- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751528747
作品紹介・あらすじ
吹雪の中迷子になり、途方にくれる幼い兄妹。救いの手をさしのべたのは、1ぴきの犬でした。犬は言葉をしゃべります。でも、それが聞こえるのは、詩人と子どもたちだけ・・・。出会いがつむぎだす、小さな奇跡の物語。
感想・レビュー・書評
-
詩人と子どもは似た者どうし。
そして、テディの言葉が分かるのは、彼等だけということは、犬も似た者どうしなのかもしれない。
詩人のシルバン先生が残してくれた言葉と、子どもたちのちっちゃな真実が重なった時が、過去と現在の繋がった瞬間。
それはテディの、子どもたちを気にかけながらも、どこか寂しげだった理由が分かる瞬間でもある。
私的には、物語の終わり方に、ややご都合主義的な感を覚えたことと、簡素な表現法が合わなかったのもあったが、喪失感の辛さだけは身に染みて共感できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吹雪の中、幼い兄妹を助けた犬のテディ。
テディはシルバンさんと暮らしていた自分の家に兄妹を連れて行き暖炉を囲む。この出逢いとささやかで静かなひと時に心の、言葉の温かさがぎゅっとつまっていた気がした。
宝石をひと粒か二粒…この言葉の意味がわかった時は思わず心の雪も一気に溶けるような気分。テディにとってはそれまでは原石のようだったシルバンさんの言葉。それが一気に光り輝く宝石へと変わった瞬間だったに違いない。
-
にゃんこまるさんの本棚から。
-
たぶん、人生でこんなに悲しみと、優しさに涙した本ってない。映画なら何度もあるけれど、こんなにささやかな物語で、やさしい言葉に涙がとまらないなんてこと、なかった。もしかしたら、アメリカ人らしく、出来すぎたお話かな?でもそれは子どもたちに必要なおはなしの在り方。
激しい吹雪の中、凍りついた湖のそばで男の子と、毛布にくるまった女の子を見つけたのは、詩人の犬、テディだった。
テディは自分のうちに二人を連れて行く。テディは詩人の言葉で語る犬だった。
吹雪の間、フローラとニッケル、そしてテディは暖炉に火を灯し、食料庫から食べ物を運び、詩人のシルバンさんの話をしながら過ごした。
シルバンさんは、もうここにはいない。その悲しみを少しずつ二人に話すテディ。
フローラとニッケルだって、置いてきぼりにされた訳じゃない。救助を呼びに行った両親を待っている間に二人は怖くなって車から降りてしまったのだ。
詩人だったシルバンさんは、なくなる前にテディに「君が宝石をひと粒かふた粒見つけられるといいな」と言った。その意味は物語の最後につながる…
子どもたちに届けたい物語。
-
とても短いけど珠玉の作品。
詩人とくらしているうちに言葉が話せるようになった犬のテディ。
その詩人がいなくなってしまった小屋でひとりでくらしていた。ある日、大吹雪があって、森のなかで立ち往生していたふたりの子どもたちをテディがたすける。
詩人を思うテディの気持ち。子どもたちと新たにむすぶ友情。やがて……。
いろんなつながりが交錯して、織り上げる詩のような物語です。 -
テディは大きなアイリッシュウルフハウンド犬で詩人のシルバンさんと暮らしていた。詩人は犬の言葉がわかり、テディはシルバンさんに沢山のことを教わっていたが、シルバンさんは病気で亡くなってしまう。
1人でシルバンさんの家にいたテディが、吹雪の日に車に置き去りにされてしまった子どもの兄妹を見つけ、シルバンさんの家へ連れてくる。吹雪は止まず、5日間くらい?3人で暮らすのだが、子ども達は詩人の心を持っていたらしく、初めからテディの言葉がわかる。飼い主であるシルバンさんとの思い出を回想しながら子ども達と過ごすテディ。
動物好きな中学年くらいから読めそう。 -
心暖まるファンタジックなストーリー。
-
吹雪の夜、助けを呼びにいった母親が戻ってこない。冷え込む車の中で困っていた兄妹を救ってくれたのは、アイリッシュウルフハウンド犬のテディだった。飼い主で詩人のシルバンさんと暮らしていた小屋に連れていってくれた。この小屋で二人と一匹は吹雪が止むのを待つことにした。
なぜシルバンさんはいないのか。犬の言うことが二人にはわかる。なぜ?
吹雪の夜のファンタジックなお話。 -
静かで美しい物語。
比較的短めでサラッと読めるが、胸をうつものがあった。
猛吹雪のなかで途方に暮れていた兄妹を助けてくれたのは、一匹の犬。
二人と一匹は、不安な状況を乗り越えようと力をあわせます。
犬のテディが人間の言葉を覚えたのは、一人の詩人の存在がありました。
彼との絆、そして喪失を乗り越えようとする力が胸をうつ。