「新自由主義」の妖怪――資本主義史論の試み

著者 :
  • 亜紀書房
3.60
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 102
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750515472

作品紹介・あらすじ

「新自由主義」という、摩訶不思議な怪物の正体とは?
――1匹の妖怪が世界を徘徊している、「新自由主義」という名の妖怪が

あるときはグローバル資本主義の先兵、またあるときは自由放任主義と格差拡大の犯人……だが、その実体は?

見るものによってその姿を変える「新自由主義」と呼ばれるイデオロギーの正体を、ケインズ経済学/新古典派経済学/マルクス主義経済学の歴史と、戦後日本の経済思想史を丁寧にひもときながら突き止める!

「私自身としては、「新自由主義(Neo Liberalism)」という言葉を使うことにためらいがありました。どういうことかというと、この言葉多分に実体がない――具体的にまとまったある理論とかイデオロギーとか、特定の政治的・道徳的立場を指す言葉というよりは、せいぜいある種の「気分」を指すもの、せいぜいのところ批判者が自分の気に入らないものにつける「レッテル」であって「ブロッケンのお化け」以上のものではないのではないか、という疑いがどうしても抜けなかったからです」(本書より)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東2法経図・6F開架 331.7A/I51s//K

  • 【メモ】
     マジックワードになっていた新自由主義を、経済学史・政治思想方面から深掘りした本。
     あと、副題にある「史論」に私のアンテナが反応した。

    【書誌情報】
    著者 稲葉振一郎
    装幀  水戸部功
    価格 2,400円(税別)
    発売日 2018年8月24日
    判型 四六判
    製本 並製
    頁数 368頁
    ISBN 978-4-7505-1547-2
    Cコード C0030
    http://www.akishobo.com/book/detail.html?id=865&st=4

    【簡易目次】
    目次 [002-007]
    はじめに [008-009]

    第1章 マルクス主義の亡霊 011
    1 「新自由主義」は社会主義前夜なのか? 014
    2 資本主義に「外部」は必要なのか? 023
    3 国家独占資本主義としての福祉国家の危機? 068

    第2章 ケインズ復興から見えるもう一つの経済史 077
    1 ケインズ主義とは何か 079
    2 発展段階論を超えて、経済史理解の転換へ 121

    第3章 「保守本流」思想としての産業社会論 161
    1 戦後保守主義と社会民主主義の屋台骨としての産業社会論 163
    2 村上泰亮の蹉跌 182
    3 産業社会論の衰退とその盲点 214
    4 保守主義思想の屋台骨の喪失と「新自由主義」の台頭 240

    第4章 冷戦崩壊後の世界秩序と「新自由主義」という妖怪 259
    1 冷戦崩壊後の世界秩序 261
    2 空白の中の「新自由主義」 292

    エピローグ 対立の地平の外に出る 327

    付論 現代日本の政策論議 344

    おわりに(2018年7月 稲葉振一郎 ) [352-353]
    参考文献 [354-361]


    【図表一覧】
    マルクスの唯物史観 024
    資本主義内部でのサブ発展段階移行 029
    ルクセンブルクの資本制と外部の図式 040
    日本資本主義論争の対立図式 052

    通貨体制の違いによる特性 083
    2つのケインジアン 102
    古い対立イメージ 104 
    ケインジアンと「新自由主義」内部での政策的立場の相違 107
    学派ごとの経済政策をと市場観のスペクトラム 116

    産業社会論の見取り図 177
    1970年代当時の「現代」資本主義理解 199
    『新中間大衆の時代』以降の産業社会論の図式 205
    村上『反古典の政治経済学』による国際経済秩序の変遷 209
    経済学と社会学のアプローチ 219
    産業社会論の見取り図 231

    途上国における開発研究のモデル 274
    国際金融のトリレンマ 278

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院経済研究科博士課程単位取得退学。岡山大学経済学部助教授を経て、現在、明治学院大学社会学部教授。 専門は、社会哲学。 著書に、『経済学という教養』(東洋経済新報社、増補版/ちくま文庫)、『「資本」論』(ちくま新書)、『「公共性」論』(NTT出版)、『社会学入門』(NHKブックス)『不平等との闘い』(文春新書)、『宇宙倫理学入門』(ナカニシヤ出版)、『政治の理論』(中公叢書)など多数。

「2018年 『「新自由主義」の妖怪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

稲葉振一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×