五十八歳、山の家で猫と暮らす

  • 亜紀書房 (2020年3月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784750516394

感想・レビュー・書評

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  • 年を取ってから、都会の喧騒を離れ、のんびりと田舎暮らし。ゆったりと自然に包まれて、ご近所さんにも恵まれて、色んな事を自分でやらなくてはならないけど、マイペースに日々を楽しんでいるようすが描かれています。
    これはこれでとても素敵な生き方暮らし方だと思うけれど、私には絶対に真似できないしやりたくない。
    何よりもまず虫が苦手なので、こんなところに住んだら死んでしまう。力もないので、雪掻きとか無理だし。買い物に不便なのも耐えられない。近くに本屋さんあるのかな?本は本屋さんでページめくって選びたいし。だいたい運転できない年になったらどうするんだろう…買い物の全てをネットですませるのは無理…年を取ればとるほど、機械に疎くなっていくのに、今使っているネット環境に何か問題が起きたとき、こんな田舎で対処できるのか?!等々不安要素がざくざく…。
    年を取ったら絶対に便利な都会で暮らしたい思いをさらに一層強くさせてくれました。

  • この本は読んでいないが、本日(2021年6月7日)、レビューを書いておきます。

    著者は、どのような方かというと、

    1961年、静岡県生まれ、横浜育ち。イラストレーター、エッセイスト。山歩きや旅、暮らしについてのイラストとエッセイの作品が多数ある。

    とのこと。

    で、この本の内容は、

    母を亡くしたあと、両親の家の片づけが手に付かない。涙で思い出が曇る。一時避難のつもりで八ヶ岳の麓の家に暮らして二年余り。山での四季があまりにも美しくて、離れられない。それでも暮らしに不便はつきまとう。買い物難民、ご近所付き合い、越冬。それらをひとつひとつ乗り越えながら、山の家での暮らしを作っていく。母の思い出と不在をともに噛みしめながら、ひとりで暮らす深い豊かさを綴る珠玉のエッセイ。

  • 平野恵理子さん「五十八歳、山の家で猫と暮らす」インタビュー 母に捧げる、日々の幸せ|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13439664

    亜紀書房 - 五十八歳、山の家で猫と暮らす
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=948

  • 読み終えて、タイトルのわりに猫の話はあまり出てこなかったな、とは思ったのだけど(笑)、イラストレーターである著者の、都会から離れた冬には雪も降る山手の家での暮らしについてが丁寧に描かれていて、著者の平野さんのことは知らなかったのだけどとても楽しく読めた。
    表紙の絵は著者本人のもので、挿絵として主に植物のイラストが時折出てくるところもとても良い。

    著者は元は東京で暮らしていて、横浜の両親が亡くなった後に横浜の実家に移り住み、その後別荘のような感じで家族で使っていた八ヶ岳南麓にある家に居を移した。
    両親を亡くした悲しみから逃れるための一時避難のつもりだったが、山での四季の美しさに離れがたくなり、本格的に暮らすことを決めた。
    山の中なので虫はたくさん出るし、寒くなると水が凍ってトイレが使えなくなるというトラブルもあったりして、金銭的に余裕があるならばどう考えても東京や横浜で暮らしていた方が便利で住みやすい。
    だけど山の家での暮らしはその便利さを差し置いてでも…と思うのはきっとそれぞれの価値観で、そこでしか得られない感覚というものがあるのだと思う。
    早朝にしか見られない真っ白な雪景色だとか、動植物との思いがけない邂逅だとか。
    不便な暮らしの中で周りの人たちに助けてもらったり親切さを享受できるというのも、そういう場所での暮らしならではだと思う。

    というような様々が綴られているのだけど、さらっと読みやすいエッセイだった。
    飼い猫との出会いについてや、猫のことも多少は出てくるのだけど、それがメインとして描かれていないのは、著者の暮らしの中で猫がいるのは当たり前の日常だから、という風にも感じられた。

  • 山暮らしをしていること、イラストの素晴らしさに惹かれて手にとりましたが、ご本人のことはよく存じませんでした。
    読んでみれば八ヶ岳の別荘地で管理人もいて・・・なあんだ、別荘地かぁ。と思ったら、ご本人の足は自転車のみ。築40年の物件で、冬は冷え込んで雪も降るのに、お湯が出るようにしたのはごく最近、というなかなかハードな環境。家族の思い出、特にお母さんの思い出が詰まった家でした。
    東京の家を引き払い、横浜の実家を片付けるまでの葛藤、物の処分。どれも大変なことですが、それでもやり遂げて、八ヶ岳を終の住処にしようと決心したのは、保護猫と暮らすようになったからなのですね。虫、雪、寒さ、小鳥編になっているのが面白い。
    鳥の好きな私は、やってくる鳥の種類の多さに涎がでます。

  • 2020.5.6読了

    題名に期待したほど猫は登場しませんが…
    もともと山歩きが好きだった平野さん、八ヶ岳の麓で山暮らしを始めて3年。
    ようやく慣れてきた感じ、だそうです。
    景色や匂いまで感じられるエッセイ。
    植物や猫の挿絵に懐かしさを感じたのは、何と、かつて愛読した『生活図鑑』のイラストを描いていた方だったからなんですね!

  • 山での暮らしは不便そうですが、清々しい空気の中で良き孤独を楽しめそう。いつかわたしも…って思ってしまった。

  • タイトルにひかれて読み始めた。
    亡くなった母の家を片付けるのが、まだ苦しくて、もう1つの山の家で暮らしていく日々。都会ではみられない虫に怯えたり、雪かきをしたり、鳥と出会ったり、庭の手入れをしたり、時にはご近所のかたに助けられたり、何もかも1人でやって、頑張りすぎていたことにも気づいたり。
    ふとしたときに母親との山の家での暮らしを思いだし、もういないという現実を思う。それを少しずつ受け入れていくのに、自然豊かな場所はぴったりだと思った。

  • こんな暮らしができたらないいな
    でも虫はちょっと苦手
    庭仕事と猫、雪

  • 山の家、猫と興味のある語句のついたタイトルだったので読んだら、期待外れだった。山の家はいいけど、ほとんど登場しない猫はタイトルに入れなくてもよかったのに。それとも猫好きに読ませようというたくらみ?
     個人的な趣味趣向なので仕方ないと思うけれど、深く掘り下げた人生観、哲学感もあまり語られず、興味をひかれるような体験談もなく、私には退屈なエッセイだった。というのが正直なところです。いや、やはり趣味の問題でもあるし、私の感性が鈍っているだけのことかもしれない。

  • 1961年生まれ、イラストレータ&エッセイスト、平野恵理子さん「五十八歳、山の家で猫と暮らす」、2020.4発行。横浜から猫を連れて八ヶ岳南麓(標高1000m)に居を移して3年目、山の四季を体験し、虫、小鳥、雪、寒さ、庭などに関するエッセイです。タイトルから、猫をかなり期待しましたがw。3ヶ所(山村暮らしの直接のきっかけが猫、病院に受診の時入院だったらと猫を心配、里親募集の猫のポスターに目が留まったこと)だけだったのには、残念w。

  • 八ヶ岳麓に引っ越した作者。引っ越した理由、美しい風景、虫の出現、寒さ、園芸、地元民との触れ合い、お母さんとの思い出など。山の家と言っても別荘。猫はあまり出てこない。

  • 平野恵理子さんの名前はweb記事で見かけて「小淵沢の山荘に住んでいるイラストレーターさん」くらいの認識はありました。
    2冊めのエッセイのタイトルが『六十一歳、免許をとって山暮らし』。勝手に親近感が増してこちらから読んでみました。

    最初の章が「虫の章」、次が「雪の章」に「寒さの章」。山荘に暮らすデメリットから始まっているのがおもしろい。「自然に囲まれた素敵な暮らし」じゃないのが良い。

    小淵沢のあたりは標高も高く(小淵沢駅が886m)、積雪はそれほどではなくても冬はかなり寒いはず。恵理子さんが住んでいる別荘地帯は住民も少なく、近くに大きなスーパーなどもなく駅に出るにも登り下りが結構大変なあたりだと思われます。

    そんな山の中にわざわざなぜ住んでいるのか。
    「そこで何してるんですか?」と問われ、「とくに何をしているわけではなく、ただ場所をかえて相変わらず暮らしている毎日なんです」と答える恵理子さん。

    「どちらが本当の暮らしなのか。いや、本当の暮らしとはなんなのか。」

    「モラトリアム」と言っているのもなんだかホッとしました。50代でもモラトリアムでいいのか。

    「どこに引っ越しても最初の2年はアウェイ感がぬぐえない」というのも新参者には心強い。
    富士見高原病院や松本などの名前にも親近感。

    おそらく恵理子さんが雪掻きスコップを買ったホームセンターはここではないかとあたりをつけて私も行ってみたりしました(ストーカー⁉︎)

    まえがきで免許を取得したら「ヒラノ、ライフが変わるぜ」と友人に言われたと書かれていて、2冊めのエッセイとともに、私もそれを期待したいです。


    以下、引用。

    4
    今までも何度か引越しをしてきたが、どこでも最初の二年はその地でのアウェイ感がなかなかぬぐえない。ただ、これが三年目ともなると、もうずいぶん前からその地に住んでいるような、リラックスした居心地のよさを感じているのだから不思議だ。

    5
    こちらへ越してから、免許取得の計画を話したとき、
    「ヒラノ、ライフが変わるぜ」
    と言った友人がいた。たしかに。

    42
    考えてみれば、昔は家の前まで除雪車が来てくれていたではないか。当時は逆にそれが残念で、きれいな積雪面を破壊されたように思った。が、暮らしとはロマンチックばかり言っていられるものではない。

    83
    当時、界隈には人の気配がまったくなかった。それが気に入っていた。人の姿が見えなくても、あそこには、あの家には人がいるなあとわかっているのと、本当に周りに人がいないのとでは大きな違いがある。

    84
    ここに一人でいると、なにからも自由な、すっかり解放された感覚と、内側へ深く入っていく自分の両方を強く感じた。孤独という言葉にはどこか負の印象があるが、いい孤独、心地よい孤独もあるのだ。

    生涯独身を貫いた作家、メイ・サートンは小説の中で、自身をモチーフにしたと思われる主人公に「さびしさは自己の貧しさで、孤独は自己のゆたかさ」と発言させているが、けだし名言。

    一人でいることのよろこびを素直に現す言葉がないというのは、その感覚が一般的ではないということなのか。残念ではある。

    115
    ましてや山村なんぞで暮らしている人がいたら、「そこで何してるんですか?」となるのは当然のこと。本当に、とくに何をしているわけではなく、ただ場所をかえて相変わらず暮らしている毎日なんです、と答えるしかない。

    冬の、天国にいるような陽の光。家の奥深くまで陽がはいる朝、部屋の中に光があふれて、それだけで幸福感に包まれる。

    三人で食事をするテーブルにも惜しげなく冬の陽が降りそそいで、その光の中にいると、幸せの粒を浴びているかのように錯覚するほどだった。

    120
    どちらが本当の暮らしなのか。いや、本当の暮らしとはなんなのか。

    『フィールドガイド 日本の野鳥』

    133
    鳥は人の顔が怖いそうな。

    鳥は、人の顔が毛にも羽にも覆われていなくて、笑ったり口を開けたりと皮膚が動くのが怖いから、人の顔が見えると逃げてしまう。

    165
    鉄道に乗っていて、大きな楽しみのひとつは川を渡るとき。鉄橋を渡るときといえばいいか。川岸に、川の名前を記した青い看板が立っているので、それを必ず読む。多摩川なんて看板を読まなくても多摩川だとわかっているのだけれど、それでも急いで青い看板を目で探し、「多摩川」と記された青地に白い文字を読んで納得するのだ。「よし、多摩川渡った」。

    170
    日野春駅は、南アルプスが眺望絶佳。甲斐駒ヶ岳、摩利支天、そして鳳凰三山とずらりオールスターキャストが目の前に並ぶと迫力が溜め息ものだ。

    178
    ただ、その分このところ東京でゆっくり買い物などしたことがなかった。のんびり散歩をしながら気になるお店に入ってじっくりと見せてもらう。そうだ、そういうことはやはりときどき必要なのだ。

    215
    昨冬は本当に何も手が回らなくて、植物たちが寒そうにしているのを窓の内側からじっと見ているだけだった。見ていたくせに、大鉢を家に入れてやる余裕がなかった。完全な見殺しだ。

  • 山暮らし、あこがれるもののかなり大変そうだと感じた。ただ、母親が亡くなって、それを埋めるために(最初は無意識に)移住して、そこからまた一歩踏み出してゆく作品なのだと思った。結婚などしなくてもこうやって自然と生きていくことができ、尊いと感じた。

  • ふむ

  • 気持ちがゆったり、落ち着く本。
    喪失と再生の本。

    ただし…
    ・ネコのエッセイと思って読んではダメ
    ・虫が苦手な人は要注意
    ・田舎暮らしの参考にはならない

  • 猫ちゃんを期待して読んだものの
    猫ちゃんの話はトータル1ページに満たない

    それでも面白かった
    憧れの山の麓暮らしの記録
    やはり虫問題はついて回るのかと絶望しつつそれを込みにしても魅力的だった

    ご両親が亡くなり荷物を片付けながら泣いてしまうという描写があり
    とてもよい家庭で育った著者が羨ましくなった
    母が亡くなり褒めてくれる人がいなくなったという描写も羨ましいな、でもそんな素敵な環境だったらとても辛いだろうなとも思った

    私は泣けなそうだなとそう思った自分に引いた

    孤独や孤立ではなく一人を楽しむ言葉というのは確かにあまりないかもと思ったので探してみようと思った
    一人になれる場所が山の麓というのはとても素敵なことだと思った

  • 202011/タイトルから期待するほど猫は出てこないのでそこは残念。気候・虫・交通インフラなどなど現実は厳しいけど私も山暮らしに憧れるクチなので、味のある挿絵とともに楽しめる一冊。

  • 妻が買い置いてあった本。高校の時の山荘が八ヶ岳にあったので、親しみが湧き一気読みでした。高校時代は合宿やスキーで度々訪れ、卒業してからもオートバイで泊まりに行きました。平野さんのイラストからも文章からも、当時の雰囲気が思い出されて懐かしく読みました。最後に気づいたけど、平野さん、同じ年生まれでした

  • 山の暮らし 憧れます。チャンスがあれば是非してみたいとは思うものの、ひとりでは難しすぎる。虫が出て来るだけでも大問題、慌てて何も出来なさそう。。。たまに自然のある土地に行くくらいが自分の身の丈にあっているんだろう。とはいえ自然と隣り合わせの生活いいなぁ。人が近くに居すぎるのは息が詰まる。。。

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著者プロフィール

【著者】
平野恵理子
一九六一年、静岡県生まれ、横浜育ち。イラストレーター、エッセイスト。山歩きや旅、暮らしについてのイラストとエッセイの作品が多数ある。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』(文春文庫)、『わたしはドレミ』『六十一歳、免許をとって山暮らし』(いずれも亜紀書房)、『こんな、季節の味ばなし』(天夢人)、『庭のない園芸家』(晶文社)、『きもの、着ようよ!』(筑摩書房)、『散歩の気分で山歩き』『私の東京散歩術』(ともに山と溪谷社)、『平野恵理子の身辺雑貨』(中央公論新社)、『新装版 にっぽんの歳時記ずかん』(幻冬舎)、『歳時記おしながき』(学研プラス)、『草木愛しや 花の折々』(三月書房)、『手づくり二十四節気』(ハーパーコリンズ・ジャパン)など。絵本・児童書に『きょうはなんの記念日? 366日じてん』(偕成社)、『ごはん』(福音館書店)、『和菓子の絵本』(あすなろ書房)など。

「2025年 『新装版 あのころ、うちのテレビは白黒だった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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