- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642056588
作品紹介・あらすじ
慢性的な飢餓に直面し、生と死の狭間で生きていた室町人。そこに巨大飢饉が襲いかかったとき、人びとはどうしたのか。現代にも通じる飢餓と飽食の残酷な構造をえぐりだし、室町時代の実相を描く。中世社会の雑学も満載。
感想・レビュー・書評
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冷静に、文献から推論し、解釈を作り上げていく、社会学者の仕事が、素人でも面白く読めました。
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室町時代の大飢饉に焦点を当てて、当時の農民の生活や風俗について語られている。
農民たちはどのように考えて行動していたのかが少しわかるようになる。
金持ちが徳をため込んでいるから徳を放出させるために酒屋なんかを襲うというのは、現代では理解しづらい思考だけど当時としては筋の通った考えだというのは面白かった。
現代の思考で中世の出来事を理解しようとすると、中世の人々は意味わからないことをすると思ってしまうが、当時の人々も当時の論理的思考で動いていたんだな。 -
1420年の応永の大飢饉。約600年前、室町時代の京都周辺の大飢饉の状況を当時の文献から得られる情報をもとに再構築した異色の本。例えば「新米よりも古米のほうが取引価格が高のは古米の方が炊いた時に分量が増えるから」「飢饉で水不足になり別の集落に分水してもらう際に夜間だけ分けてもらうことを「夜水」と呼ぶ」「飢餓に襲われた大量の人々が京都に流入し餓死者が増えた結果、足の踏み場のないほどの死体が路上に溢れた」のような話が多い。室町時代という特異な時代を知るためには有益な本だけど誰もが楽しむかは疑問な本。
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SK11a
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日本の中世はまだまだ飢餓との闘い。大飢饉ともなれば、正にサバイバル。それでも民衆は、荘園領主への損免(=控除)要求やら、「有徳思想」という名のノブレス・オブリージュの強制やらで、結構たくましいのだ。
ともあれ、頰髯がご立派・足利義持の治世を中心に据えたのは、完全に著者の趣味だよね(笑)。
女子高の非常勤講師時代に執筆した前書を、女子高生達がお小遣いで買ってくれてた…ってあとがきが泣かせる。そう言えば、我が母校の世界史の先生も人気あったなあ。お元気かなあ。 -
2016年10月23日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「ヤバい」。
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大飢饉が起きてしまったシステムはまるで現代の貧困の連鎖のようだし、外夷への反応は現在の私達とそっくり。どこか賢くなっている部分があったかな。