ふゆのはなさいた

著者 :
  • アリス館
4.10
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本棚登録 : 264
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752009092

感想・レビュー・書評

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  • 初めての冬を迎えたこねずみが、ひとりぼっちが寂しくて泣いていると、池の中から金魚が励ます。

    ツバメもヤマネも友だちだと思って仲良くしていたのにいなくなったりすることに、金魚は春になればまたみんな来るよと。

    次の朝、こねずみは雪が降ったのを見て、白い花だよーと金魚に呼びかけるが、氷のはった池からは、金魚は出てこない。

    やっぱりみんないなくなるとぼたぼた涙をこぼすこねずみに金魚は、氷を割ろうとするけれど…
    悲しみの中、金魚が泣いているとほかの金魚が集まってきて、氷の下に大きな赤い花がさく。
    金魚さんだとわかったこねずみは、うれしくてやっぱり泣いてしまう。


    友だちの大切さやありがたさを教えてくれる話。
    だけどなんといっても金魚の大群で花を作るってところが、涙がでるほどの喜びを感じた場面。
    悲しくてもうれしくても涙が出るってのもいい。



  • レビューを書かないまま、春一番を迎えてしまいました。冬の池で涙を流したこねずみはあれからどうしているでしょう。友だちには会えたでしょうか。

    ------------------------------------

    はじめての冬をむかえた こねずみに
    「なくのは やめて」
    池のなかから 金魚の声がします。

    友だちだった つばめくんとヤマネくん
    きらわれて いなくなって
    ぼくは ひとりぽっち

    ちがう ちがうってば ないちゃ だめ

    金魚は こねずみに おしえます
    つばめは 春になれば もどってくる
    ヤマネは 春になれば 目をさます
    春になれば 花は またさくのだから

    白い雪の花が咲いた次の朝、池には氷がはって金魚の姿は見えません。

    ぼくを きらいになったんだ

    ちがう ちがうってば ……

    ------------------------------------

    こねずみの涙が氷に水玉模様を作り、金魚の涙は泡になってのぼっていきます。まるで映像を見ているような気がしました。そして、金魚たちが池一面に赤い花を咲かせる最後のシーンに心震えます。
    友だちの大切さ、季節の移り変わりと生き物のこと、池に捨てられた金魚も含め、教えられることが沢山ある素敵な絵本でした。
     

  • 全体的に色を抑えている…?
    と思っていたけど最後で納得☆

  • ぼろぼろ泣いてしまった…。
    ひとりぼっちの子ネズミと金魚。
    絵本だからこその表現が素晴らしい。
    本を閉じてタイトルを見返すと、またグッとくる。

  • 「はじめての冬をむかえた」のは、楽しい春または夏に生まれたからでしょうか。友達に嫌われたと勘違いしてただ泣いていたこねずみに、声をかけた金魚も、実は「すてられたばかり」で(きっと人間ですね!)ひとりぼっちなのでした。季節が巡ることを知っていたから、こねずみに「友達に嫌われてなんかいないのだ!」と教えてあげて、友達になることができたのは微笑ましいですね。
    でも、この時、前年の冬は屋内で暮らしていた金魚は知りませんでした。寒い冬に屋外の池はよく凍ること、そして、困った時に助けてくれる仲間たちがすぐ近くにいたことを。
    友達っていいなぁ、と改めて実感させてもらえました。それと、心を開くのって本当に大事だということも!

  • こねずみと金魚が池でお友達になる話
    2人のやりとりが、繰り返され、こういうの子供は好きかも…
    やはり最後はハッピーエンド
    もう一度読みたくなる本です。

  • はじめての冬を迎えたこねずみが、池のそばで泣いていると、「泣くのはやめてよ」と、金魚が顔を出す。ひとりぼっちなんだと泣き続けるこねずみに、金魚は、飛んで行ったつばめや冬ごもりするヤマネが春になれば戻ってくるし、花も咲くと話す。二人は友だちになり、明日も会う約束をする。次の日、雪が降り、池は氷がはり、二人は会えない。池の金魚の協力で、氷の中に金魚の花を咲かせて、こねずみに知らせる。(32ページ)
    ※きつめの言い方をする金魚も、池に来たばかりで孤独だったから。金魚たちの「みんなで力を合わせたら、きっと気持ちが伝わる。」が心に響く。絵も好き。

  • 泣き虫の子ねずみくんと 物知りの金魚さん

    子ねずみに言い聞かせたり 心配して慌てたり まるでお姉さんのようだったけれど
    物知りでも知らなかったことがあって

    『星につたえて』もそうだけれど
    吉田尚令さんの絵も心に沁みます。

    ぱあぁっと 花が咲いたような場面が素晴らしかった。

  • 「こおりの下に、おおきな花がさいたのです」

    ひとりぽっち、孤独を感じてしまうことは、誰だって、いつだってある。でも、ひとりじゃないって、教えてくれる絵本。とっても力強く、私の心を叩いてくる。

    (7分)#絵本 #絵本が好きな人とつながりたい #ふゆのはなさいた #安東みきえ #吉田尚令 #アリス館

  • 安東みきえさんが書いた絵本を何冊か読んでみて、改めて表現が好きだなと思いました。
    よりそうを、
    「どこまでがぼくで、どこまでがヤマネくんか
    わからくなるかんじ」
    と表現しているのが一番好きです。
    寂しがりやの二人(匹)の心が通じ合う終わり方も
    心があたたかくなりました。

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著者プロフィール

山梨県甲府市生まれ。1994年に「ふゆのひだまり」で小さな童話大賞大賞、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞、2001年に『天のシーソー』で椋鳩十児童文学賞、2018年に『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『頭のうちどころが悪かった熊の話』(新潮文庫)、『星につたえて』『ふゆのはなさいた』(アリス館)、『夜叉神川』(講談社)などがある。

「2021年 『メンドリと赤いてぶくろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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