- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751524800
作品紹介・あらすじ
「青い恐怖」はどこからきたのか?死の病の真実を解き明かすために奔走する少年イール。ビクトリア朝のロンドンを舞台にくりひろげられる、手に汗にぎる冒険物語。
感想・レビュー・書評
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1854年英国ロンドン、ブロード街にコレラが広がり人々をパニックに陥れるという実話を元にした話。
主人公13歳のイール(架空の人物)はスノウ博士(実在人物)を手伝い感染源を追究するために奮闘します。
当時、コレラは≪瘴気説≫空気感染だと考えられていたそうですが、スノウ博士は経口摂取による感染、今回は井戸水を介して広がったと考え、その説を立証するためにイールはデータを取り、緻密な地図を友だちフローリーの助けで作り上げていき、感染源を明らかにする。
『ブロード街の12日間』のタイトルの通り、8月28日から9月8日までの12日間と限られた緊迫した時間の中で、コレラが広がっていく恐怖と時間との勝負、謎から解決へと話は一気に盛り上がっていく。
人類は様々な伝染病を克服してきましたが、次から次へと新たな伝染病が出現し、今またその恐怖に直面していますが、人類はきっと克服できると信じられるお話でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1854年にイギリスで実際に起きたコレラの大発生をもとに作られた物語。実在した人物やコレラの発生から収束までの出来事に、著者が架空の人物などを加えて物語の形に仕上げています。
コレラは潜伏期間が短いことから爆発的に広がる病気として知られていて、たった数日のうちに街の至る所で死者がでるというスピード感が怖かった…。1854年のコレラ大発生は実際に起きたことなので、悲惨な歴史を知る勉強にもなりました。2015年の読書感想文課題図書にも選ばれているけど、この本を読んだ上で史実(1854年のコレラ大発生)を自由研究のテーマに取り上げる…とかしたらおもしろいんじゃないかななんて思ったりしました。 -
ストーリーは本当にイギリスであったお話に
フィクションを加えて 作ったものでした。
が、とてもわかりやすくって
良かったです。
コレラって 始めは空気感染と思われていたのに、
水が原因と 突き詰めていった 博士の追及心は
素晴らしいと思いました。
いつの時代にもこのように素晴らしい人が生まれて、
人間の苦難を取り除いてくれるものですね。
この本の中では
子供が 問題解決には 何が必要か、そしてどう行動していくと良いかと
いう事が 書かれていました。
子供にお勧めの本ですね~~~ -
久しぶりにワクワクした。
前半、状況がわからず次第に明かされていく感じ。謎が多いので読み進めたくなる。
史実をもとにしているからか、読後の心の満足感が弱い気もした。でも、読みやすく楽しい。
フローリーが絵が好きで、生きてるうちに何かを残したいと言ったこと。牧師さんが優しい心根はずっと後にまで残ると言ったこと。共感した。
初めから伏線があって、最後にパズルのピースがピタリと合う感じがいい。
あまり構えずに読める本。ワクワクしたい子に。
小学校高学年くらいからかな? -
今年の全国読書感想文コンクール、中学校の部の課題図書
19世紀のロンドンが舞台
史実とフィクションがうまく織り合わされて、読みやすく興味深い一冊だった
中学生が読むといいなあ
感想文はオイトイテ
少年があまりにも愛しい
ラストにホッとする
≪ 襲い来る コレラを前に 挑みつつ ≫ -
読書感想文コンクール中学校の部
いや、これは面白かった。
細かな部分は違いますが、史実に基づいた物語。
史実の部分だけでも面白い。
潜伏期間が短いために、爆発的に広まってしまう「青い恐怖」ことコレラ。
150年前の顕微鏡では菌を見つけることもできず、感染源は瘴気と信じられていた。
そんな中、井戸の水が原因ではないかと主張するジョン・スノウ博士。
しかし先入観を、固定観念をひっくり返すことはとても難しい。
井戸の周りに住む人たちについての聞き取り調査。
ここの部分を主人公イールが担当する。創作上の人物。
川さらいやメッセンジャーボーイ、手を必要とする人の下働きをお駄賃程度の手間賃で請け負うイールは、町の人から話を聞くのにうってつけだ。
それだけではなく、イールは秘密を抱えている。
その日暮らしの、日銭で生きている少年が、なぜかお金をためている。
毎週誰かにお金を支払っている。なぜ?
身寄りのない子どもたちを使ってスリをさせたり強盗を働いたりする元締めフィッシュアイ・ビルに執拗に追われるイール。なぜ?
フィクションの部分もノンフィクションの部分も、予断を許さない。
イールはスノウ博士を手伝うことになるのだが、それはお金のためではない。
結果的にお金をもらことになるけれど、イールは大好きな町の人がこれ以上病気になってほしくないと強く思っている。
友だちが、友だちの親が、これ以上死んでしまわないように。
イールは生まれながらのその日暮らしではない。
数年前に亡くなったお父さんは、勤め人だった。
けれど社会保障のない当時のイギリスで、父親が死んでしまうということは、家族が転落していくことなのだ。
お父さんが死んだ後、もちろんお母さんは働いた。
それでも家具やピアノを売り、どんどん狭い家に引っ越し、再婚した直後苦労がたたってお母さんが亡くなって、イールは学校へ行けなくなった。
家族はばらばらになった。
物語全体としては12日間の物語でも、コレラの被害を押さえるための手立てを取るのに残された時間は4日間。
テンポのいい文章。
不安に駆られながらも前向きに行動するイール。
小さな子どもたちや小動物に優しく接するイール。
科学的に考えること。
人の心に寄り添えること。
これは両立できないことではない。
読後感がとてもいい。 -
古本屋で、なんの気無しにジャケ買いしたんですが、読んでみたらなかなかの名作でした!小学高学年くらいから読めると思うので、大人も子供も是非読んでみてください。イギリスの貧民街でまだ未知の病だったコレラが大流行し人がバッタバタと無くなっていくのですが…。当時の人々の暮らしや、疫病の事とかよく書かれてます。面白くて読みやすくてあっという間に読んでしまいました。
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親もいない家もない13歳の少年イールが寝床にしているのはロンドンの下町ブロード街。そこをすさまじいスピードで「青い恐怖」=コレラが街を覆いつくしていく。イールはスノウ博士の助手として奔走。常識と考えられていることが時にいかに厄介なものか。信じる何かがあることや救いたい誰かがいることからくる強さがその常識を覆し世界を変える。最悪の状況でも助けてくれる人はいると思いたい。
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未知の脅威から人類を守る統計的手法、疫学ってすげぇ!!
薬理凶室の博覧強記の魔獣、亜留間次郎氏の著書で本書が紹介されていたのがきっかけで拝読。
ビクトリア朝時代のロンドンで発生したコレラの流行を、ジョン・スノウ博士が疫学を用いて解決した史実をベースに作られた物語。
スノウ博士は街を恐怖に貶めている原因不明の疫病に対し、いつ?どこで?誰が?何を?という基本的な問いを深く追求した。そして、why何故作用するのか?が判明していないにも関わらず遂には感染を食い止める事に成功した。
そのメカニズムが現段階での科学技術では証明出来なくても、統計的な情報から危機を回避する事ができる。「疫学」というものを象徴するような話だった。
主人公イールと仲間たちの話もハートフルで、子供でも読みやすいおすすめの一冊。