発達障害の薬物療法―ASD・ADHD・複雑性PTSDへの少量処方
- 岩崎学術出版社 (2015年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784753310944
作品紹介・あらすじ
精神科医療で大きな問題となっている多剤・大量処方の現状を改新すべく、臨床というフィールドワークにおける試行錯誤から得た経験の集大成として著者が提示する、エキスパート・オピニオン。発達障害とトラウマを見落とさないために、その診断と治療に関する整理を行い、ついで少量処方の実際と、いくつかのパターンに分けられる、誤った診断に基づく誤った処方の具体例、そうした症例に対処する治療実践について、臨床的な経験を示す。最後に、このような少量処方の臨床が有効な根拠についての試論を行う。
感想・レビュー・書評
-
発達障がいに有効な薬についてまとめてあり分かりやすい。参考にしたい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名著と思う。発達障害の子供が病院を受診にくるようななんらかの症状がでる背景には、そのこの親自身が発達障害があること、そして、親子一緒に解決しないと子供の問題も解決しない。薬物の具体的な処方も一覧にして掲載しており参考になる。
本文中のいくつかのスパイスが効いた冗談は、著者がバランスがとれた人間であることをうかがわせる。 -
具体例をコピーして、主治医に見せるといい
-
なかなか衝撃的な本である。でもトラウマは重要かもしれない。気になるのは、(本人はそんな意図は持っていないかもしれないが)子供の障害は親に原因がある率が高いみたいな印象を受けてしまうところだろうか
-
筆者がこれまで述べてきたことがまとめられている。虐待と発達障害がからみ合い、その上に親の問題もからみ合い複雑な様相を呈する。虐待が加わると、愛着障害と慢性的なトラウマにより複雑な精神病理を呈し、統合失調症と誤診をされ大量投薬をされたり、気分障害における誤診で不適切な投薬により病態がさらに複雑化することが多い。臨床的にはトラウマの理解と発達障害の理解は欠かせないが、治療という段階になると難しくなる。著者はEMDRを用いているが、著者なりの改良を加えて行っており、それ以上にこの本の題名である薬物療法に関しては向精神薬に関しては、このようなごく少量の処方が可能な薬剤師がいるのかという処方で、なかなか参考にしにくいのが正直な印象である。当然ではあるが、ベンゾは禁忌で抗うつ剤は注意というのは忘れてはいけないことであり、向精神薬の少量処方というのは、精神科医の匙加減として身に付けていないといけない態度には違いない。