オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子 (世界ショートセレクション 20)

  • 理論社
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本棚登録 : 81
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652204153

作品紹介・あらすじ

詩、戯曲、小説、童話…多岐にわたって名作を遺したオスカー・ワイルド。そのユニークな物語性のふくよかさが伝わる、魅力的な五編を厳選して新訳でお届けする。ユーモラスだったり切なかったり…作品ごとの味わいが深く残る。

感想・レビュー・書評

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  • 幸せな王子
    人間のエゴが不愉快、宝石を貰った人間たちも感謝しないし、権力者は表面しか見ていない。
    最後に神様に尊いものと讃えられているけど、現世ではひどい扱いで切ない。
    わがままな巨人
    ちょっと涙
    カンタヴィル家の幽霊

  • このシリーズ、とても良いので、図書館でみかけるたびに借りている。
    今回はオスカー・ワイルドで金原瑞人さんの訳。
    表題作以外ははじめて読んだものばかり。
    全五編。短編三つと中編二つ。

    幸せな王子→泣かせる。
    王子の自己献身とツバメの心。町の人の言葉が悲しいが、最後に救いがある。ツバメと王子のあいだはあまり気持ちの通じるところがなかったような。

    わがままな巨人→キリスト教ぽい。

    ナイチンゲールと薔薇の花→皮肉なラスト。

    カンタヴィル家の幽霊→アメリカ人への皮肉で笑いが止まらない。むしろ幽霊のほうが必死で、同情したくなる。固有名詞だらけで、その細かさに笑ってしまう。いいラスト。

    アーサー・サヴィル卿の犯罪→なんでそうなる?!とこれも笑いが止まらない。菊池寛にも、これに似た話があった気がする。(「恩を返す話」)



  • 〇子どものときに読んだことがある人にも。もう一度、オスカー・ワイルドに出会えると思う。

    「幸せな王子」
    その町には金ぱくで覆われ目や剣の柄に宝石をはめ込んだ立派な王子の像がありました
    ある日、一羽のツバメが訪れます
    〇大人になって読むとまた違う
     恋に恋していたツバメの愛と、心臓が割れるその瞬間まで自分のこともそばにいた大切なものにも目を向けていなかった王子
     物語では神さまに召し上げられてしまったけど、お互いのためにそばにいるといいなと思った

    「わがままな巨人」
    子どもたちを庭から追い払い、塀で庭を囲んだ巨人。他の場所には春が訪れ夏になって秋がやってきますが、巨人の庭はずっと冬のままでした
    〇こちらも子どもの頃大好きな絵本で読みました!
    巨人の庭が巨人の小さな子どもを助けたのであればよいな

    「ナイチンゲールとバラの花」
    “あの子が、赤いバラをもってくれば、躍ってあげるといってくれた”
    “しかし、うちの庭には赤いバラなんて咲いていない”
    学生のためにナイチンゲールは赤いバラを一輪探しに行きます
    〇男の子と女の子の幼い愛、燃えるような愛、埋葬されても朽ちることのない愛を歌いあげるナイチンゲール
    心臓を捧げられたバラの花に見合う愛はあるのかな

    「カンタヴィル家の幽霊」
    伝統あるイギリス:カンタヴィル家の幽霊屋敷にアメリカから元気溌剌な家族がやってきた
    幽霊VS オーティス一家
    〇コメディ…だけに終わらせないのがオスカークオリティ。
    少女の優しい愛情。

    「アーサー・サヴィル卿の犯罪人ー義務とは」
    確実に運勢を読む占い師に手相をみてもらった若い男性。
    大切な女性との幸福な未来のために“運命”という義務を果たさなければいけないのか
    〇真面目な冷徹さが少し怖い

  • 幸せな王子
    わがままな巨人
    ナイチンゲールとバラの花
    カンタヴィル家の幽霊
    アーサーサヴィル卿の犯罪

    切ないお話もあったし
    ユーモラスなお話もあった

  • 人間の醜い部分の解像度が高く鮮やかで、それに対する赦しや救いがいっそう引き立って眩しく感じた

  • 童話としてのリリカルな美しさに、いかにもイギリス的な毒がまぶされて、本当に読んでいて楽しい。収録された5編の内では、「カンタヴィル家の幽霊」と「ナイチンゲールとバラの花」が特に良かった。(「幸せな王子」は言うまでもない。)

  • 『幸せな王子』『わがままな巨人』『ナイチンゲールとバラの花』『カンタヴィル家の幽霊』『アーサー・サヴィル卿の犯罪』の五編。サファイアの眼をもつ王子を描いたヨシタケさんの表紙がなんてすばらしいのでしょう。読後に眺めるとますます美しく見えました。幽霊のエンターテナーとしての努力は昨今の芸人に見習ってほしいほど。いちいち笑っちゃった。巨人の話はラストでまぶたが熱くなりました。少年向けのシリーズの一冊ですが読み応えは、さすが名作名著の作家だと思わせ、深い感慨が残ります。

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著者プロフィール

1854年アイルランド・ダブリンに生まれる。19世記末の耽美主義文学の代表的存在。詩人・小説家・劇作家として多彩な文筆活動で名声を得る。講演の名手としても知られ、社交界の花形であった。小説に『ドリアン=グレーの肖像』戯曲に『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』回想記に『獄中記』などがある。1900年没。

「2022年 『オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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