若山牧水歌集 (小沢クラシックス 世界の詩 日本詩人選 5)

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  • 小沢書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784755140655

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  • ああ接吻海そのままに日は行かず鳥翔ひながら死せ果てよいま
    春の海のみどりうるみぬあめつちに君が髪の香満ちわたる見ゆ
    御ひとみは海にむかへり相むかふわれは夢かも御ひとみを見る
    雪ふれり暗きこころの片かはにほのあかりさしものうきゆふべ
    なにゆゑに旅に出づるやなにゆゑに旅に出づるや何故に旅に
    かへるさや酒の飲みたくなりゆくをぢっとはぐくみ居るよ電車に
    とりとめて病めりともなく楢の葉のまばらに染まるこころなるらむ
    ましぐらに浪にとび入り鰭あをき魚とならむと心はやるも
    若竹の伸びゆく夏のしののめのすがすがしさに君はおはしき
    汝は芹つめわれは野蒜を摘まましとむきむきにしてあさる枯原
    いそいそとよろこぶ妻に従ひて夜半の桜を今日見つるかも
    汐かむりほほけたれどもたけながのこの子が髪は生きて光れり
    うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花
    花も葉も光りしめらひわれの上に笑みかたむける山ざくら花
    たぎち落つる真白き水のくるめきのそこひ青めり春の日なたに
    燃えたたむ焔のきほひ内に見えて燃ゆとはしつつ燃えぬ炭の火
    燠の根にありとしもなきあはつけき青き焔のありて動ける
    妻が眼を盗みて飲める酒なれば惶て飲みこせ鼻ゆこぼしつ

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著者プロフィール

1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、友人であった石川啄木の臨終に立ち合う。同年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」など、人口に膾炙される歌が多い。また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。27年、妻と共に朝鮮揮毫旅行に出発し、約2カ月間にわたって珍島や金剛山などを巡るが、体調を崩し帰国する。28年、日光浴による足の裏の火傷に加え、下痢・発熱を起こして全身衰弱。急性胃腸炎と肝硬変を併発し、自宅で死去。享年43歳。

「2021年 『歩く人 牧水紀行文撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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