霧の森となぞの声: こそあどの森の物語10 (こそあどの森の物語 10)
- 理論社 (2009年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652006733
作品紹介・あらすじ
「声…、だれの?」「だれだか、わかりません…」不思議な歌声が、こそあどの森をながれていく…。この森でもなければ、その森でもない。あの森でもなければ、どの森でもない。こそあどの森、こそあどの森。
感想・レビュー・書評
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森の中からかすかに歌が聞こえます。スキッパーは、その歌を探しているうちに、森の中の大きな穴に落ちてしまいます。ふたごと、子供達を探しにやって来た、大人達まで次々と穴の中へ…。
穴の中では、心を奪われるような音楽、歌が聞こえ、それぞれが幸せな夢の中に入ってしまい、動けなくなってしまいます。
一人正気の、トマトさんが、頑張って、皆を穴から引き上げます。
こそあどの森の物語は、どれも不思議な物語ですが、今回の物語は、特に、住人それぞれが歌に誘われて見たイメージの場面が、不思議に思いました。
スキッパーが見た火。トワイエさんは、「それはきっと、スキッパーのなかで、そう、かくれて燃えている火、なんでしょうね」といってくれました。
スキッパーは、自分のなかにかくれているなにかがあるなんて、考えてもみないことでした。
かくれているといえば、あのふしぎな場所のふしぎな音楽も、いつも見なれた森の奥にかくれていたのです。
ーーすると、今こうしてながめている森だって、木や草や土、岩のうしろに、べつの世界がかくれているかもしれない。
そう思う、スキッパーが、魅力的です。
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もうすっかり春、そう思っていたある日、冬に逆戻りの寒い風がふきだしました。作家の仕事に行き詰ったトワイエさんは散歩に出かけました。すると、森でスキッパーを見つけました。ぼんやりしているスキッパー。風の音の中から女の人の歌声が聞こえるというじゃありませんか。
シリーズももう10作目なんですね。しかも2009年に出ているなんて!まだまだ続きが出るんだと思うと嬉しくなりました。
今回も不思議なお話には違いないんだけど、ちょっとぞくっとするようなお話でした。いつもは冷静なスミレさんがやけに行動的です。今回はトワイエさんが中心になって頑張っていました。
抽象的で精神世界みたいな話なので、小学生にはあまり引っかからないんじゃないかなーなんて思いました。今の子達はこそあど自体読まないんですけどね。少なくとも私の周りの子は。でも、読み始めるとこの世界観に浸れる子はきっといるはずだと思い、地道にアピール頑張ってます。本を殺すのも私、生かすのも私。そう思っています。 -
こそあどの森の10巻目
ある日スキッパーが森で微かにうたが聞こえて辿っていくと穴に落ちてしまい...。
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みんな穴に落ちて、
戻れなくなってしまって、
本当にハラハラした。
トワイエさんは足くじいちゃうし。
トマトさんがヒーローに見えた! -
「美しいものは危険なのよ」
ースミレさん
ハラハラしたー!
大人たちが子どもたちを捜しに行く場面は、頼もしいって思ったが、大人たちもまた一人一人いなくなった時はページもまだ半分あるし、大丈夫かいな!?って不安になった。 -
独特のスタイルで挿絵が入って
その世界に入りこんでいける
このシリーズも10巻になるんですね。
低学年でも楽しめるし、おすすめです。
霧の中から、聞こえてくる音楽。
自分だったら何を見つけるだろう?
素に帰ったら、何が残るだろう? -
このシリーズは、思わず顔が緩んでしまうくらいお気に入り。
ムーミンとかもそうだけど、森とか谷とか村とかある種の閉ざされた空間で、個性豊かな住人達が不思議な出来事に遭遇しつつゆったりした日常を過ごしている話って、読んでてすごく安心する。
大冒険ってわけじゃない。
難しいことを描いているわけじゃないのに、心の深いところまで染み込んでいくと言おうか。
さて10巻。
不思議な音楽を聞いた時、皆の見たものがホントに皆それぞれで、そこが良いなと思うのだが、ポットさんの反応に一番胸を揺さぶられた。ほんのちょっとの切なさが。
それに対するトマトさんの対応が…短い一文なのに何でこんなにグッとくるんだろう。
上手く言葉に出来ない。でもいい。