- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784756255426
作品紹介・あらすじ
世界史を紐解くアジア・中東の珠玉の装飾文化
長安からはるか西のローマまで、シルクロードが横断するユーラシア大陸では、中国、ペルシア、イスラム、インドなど、独自の文化をもつさまざまな国々が、互いに交流し、影響を与え合いながら、それぞれに深遠な文化を形成してきました。考古学の発達により、19世紀の後半には、エジプト、ギリシア、オリエント、中国、日本などの美術が1つのパースペクティブにまとめられ、<美術史>として1つの歴史の中に関連づけられて考えられるようになり、シルクロードという文明の道の再発見によって、世界の文明、美術のつながりが見えてきました。そして<文様>という物の形、デザイン、記号が、文明と文明をつなぐキーワード、原型、記号、象徴、形態の言語として注目されるようになります。旅をしながら変容してきたアジア・中東地域の装飾文化の歴史を豊富なビジュアルで紐解きながら、ドラマティックなユーラシア大陸の世界史を目で見ることのできる貴重な書籍です。
感想・レビュー・書評
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まず金地に蓮や様々な花にまじり鹿、兎、鳳凰?などが散らばる表紙に引き寄せられる。ぱらぱら全体をめくると、鮮やかな印刷で、イスラム寺院や仏教寺院、仏像、衣服、布、イヤリングや頭飾りなどの金の装飾品、皿、などがこれでもかというくらいたくさん押し寄せてくる。色合いは赤茶と緑が多い。これらは長安を起点にシルクロードを通り終点のイスタンブールへと続く町町で造られた品々なのだ、と解説が入る。理解を助ける地図も載っている。
そして日本へもやってきた。唐草文様がギリシャからつながるというのは歴史の教科書にも載っていたが、9世紀から10世紀にかけて南海路(海のシルクロード)が発達するとイスラム商人はマレー半島で交易を行ったとあり、ここに載ってる16世紀のベトナム茶碗の図版が濱田庄司の赤と緑の色合い、図柄を思い出させるものだったのには驚いた。
そして解説で紹介されていた、三蔵法師玄奘「大唐西域記」、「慈思伝(玄奘法師西域紀行)」を読んでみたくなった。またマルコ・ポーロの「東方見聞録」、ヘディンの「シルクロード」も読んでみたい。
なんと2023.4.23亡くなられていた。
海野弘HP
https://www.unnohiroshi.com/
2023.5.10初版第1刷 図書館 -
主にシルクロードをメインに据えて、タイトルの通り中東から中国、正倉院までの装飾と文様を、豊富な写真と共に紹介している一冊だ。
シルクロードの都市ごとの切り口、文化や時代ごとの切り口、モティーフごとの切り口、とさまざまな切り口があって、読みごたえがある。
文様や文化がどのように移動し、変遷してきたかがよくわかる。
イスラームの装飾はやっぱりとんでもなく美しいし、紺地的にはインドのムガル帝国のデザインに惹かれる。
通して読んでも、ぱらぱらとめくってみるだけでも楽しい。 -
シルクロードを旅している気分になれる、充実の良書。古代から世界はつながっていて、遠方の文化が人々を虜にする最先端の魅力を放っていたことを実感する。最も有名な「歴史」は戦争と支配の歴史だが、古くから普通の人々が暮らし交易し何かに惹かれ影響しあっていたのを感じると、他の文化への敬意を抱き、ゆるやかな特徴の差異こそあれ世界に境界はないことに気づけると思う。
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開始:2023/5/27
終了:2023/9/3
感想
世界中に広がる紋様。どこか似ていて何かが違う。歴史の中で伝わり変化し育まれた営みを移す。時間の中で風化せず僕らの元にたどり着いた。