エーメショートセレクション 壁抜け男 (世界ショートセレクション 13)
- 理論社 (2019年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652203354
作品紹介・あらすじ
幼少期の辛い体験や苦労を重ねた人生の影響が、色濃く現れているエーメ作品。社会の片隅でひっそりと生きる庶民に向けられる共感が、さらにはエーメならではの皮肉っぽい視線が加わった短編6篇を厳選して新訳でお届けする。
感想・レビュー・書評
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1902年生まれのフランス人作家、エーメの短編集。6篇収録。
私は知らなかったけど、「壁抜け男」という短編が劇団四季でも舞台化されていて有名みたい。パリのモンマルトルにエーメの名を冠した広場があるみたい。
どれも人間味あふれる庶民的な人たちが主人公で、著者とは生まれた時代も国も違うけれど、なぜか共感できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議な能力で道を踏み外してしまう中年男の話「壁抜け男」は有名だが、少年が空想の中で自由に使える「七里のブーツ」も良かった。
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フランスの小説家、劇作家マルセル・エーメの短編小説集。面白かった!
ヨーロッパ各地を旅したような気になれました。不思議な話の数々。教訓も見出せそうですが、説教くささはなく、いかんともしがたい貧富の差に切なくなりつつも、ほっとするラストを迎える話もあれば、あらあら調子に乗ると、そうなるよなぁ、と呆れる話も。ヨシタケシンスケさんのイラストがとても合っていて、さらに楽しく読めました。この世界ショートセレクションは13冊あり、他のも読んでみたいと思います。 -
星3.5にしたい。装丁とか、翻訳文体とか、ヨシタケさんの挿絵とかで、何というか「大人の児童書」って感じで読んだ。
『七里のブーツ』は、魔法のブーツというアイテムが出ながら、実際にそれが使われるのは最後の数行のみ。肝はそのアイテムを取り巻く子供達の感情。
アントワーヌ少年が退院して帰宅した時に、壁紙が張り替えてあるシーン。お母さんの気持ちも切ないけど、それに対して無性に居た堪れなくて涙が出るアントワーヌの気持ちが痛いほどわかる。
どの作品も不思議な能力や出来事は作品の補助的な存在で、主軸はそれとは別の所にあるのが面白い。
時間がある時に他の作品も読んでみたい。 -
フランスの摩訶不思議なエスプリ
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2020/10/28
壁抜け男もよかったですが、個人的には七里のブーツがもっとも心を打たれました。貧しい母子家庭で育った息子があまりに母親想いなのに、涙が禁じえませんでした。