- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750314976
作品紹介・あらすじ
ことばの問題について発言・要求する権利を言語エリートから非言語エリートが奪取しようとする言語生活史上かつてなかった稀有な現象と差別語糾弾運動。それを手がかりとして,言語がもつ多様な側面とりわけ意味論の領域へと読者をいざなう。
感想・レビュー・書評
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学生時代
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差別語を言語学の立場から考えるという視点は今までに思い
ついたことがなく、新鮮であったのでかなり期待して手に
取り、ほとんど一気に読んでしまった。今までの差別語の
考え方では望むべくもなかった大きな実りがこの視点の先に
あるような気はするのだが、この本はその論の入口の所で
終わっている。この先が読みたいのだがなぁ。 -
facebookで正保先生が紹介してをられたのを見てポチ。
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まあ面白いけど、もう少し踏み込んで、といふか例などもたくさん入れてもらひたかつた、かな。 -
本書は、差別語を糾弾したり、また、糾弾からうまく逃れるための戦術を議論するものではなく、差別語とよばれる現象からことばの本質や原理を探ることを目的としています。差別語糾弾運動が盛んになって以来、出版・放送各社は糾弾されることを避けるために、差別語を列挙したリストを重宝するようになりました。しかし、差別語の一覧表を作ってすむほど現実は単純ではありません。というのも、ことばは一定不変ではなく、常に新しく生み出され、変化していくという本質を持っているからです。差別語は日常の言語使用の中に新しく発見され、新たに作り出されていくということです。例えば、日本語の文法の一部である「カタ-」という接頭辞があります。これは「カタテ(片手)」「カタメ(片目)」のように他の要素と結びついて一つの表現を作ります。この「カタ-」には、本来二つではじめて一つになるもののうち一方が欠けている、という意味があるため、本来的に差別語的な解釈を持ちやすい文法形式といえます。「カタ-」は生産的に表現を生み出していくため、差別語の一覧表を作って対処できるようなものではないということがわかります。また、私たちが何気なく使用する略語も差別語になってしまう可能性があります。例えば、STという表現を聞いたとき、この略語が言語治療士を指すことを知らない人は、これを知っている集団から排除されてしまいます。次々と誕生する新たな略語が場合によっては差別語になってしまう可能性をひめているわけです。
絶えず変化していくことばの本質を、身近な例を中心に解き明かしていく本書は、ことばの専門家でなくても楽しめる言語学の入門書といえます。
(ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=987699 -
普段読まないジャンルだけに新鮮。差別につながる由来?が動物の屠殺がらみが多い気がしたのはなぜだろう。差別は家畜を肉にすることを生業にする人に対してされることが多かったのか?
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愛する田中克彦の作品。
やっぱり彼の文章は面白いし、なんといっても発想が素敵です。
あたしもあれくらい言語感覚が研ぎ澄まされたらいいなと思う。
あー、幸せ。