学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史(下): 1901~2006年

制作 : レベッカ・ステフォフ 
  • あすなろ書房
3.83
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本棚登録 : 261
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751526125

作品紹介・あらすじ

世界的な国際政治学者ハワード・ジンの名著『民衆のアメリカ史』をわかりやすく編集。
アメリカはなぜ戦争好きな国になったのか?
二度の世界大戦を経て、バラク・オバマ登場前夜までをたどる知られざるアメリカの歴史。

感想・レビュー・書評

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  • h10-図書館ー2022/12/25 期限1/15 読了1/4 返却1/5

  • アメリカの黒歴史、下巻。

    上巻ではコロンブスから始まるアメリカ初期の歴史で、弱者(ネイティブ、女性、奴隷)からの凄まじい暴虐と搾取の下に白人男性を中心として成り立ってきたアメリカが紹介されてきました。こちらの下巻では、近代になって暴力はほどほどに、嘘と欺瞞と謀略で国力を増大させるアメリカの姿が描かれます。学校の教科書に載っているお話の裏側を丹念になぞるのです。
    さらに下巻では政府の嘘と欺瞞に満ちたやり口に対抗する様に、民衆が戦う姿が印象的に描かれていきます。弱者にとって地獄にも等しい世界で最も富める国、アメリカの底辺で声をあげ、拳を突き上げて、少しずつ、ひとつずつ権利と平等を手に入れていきますが、それを上から塗りつぶす様な国の政策が続いていて、権力と民衆の戦いは果てがない様にも思えます。
    一つ一つ賽の河原の石を積み上げては壊される様に前に進んできた階級・権利の闘争は日本でも同じ様相だったのでしょう。私たちも進んでいるのかいないのかすらわからない一歩を踏み出し続けています。
    そうした国という巨大で度し難い暴力への怒りと共に、民衆が立ち上がり、血を流して少しずつ世界を変えていくのだ、ということを力強く訴える終章は胸に響きました。選挙では何も変わらない。そんなこの世への絶望を踏みしめながら、次も投票に向かうことにしましょう。

  • ふむ

  • ●第一次世界大戦。ドイツVSフランス、イギリス。弾薬輸送船を沈没されてアメリカ参戦。アメリカはこの戦争で大変潤った。、

  • 反体制から見たアメリカの歴史の後編
    読む価値アリ

  • 下巻は20世紀以降.種々の抵抗運動が実を結んでいく様が描かれる一方,現代に至るまでなお,権力者による抑圧や分断,暴力が続いてきたことを示す.黒人や女性の社会進出が進んでいるように見えても,実際は権力者の考えに多かれ少なかれ共鳴する人間が表に出ているに過ぎず,本当の意味でそうした被差別地位の人々全員の立場が改善しているわけではないというのは,留意しなければならないと思う.訳者あとがきにある通り,原著者本人が移民ルーツで,第二次大戦に参加し,更には公民権運動や反戦運動に関わってきたということで,上下巻含めた内容の背景にある思想にも納得.原題の「人民の歴史」が示すように,これはアメリカにおける市民の抵抗運動を紹介する内容として読むのが適切と考えた.第一次大戦への参戦が国民に支持されず,それへの対処として,反戦運動や徴兵逃れに対する弾圧が行われていたのも知らなかったが,同時多発テロ以降,過去のそうした抑圧に類するような,個人の権利を著しく制限するスパイ対策法が通っていたというのも驚き.今般中露の台頭を踏まえ,軍事分野の記事では,冷戦以降のアメリカ軍の縮小・弱体化が問題にされることが多いが,この本では社会保障の縮小が依然続けられながら,アフガニスタンやイラクで無為な戦争が行われたことが批判されており,そう考えるとアメリカにとって,冷戦崩壊以降の趨勢は「失われた20年」と言うべき状況に思われる.軍事介入ではなく,人道支援こそがテロへの適切な対処だというのは正しくそうだと思うが,一方で軍事力における優越を保てない限り,交渉ができない側面もあるので,難しいところ.この本のスタンスで考えるとトランプ政権は完全に権威主義へのロールバックなわけだけど,これまでの歴史的推移を鑑みると,むしろここで挙がった批判をバネにして,次を担う政権は革新的なものになるのでは,と考えるのは,楽観的すぎるだろうか.

  • ヘレン・ケラーも社会主義者だったんだ。

    ラングストン・ヒューズ『アメリカを再びアメリカたらしめよ』

    朝鮮半島の歴史も、もっとちゃんと知っておく必要がある。

    人々を救ってくれる救世主の活躍や、戦争は歴史の全てではない。それは人類の歴史のごくごく一部、偏った視点から見た歴史に過ぎない。
    もう、誰かに救済してもらう、という考えは捨てよう。私の代弁は誰にもできない。私の言葉は私によって語られるしかないんだ。

    https://coggle.it/diagram/Ws2qp2Z72lbCH8lC/t/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%A7%E3%81%AF%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2-%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%B3-r-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%95%E7%B7%A8%E8%91%97

  • 近代の扉を開いた産業革命の本質は機械化にある。その機械化が労働の質を変えた。労働者は部品となった。こうして働く喜びが人類から奪われたのだろう。
    http://sessendo.blogspot.jp/2014/10/1901-2006.html

  • 公民権運動 ローザ・パークス
    マーティン・ルーサー・キング 非暴力

  • 民衆の歴史。なぁんだ、アメリカも日本もおんなじじゃんか。金持ちが庶民を支配することばっかり考えてるんだもんな。

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著者プロフィール

ボストン大学名誉教授.歴史学者,社会評論家,劇作家として活躍.2010年1月27日に死去(87歳).『民衆のアメリカ史』(明石書店,2005)は世界中で200万部を超えるベストセラーになった.同書および本書『肉声でつづる民衆のアメリカ史』をもとにして作成されたドキュメンタリー映画The People Speakは,ケーブルテレビ局HISTORYで放映され,各紙からも賞賛を浴びた.邦訳書としては他に,『爆撃』(岩波書店,2010),『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』(あすなろ書房,2009),『テロリズムと戦争』(大月書店,2003),『アメリカ同時代史』(明石書店,1997),『甦(よみがえ)れ独立宣言』(人文書院,1993),戯曲『ソーホーのマルクス』(こぶし書房,2002)などがある.

「2012年 『肉声でつづる民衆のアメリカ史 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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