がつけられるような非常にクオリティが高く精緻な政策パッケージを構築しているにもかかわらず、それに対する民間の反応が弱いために、高位中所得にとどまっているマレーシアの事例は示唆的で、印象深かった。

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著者プロフィール

政策研究大学院大学名誉教授

「2024年 『新・東アジアの開発経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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