- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750352060
作品紹介・あらすじ
私は相手の肌の色など気にしない。人格で判断すべきと分かっているから―だがこうした差別の否認は、〈白人の心の脆さ〉と特権を示しているだけだ。マジョリティの誰もが人種差別主義を抱える根拠と対処法を明示し、米国で大反響を巻き起こしたベストセラー。
感想・レビュー・書評
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レイシズムについて、一貫して白人の問題として指摘しているのが、新しく感じた。個人的には、映画 幸せの隠れ場所、での描かれ方もまた白人至上主義の裏返しであるとの説明が成程なあと思い。面白い感動する映画だと思っていたので、自分もまた社会化されていたのだなと思った。
解説にもあったように、日本人としては、差別される側、する側という両方の側面があるのでまた、読みながら考える必要がある。 -
本書は「白人の心の弱さ」という著者の白人性研究の中で培われた概念をベースに、現代の人種差別の形を非常に明瞭に指摘する著作です。
人種の差が無いかのように振る舞い、「私はレイシストでは無い」と言うリベラルな人々はレイシズムという制度の中で社会化された自らを顧みることなく、レイシズムを無かったことにしてしまうという議論はレイシズムに限らず、女性差別、外国人差別、障害者差別、LGBT差別など全ての差別に通ずる議論です。
「私は一切差別をしない」と考えている人がいかに多く、それを指摘して話し合うことがいかに難しいかは日本にいても女性差別や障害者差別等の場で日々体験していることです。自分もまた差別的行為をしてしまうように社会化されていることを強く感じました。 -
●アメリカ合衆国は、すべての人間は平等に作られている、と言う理念の上に築かれた。それなのに、先住民の集団虐殺と、彼らの土地の窃盗を試みたとこから始まった。アメリカの富は、誘拐され奴隷きされたアフリカ人とその子孫の労働によって作られた。女性は1920年まで(黒人女性には1965年まで)選挙権は与えられなかった。
●ホワイトフラジリティ。白人の心の脆さ。困惑や不安によって誘発されるものだが、優越感と権利意識から生じたもの。いわゆる弱さではなく、人種上の支配と特権を守るための強力な手段なのだ。
●カラーブラインドというレイシズム。人種に気づかないふりをすれば、レイシズムなど存在しないと言うことになる。レイシズムを理解してそれに挑もうとするなら、まず人種間の差異を認めなければならない。黒人であることに気づかないふりをする事は、黒人の彼にとって何の助けにもならない。
●住んでいる地域の話をする。その裏には人種トークが潜んでいる。にも関わらず、そこに気づかないふりをする。
● 2016年の研究によれば、アンケートの答えた医学生と研修医の半数が、黒人は痛みを比較的感じないと信じていると答えている。
●レイシストは悪、無知、年寄り、南部
●レイシストでない=善、教養がある、若者、北部
つまり、良い人だからレイシストではないという勘違いがおこる。
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非常に耳の痛い話。でも自分の中でなんとなく違和感があった「俺わかっている」的な感覚を改めて戒めてもらえてすごくよかった。ここから進めなければいけない。
今のところ本年ベスト3に入る書籍。これは読んでよかった。
「わたしたちはなぜレイシズムに向き合えないのか」と白人に向けて書かれた本ではあるが、これを少し日本人の視点に変えて読んでみると、我々の中にもしっかりと様々な差別が潜んでいることがわかる。
・レイシズムは「個人主義」的視点で、簡単に解決できるような「個人」の問題ではなく、構造的に「社会化」されたものであることをまず受け止める必要があることを著者は訴える。
・そして日本でも姿形は違えど、様々な社会化されたこのような「差別」的なものは、どんなに学校や社会が綺麗ごとを並べても依然存在していることを突き付ける
-男女差別、学歴差別、職域差別、地域差別、欧米文化から知らないうちに吸収している「レイシズム」ももちろんetc-
・社会化された中で、このことを真摯に受け止めていくことはとても大変なこと。本書での例として「レイシズム」に対する「白人女性の涙」は全てではないにしろ、往々にして、ただの白人の脆さを表すだけだと厳しく一蹴する。
自分自身、国外も長く「レイシズム」も当たり前のように受けたこともあるので一定程度理解しているつもりであったけれども、これは本当に深く反省。自分が真に様々な「差別」に向き合うには全く違った心構えが必要なんだな。ということが改めて良く分かった。
ただ、これは本当に「覚悟」のいることで、社会化された「マジョリティ」の中で挑んでいく難しさというものを感じる次第ではある。 -
出版社HP: https://www.akashi.co.jp/book/b581162.html
監訳者・貴堂嘉之氏Twitter: https://twitter.com/ykido66 -
BLM運動が起こったのは2020年。アメリカの人種差別問題の根深さを思い知らせれた。レイシズムは国の成り立ちと供にあった。それは「制度」「構造」の中に組み込まれてしまっている。白人が何気なく発した言動。差別と指摘され、倒錯する。誰もが差別主義者とはみなされたくない。脆い心が解決を遠のかせる。・・日本に存在する多くの差別。背景の違い。単純比較はできない。批判に晒された後に抵抗したくなる気持ち。過度の攻撃は反動につながる。目的は差別をなくすことであり、人の糾弾ではない。学ぶべきところを誤ってはいけない。
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おーもしろかった!自分は差別しないし差別意識がない、なぜなら。。と挙げる理由が既に差別意識に基づいているし問題に向き合っていない、という主張。リベラルを明言している親が自分の娘の恋人がブラックと知ると半狂乱になる的な話はよくある。あと、差別の話はマジョリティ側の問題なのにいつも被差別側の話ばかりなのはなぜか、とか(「黒人の問題なんていうものはないのです。あるのは白人の問題だけです」)マジョリティ側個人に話を向け、深掘りすると100%取り乱し「自分は差別なんかしていない」と感情的に話を遮りそれ以上議論が進まない、とか。それはたとえば、交通事故の対応にきた警官が事故を起こしてしまった罪悪感でショックをうけ泣いている加害者の対応に追われて、瀕死の被害者を放置しているのと同じなのです、という。日本ならたとえば身体・精神障害者、出自による差別、父子母子家庭やホームレスとマジョリティとの対比に置き換えるといいかも
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大変面白かった。
解説者の解説にもあったが、この脆弱性というのはマジョリティとマイノリティとの関係において圧倒的に優位に立つマジョリティ側が持つ脆弱性であると思われる。そのため、アメリカにおける白人だけでなく、日本における日本人にももちろん当てはまるし、各国における主要民族となるマジョリティ側は全て当てはまるのではないだろうか。
逆に言えば、歴史的には支配層が被支配層に対して持っていた特権が、そのまま現代社会においても社会制度として残存しており、その特権について突っ込まれるとマジョリティの脆弱性が表面化するのかもしれない。
現代そして未来の日本において移民や混血などLGBTなどの多様性の問題は避けて通れない問題となるだろうが、本書で指摘されている脆弱性をしっかりと認識できないと、これからの国際社会についていけなくなるのではないだろうか。
それとも本当にもう一度鎖国でもするのだろうか。
著者プロフィール
ロビン・ディアンジェロの作品
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