人類学とは何か

  • 亜紀書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750515953

作品紹介・あらすじ

他者と“ともに”学ぶこと——

他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。
人類学は、未来を切り拓くことができるのか。

現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルド。
世界の知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来。


世界が直面する未曾有の危機にどう立ち向かうべきか。

インゴルドの思想の核心にして最良の人類学入門。

感想・レビュー・書評

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  • 難しい。。
    解説にも書いてあるように意見があっちこっちに散らばっていて一貫性を持って読むのがなかなか困難
    また、本書全体を通して主張されている人のある面を切り出してみるのではなく一つのものとして捉えるという考え方もなんなく納得できる気はするものの理解は難しい

  • 『人類学とは何か』
    薄い本だがティム・インゴルドの思想を受け取れる重厚さがある。我々は他者との関わりの中で人間となるんだな。
    あと自分は世界を測ることのできる研究対象として考えていたんだなと感じる。どのように生きるかを他者とともに学び、人間の生を考えていきたい
    #読了 #君羅文庫

  • 人類学をとらえ直す試み。

  •  人類学を始め、人文科学、自然科学に一定の素養がないと、著者が、これまでの人類学の、どのような点に問題があると考えているのか、どうすべきと考えているのかについて、なかなか理解が難しいだろうと思う。
     
     著者は言うー私の定義では、人類学とは、世界に入っていき、人々とともにする哲学である。
     実に魅力的な言辞であり、著者は、それがどのようなものであるか、なぜそうした捉え方が必要とされるのかを、幅広く、深く考察していく。

     訳文のおかげもあるのだろうが、著者の論旨自体は明晰であるし、論点も明確に示して叙述されているのであるが、いかんせん、当方の読みがついて行けないのが残念。是非再チャレンジしてみたい。
     

  • 人類はどう生きるべきか?を人類学の問いとするというのが面白い。生を開いていく過程として捉えるのはフランス哲学と繋がるように思う。とりわけ、人種主義の問題を取り除くために、生物学的形質と文化的形質を相互に影響し合うものとして、新しい生物学と新しい人類学を打ち立てる箇所に進化論哲学的な可能性を感じた。

  • 日本語のタイトルを見て、人類学についてのわかりやすい入門書みたいなものを思い浮かべてはいけません。読み進めるに従って、インゴルドの文字通り「人類学とは何か」という深い思索に巻き込まれ取り込まれていく。
    インゴルド自身の人類学者としての経歴や人類学の歴史的な経緯を辿りながら「『人類』学とは何か?」を問う旅を続けて、終章第5章「未来に向けた人類学」へ。今後の人類学についての語りは熱かった。

    予備知識がなくて本文だけでは理解がまるで追いつかず、訳者の奥野先生の長い(30ページある)解説をさらに辿る。壮大すぎる。
    ということで、文化人類学をちょっとかじったくらいで人類学をわかった気になってごめんなさいというきもち。

  • 人類学の存在論的転回、その代表者の1人であると言われるティム・インゴルド。インゴルドの「私が思う人類学」を、人類学の歴史・個人史を辿りながら、詩的に紹介する。

    人類学とは、インゴルドにとって、世界中に生きる人々の知恵と経験を借りながら、「私たちはどのように生きるべきか?」という問いに取り組む学問である。

    そうするとその学問は必然的に、他者”について”知る学問ではなく、他者と”ともに”学ぶ学問になる。では、他者と”ともに”学ぶとはいかなるものなのか、いかにしてなしうるのか。

    私にとって刺激的なのは、他者と”ともに”学ぶことは、すなわち、他者”について”知ることでもある、という点である。

    我々は誰かについて知りたいと思ったとき、その人を観察することももちろんできるが、それだけでその人を知ることはできない。話したり、一緒に何かしたり、考えたり、そういった”ともにある”を通じて、その人”について”知るのである。

    ところで、存在論的転回は多様な思潮のゆるやかな総称であり、インゴルドの「転回」は「別様の存在論」として、「フィールドの現実を前に自前の知を反省的に問い返し(再帰性)、記述のために概念をつくり直し/生み出し(概念化)、あらたな現実のとらえ方や考え方を試す(実験)」(p.97)存在論的転回とは異なるとされているらしい(鈴木赳生、<書評論文>「存在論的転回」考)。しかし、少なくとも本書は、そういった存在論的転回と離れているとは思えなかった。インゴルドもそういった「転回」から影響を受けたのかもしれない。

  • 他者「を」学ぶのではなく、
    他者「と」学ぶ。

    分けられたものを統合する。
    偏見や常識と抗う。

    生そのものを観察して思索する。
    知識ではなく、思索が許されている。

  • 面白いと思うし、咀嚼できたらとても有益と思えるので星4つ。が、ところどころ「?」が頭の中に浮かんでしまう箇所がまだまた多いのも事実。インゴルドの他の本を読んでみてまた戻ってこようと思う。

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著者プロフィール

1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。
『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)などがある。

「2023年 『応答、しつづけよ。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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